ダイオキシンってどこから排出されるの?健康リスクは?

2019/9/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「ゴミを燃やすとダイオキシンが発生してしまうから、ゴミをなるべく減らしたほうがいい」といった話を聞いたことがあるかもしれません。ただ、具体的にどんな物質なのかや、健康に与えるリスクについてはご存知ない方も多いと思います。この記事では、ダイオキシンの特徴や発生源、健康上のリスクについて解説します。

ダイオキシンってどんな物質?

ダイオキシンは、正しくはダイオキシン類のことを指しています。ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、コプラナーポリ塩化ビフェニルという3種類の物質をまとめて呼ぶものです。この3種類の化学構造には共通点があり、ベンゼン環に塩素が結合した構造を持っています。

ダイオキシン類は無色で水に溶けにくい性質がありますが、脂肪には溶けやすいという性質を持っています。また、化学物質や酸、アルカリに簡単には反応しない安定した状態を保ちます。太陽光の紫外線にさらされることで、ゆっくりと分解されていくといわれています。

ダイオキシン類は、身の回りの環境の中に広く存在しています。大気中に拡散しているだけではなく、野山や田畑、海や湖、沼の底などに沈んでいます。環境中には環境汚染物質としても話題となったダイオキシン類は、微量でも強い毒性を持つと考えられている物質です。

ダイオキシンはどこから排出されるの?

ダイオキシン類は、炭素、酸素、水素、塩素が熱せられると自然にできてしまう物質です。ゴミの焼却や、紙の原料となるパルプの塩素漂白、農薬などを製造する過程で生じることも知られています。基本的には、何かが燃えることで発生するため、森林火災や火山活動によっても生じます。また、たばこの煙や、自動車の排出ガスにも含まれています。

生成されたダイオキシン類は分解されにくいため、野山の土壌や海底の泥の中などに蓄積します。蓄積したダイオキシンは、プランクトンや魚など海の生き物に取り込まれます。その後、食物連鎖によって最終的には人間の身体にも取り込まれることが問題となり、平成12年にダイオキシン類対策特別措置法が制定されました。この法律は、ダイオキシン類による環境の汚染防止と除去をするために、ダイオキシン類が人間に健康被害を与えるとされる基準量を定めました。また、ダイオキシンを排出する可能性のある事業者に対しては、ダイオキシンの排出に関する制限や、汚染状況の調査の義務付け、汚染された土壌の処置などについてルールが定められました。

いまでは、パルプの漂白には塩素は使用せず、ダイオキシンを発生させる農薬の製造は行われていません。現在、最も多くダイオキシンを排出する原因となっているのは、ゴミの焼却といわれています。

ダイオキシンで健康被害が起こる可能性は?

ダイオキシンは毒性は、人間がつくりだす人工物質としては最も強い毒性を持っているといわれます。しかし、人間に毒性を与えるためには、ある程度の量が必要です。事故によって高濃度のダイオキシン類にさらされると、発がん性があるとされます。

ダイオキシン類が生物体へ与える影響については、実験用動物を用いた研究が行われています。マウスにおける実験では、妊娠中に多量のダイオキシン類を摂取すると、子どもに口蓋裂や水腎症などの生まれつきの障害を起こすリスクがあることがわかっています。また、甲状腺機能の低下や、生殖器官への影響を引き起こすことも報告されています。

しかし、現在の日本の環境汚染の状況では、健康に影響がでるほどのダイオキシン類が存在しているとはいえません。通常の生活の中で摂取する量では、人間の身体には影響を与えないとされています。また、マウスによる実験結果が、どれほど人間にも該当するかどうかは、明らかになっていません。人間への影響については、今後も研究を継続することで明らかになることが期待されます。

おわりに:ダイオキシンは毒性が強いが、日本でのリスクはあまり高くありません

ダイオキシンは、正しくは3つの化学物質の総称であるダイオキシン類といいます。3つの物質は、化学構造に共通するものをもっています。ダイオキシン類は、何かが燃えるときに副産物として発生してしまう物質です。現在はゴミの焼却によるものが最も多くなっています。ダイオキシン類は毒性が強い物質ですが、現在の日本の環境汚染の状況では健康被害が起こるリスクは低いと考えられています。

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