有酸素運動で脂肪が燃焼される仕組みと室内でできる有酸素運動

2024/10/9

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

有酸素運動とは、効率よく脂肪を燃焼できるためダイエットに取り入れやすく、長期間継続することで生活習慣病の予防につながるといわれています。この記事では、有酸素運動で脂肪が燃焼される仕組みと期待できる効果、室内でできる有酸素運動について解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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有酸素運動とは

有酸素運動とは長時間継続して行う運動を指し、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、エアロビクス、水泳などが挙げられます。有酸素運動をしているとき、体内では筋を収縮させるためのエネルギー「アデノシン三リン酸(ATP)」を作り出します。糖・脂肪が酸素とともにATPをつくり出すことから、有酸素運動と呼ばれています。

有酸素運動とATP産生の流れ

  1. 食事でエネルギー源を摂取する
  2. グリコーゲンがおもに肝臓や骨格筋に貯蔵される
  3. 余ったグリコーゲンは中性脂肪として貯蔵される
  4. 運動時、貯蔵されたグリコーゲンを二酸化炭素と水に分解する
  5. グリコーゲンの分解過程でATPが産生される
  6. 産生されたATPが、運動のエネルギー源になる
  7. 長時間の運動をしていると、グリコーゲンが不足する
  8. 不足分を補うために、体脂肪を分解しようとする
  9. 体脂肪の分解のために、大量の酸素が必要となる
  10. 酸素を取り入れながらATPを産生する

有酸素運動で期待できる効果について

有酸素運動で期待できる効果として、基礎代謝の向上・脂肪燃焼・スタミナの向上・ストレス解消などが挙げられます。

基礎代謝の向上

運動によって筋肉が刺激されると、筋肉が肥大し基礎代謝の向上につながります。下半身の筋肉のうち、大腿四頭筋・下腿三頭筋・大殿筋は大きな筋肉のため、下半身を動かす有酸素運動は基礎代謝の向上にとくにおすすめできます。

脂肪燃焼

無酸素運動は糖をエネルギー源としますが、有酸素運動はある一定の時間を超えて運動を続けると、脂肪をエネルギー源にするようになります。

スタミナの向上

ランニング・ウォーキング・水泳などの有酸素運動は心肺機能の向上につながります。

ストレス解消

有酸素運動などの適度な運動は、ストレス発散につながります。無理のない範囲で有酸素運動を楽しむ方法を見つけましょう。

室内で手軽にできる有酸素運動

室内で手軽にできる有酸素運動は、天気が悪いときにも取り組みやすいですし、体力に自信がない人もマイペースで取り組むことができます。

踏み台昇降

踏み台昇降は、以下の手順で段差の上り下りを一定時間繰り返す運動です。

  1. 段差の前に両足を揃えて立つ
  2. 右足を上げて段差にのせる
  3. 左足を上げて段差にのせる
  4. 右足を段差から下ろす
  5. 左足を段差から下ろす(①の状態に戻る)

踏み台昇降用のグッズが市販されているのでそれを利用してもいいですし、低めのイスや階段を使用することもできます。いずれも足が滑ったり転倒したりしないように安全面に注意しましょう。

ラジオ体操

ラジオ体操は体を大きく動かすために考えられた有酸素運動です。ラジオ体操第一は柔軟性向上、ラジオ体操第二は筋力アップの動きが取り入れられています。ラジオ体操の動きの指示に従って、体を大きく使うことを意識してください。23回繰り返して行い、運動時間を継続させましょう。

おわりに:有酸素運動はタイミングと継続時間を考えながら楽しみましょう

有酸素運動は基礎代謝の向上、脂肪燃焼効果、スタミナの向上、ストレス解消などが期待できます。食後1~1.5時間を目安に開始すると、食後の血糖値上昇が緩やかになりやすいといわれています。有酸素運動にはウォーキングやランニング、水泳などさまざまな種類があり、脂肪燃焼のためには20分以上継続することが好ましいといわれていますが、長期間継続して取り組むことが大切です。無理のないペースで、楽しみながら取り組むようにしてください。

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