アシクロビルの服用でみられる副作用は?

2019/10/17

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

人間の体は、病原体となるウイルスに感染すると、さまざまな免疫反応として炎症や膿、水疱などの症状が現れます。例えば、子どもがかかりやすい「水ぼうそう」や、大人がよく発症する「帯状疱疹」などの原因となるのがヘルペスウイルスです。
このヘルペスウイルスが原因の疾患に対する治療薬が、アシクロビルです。そして、どんな薬にも効果の反面、副作用があります。アシクロビルの副作用には、どんなものがあるのでしょうか。

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アシクロビルはどんなときに飲む薬?

アシクロビルは、ヘルペスという皮膚疾患を引き起こす「ヘルペスウイルス」に対して作用する「抗ヘルペスウイルス薬」です。安全性が高く、副作用も比較的少ないことから、子どもの水ぼうそう(水痘)をはじめ、各種のヘルペスウイルス感染症に広く使われています。メインで使われる飲み薬のほか、同じ成分の塗り薬や注射薬があります。

ウイルスとは、細菌よりも小さく、細菌とはまた違う微生物です。細菌はそれ単体で生活し、増殖することができますが、ウイルスは他の生物の細胞に寄生して増殖します。このとき、ヘルペスウイルスの仲間は皮膚や粘膜に水ぶくれを作るのが大きな特徴で、単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスなどが代表的なものです。

これら皮膚や粘膜にできる水ぶくれは、ピリピリとした痛みやかゆみを伴います。単純疱疹(口唇・顔面ヘルペス、カボジ水痘様発疹症、性器ヘルペスなど)や帯状疱疹はピリピリとした痛み、水痘(水ぼうそう)はかゆみが特徴です。

アシクロビルはヘルペスウイルスの増殖を抑えるものですから、ウイルスの数がまだ少ない発症初期に用いるのが効果的です。初期にアシクロビルを使ってウイルスの増殖を抑えることで、病状が悪化するのを抑え、早く治療・回復することができます。

アシクロビルでみられる副作用は?

アシクロビルの副作用は少なく、あっても軽いことが多いです。人によっては下痢や吐き気などの胃腸症状、発疹などの皮膚症状、めまい・眠気・頭痛などが現れることがありますので、これらの症状がひどい場合はすぐ医師に相談しましょう。

重い副作用が起こることはまずありませんが、量が多すぎるとさまざまな精神神経症状が出やすくなります。とくに、腎機能が低下している人や高齢者では、一般的な健常な成人と比べてこれらの副作用が現れやすくなっていますので、よく注意して服用します。万が一、意識障害などの重い精神神経症状が現れた場合は、すぐに医師に連絡しましょう。

その他、以下のような重い副作用が起こる可能性があります。初期症状などに十分注意しましょう。

急性腎不全
  • 尿が少ないまたは出ない・むくみ・尿が濁る・血尿・だるさ・吐き気・頭痛
  • のどが渇く・けいれん・血圧の上昇
重篤な精神神経症状
  • 妄想・もうろう状態・混乱や興奮状態・けいれん・意識が薄れる
アナフィラキシー
  • 気持ちが悪い・冷汗・顔面蒼白・手足の冷えやしびれ・じんましん・全身発赤・めまい
  • 顔や喉の腫れ・ゼーゼーとした息苦しさ・血圧低下・目の前が暗くなって意識が薄れる
重篤な血液成分の異常
  • 発熱・喉の痛み・口内炎・だるさ・皮下出血(血豆や青あざ)・鼻血や歯肉出血などの出血傾向
重篤な皮膚・粘膜障害
  • 発疹・発赤・水ぶくれ・膿・皮がむける・皮膚の熱感や痛み・かゆみ
  • 唇や口内のただれ・喉の痛み・目の充血・発熱・全身倦怠感
間質性肺炎
  • 空咳・息苦しさ・少し動くと息切れする・発熱
呼吸抑制
  • 呼吸が弱い・息苦しい
重篤な肝機能障害
  • だるい・食欲不振・吐き気・発熱・発疹・かゆみ
  • 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)・尿が茶褐色になる
膵炎
  • 吐き気・嘔吐・上腹部〜背中の激しい痛み

アシクロビルで脳症が起こることも?

前述のように、アシクロビルは精神神経症状を引き起こす可能性があり、この症状が重篤なものになると「アシクロビル脳症」という疾患が疑われます。アシクロビル脳症は維持透析中の腎不全や、免疫抑制状態の血液系疾患で多く報告されていますが、まれに腎機能が正常な場合でも起こることがあります。体内で分解されてアシクロビルを生じるバラシクロビルや、同じ抗ヘルペスウイルス薬であるガンシクロビルでも同様の脳症が報告されています。

アシクロビル脳症の症状は主に「昏睡・錯乱・けいれん・幻覚・ろれつが回らない・意識障害」などのさまざまな精神神経症状、そして失調(運動しようとしてもうまくできない)症状です。ヘルペスウイルスによる髄膜脳炎などとは違い、「発熱・頭痛・神経巣症状・髄液所見の異常」などは起こりません。これを誤診してしまうと、ヘルペスウイルス駆除のためアシクロビルを増量して逆に悪化させてしまうリスクも考えられますので、しっかりと区別することが必要です。

こうした症状が現れるまでには、内服で3,200mg~8,000mg、注射薬で250mg~5,000mg程度を投与しています。つまり、内服薬ではある程度時間が経ってから症状が現れていますが、注射薬では投与してすぐに症状が現れていると考えられます。内服よりも注射の方が成分が血中に取り込まれるのが早いことから、アシクロビルの精神神経症状はアシクロビルの血中濃度と関係しているのではないかとする見方とも一致しています。

このような理由から、アシクロビル・バラシクロビル・ガンシクロビルを腎疾患・血液疾患の患者や高齢者に投与する際には、メリットとデメリットについて慎重な検討が必要です。腎機能が不明な場合はあらかじめ検査を行ったり、比較的腎機能への負担がかからないとされるファムシクロビルなどの利用も検討すると良いでしょう。

おわりに:アシクロビルの服用で、まれに脳症が見られることもある

アシクロビルは「抗ヘルペスウイルス薬」の一種で、水ぼうそうや帯状疱疹、口唇・顔面ヘルペスなどを引き起こすウイルスの増殖を抑える治療薬です。増殖を抑える薬なので、症状が出始めた初期に使うのがもっとも効果的です。

アシクロビルは比較的副作用が少ない薬剤ですが、透析患者さんや血液疾患の患者さんを始めとして精神神経症状が見られることもあります。これらの患者さんや高齢者への投与は、慎重にしなくてはなりません。

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