記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/11/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
年齢とともに記憶力の低下を実感するシーンは増えてきますが、そもそも物事はどのような仕組みで脳に記憶されているのでしょうか。
今回は物事が人間の脳に記憶される仕組みについて、記憶力が悪くなってくる理由や、記憶力を改善するための対策と一緒に解説します。
人間の脳が物事を記憶するメカニズムは、以下の通りです。
これら記憶の3つのステップは、いずれも脳のうち新しく受け取った情報を一時的に記憶しておく海馬と、思考や記憶を司る大脳皮質の2か所で行われています。特に海馬は3ステップのうち「記銘」と「保持」に大きく関わり、海馬に長く留まった記憶のみが眠っている間に大脳皮質に運ばれ、長期記憶になると考えられています。
以下のような原因から脳全体のパフォーマンスが低下したり、海馬から大脳皮質への記憶の転送がうまくいかなくなると、記憶力が悪くなってきます。
本人が感じる「嫌なこと=ストレス」と戦っているとき、脳には多大な負荷がかかっています。ストレスと必死に戦う脳には、しっかりと物事を記憶する余裕はありません。このため、ストレスがあると脳全体の機能が低下して記憶力も悪くなるのです。
前述したように、海馬に記銘・保持された短期記憶は眠っている間に大脳皮質に転送され、長期記憶として定着します。しかし、睡眠不足で眠りの浅いレム睡眠と眠りの深いノンレム睡眠の両方が発生しない状態が続くと、記憶の転送・定着がうまくいかなくなります。その結果、物覚えが悪くなってしまうのです。
睡眠不足になると昼間でも眠い、ぼーっとした状態が続くようになり、食欲の低下や食事内容の偏りによる栄養不足も誘発します。昼夜逆転や栄養不良の状態では、人間の脳は本来のパフォーマンスを発揮できません。ストレスや睡眠不足から生活習慣まで不規則になると、記憶力だけでなく、心身の状態までどんどん壊れていく悪循環に陥っていくのです。
記憶力を改善するには、まずは早寝・早起きを徹底してきちんと3食摂る、規則正しい生活習慣を心がけることが重要です。また、記憶を保持・定着しやすくするために以下の対策を実践してみてください。
人間の脳が物事を記憶するとき、まずは短期記憶を司る海馬に情報を記銘・保持し、寝ている間に必要なものだけを大脳皮質に異動させ、早期で着る状態にします。このため、ストレスで脳そのものの働きが低下したり、睡眠不足で情報をうまく整理・定着させることができないと、記憶力は低下します。規則正しい生活習慣で脳のパフォーマンスを上げ、覚え方を工夫しながら、記憶力を改善していきましょう。