認知症の周辺症状の特徴と適切な対応について

2026/8/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

認知症にはさまざまな症状があり、症状の現れ方にも個人差があります。認知症の症状は、中核症状と周辺症状に大きく分けることができ、それぞれ対応方法も変わってきます。この記事では、認知症の周辺症状の特徴と、介護するときの対応で心がけることについて解説していきます。

認知症の周辺症状とは

認知症の周辺症状は、認知症による脳機能低下に付随して起こる「外界への神経機能の反応」と考えられており、以下のような行動症状・精神症状が現れます。

行動症状

  • 睡眠障害:体内時計が乱れ、過眠症状・不眠症状が起こる
  • 拒絶:認知症の影響で介護者に不安・不信を感じるようになることで起こる
  • 過食・異食:記憶障害・失認などの影響で、食事をうまく摂れなくなる
  • 徘徊:記憶障害・見当識障害の影響で、外出の目的や現在地を見失うことで起こる
  • 暴言・暴力:脳内の神経伝達物質量の変化により、介護者や周囲の人への振る舞いが変わる
  • 不潔行動:排便が困難になることへの不快感や不安から起こることがある

精神症状

  • 不安・焦燥感:失敗や孤独などで感じる将来への不安などの影響で起こる
  • 幻覚・幻聴:認知症による脳機能低下の影響で、いないものの存在を感じるようになる
  • 抑うつ気分・意欲の低下:認知機能低下の影響により起こる
  • 妄想:実際には起こっていないことを強く信じ込み、修正できなくなる

周辺症状が発症・進行するきっかけ

認知症による周辺症状は、以下のような認知症による中核症状から派生するかたちで発症・進行していきます。

認知症による中核症状の例
  • 記憶障害:自分の行動や発言・約束などを忘れる
  • 見当識障害:自分の居場所や外出の目的・時間や季節がわからなくなる
  • 実行機能障害:排泄や食事の段取り、手順がわからなくなってしまう
  • 失語:言葉の理解や発言が難しくなる
  • 失行:衣服の着脱法や、品物の使用方法がわからなくなる
  • 失認:目に見えるものや聞こえる音を、正しく認識・理解できなくなる

例えば、自分の行動・発言・体験・約束を忘れてしまう記憶障害では、混乱が起こったり、周囲の家族・介護者への疑いを生じさせたりすることがあり、これらは妄想・拒絶・暴言・暴力などの周辺症状の原因になります。

周辺症状に対応するときに心がけること

周辺症状の影響で本人や周囲の人の日常生活が妨げられるようになると、生活の質が著しく低下し、介護上の経済的負担が増える可能性もあります。周辺症状は、適切に対応すると緩和しやすくなり、誤った対応をすると悪化しやすくなるといわれています。認知症による周辺症状に対応するときは、以下を心がけることをおすすめします。

適切とされる対応方法
  • 本人の身体状態・周囲の環境・対応の仕方などを幅広く観察して原因を探る
  • 原因が見えてこないときは、本人の自尊心を傷つけないよう対応してみる
  • 本人の混乱や疑いを解くために説明を行い、家庭内の役割を担わせ自尊心を保つことを心がける
  • 介護者側は、認知症の周辺症状が一時的なものであるという事実を正しく理解する
  • 介護者側に周辺症状に対応する余裕のないときは、遠慮せずプロの力を借りる
誤った対応方法
  • 混乱している本人に対し、頭ごなしに叱責したり無視したりする
  • 認知症の初期段階で、自分の認知機能が失われることに不安・焦り・恐怖を感じている人から、役割や立場を奪ってしまう

おわりに:認知症の周辺症状に適切に対応することは介護側の負担軽減にもつながる

認知症の周辺症状は、中核症状の影響による混乱・不安・不信感などが原因で起こります。周辺症状は、適切に対応することで緩和しやすくなり、介護するときの負担も軽減できる可能性があります。適切な対応ができるように、見直しておきましょう。

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この記事に含まれるキーワード

睡眠障害(48) 認知症(63) 周辺症状(1) 記憶障害(13) 徘徊(4) 見当識障害(2)