高齢者の食欲不振に負けない食事工夫と支援策

2026/1/19

高齢のご家族があまり食べたがらないと心配になった経験はありませんか?加齢に伴い食欲が低下することは珍しくありませんが、放置すると栄養不足や体力低下につながります。ここでは、高齢者の食欲不振の主な原因と、その対処法について解説します。

高齢者の食欲が低下する原因

食欲不振にはさまざまな要因があります。加齢による味覚・嗅覚の低下で食事がおいしく感じにくくなることや、噛む力・飲み込む力の衰えによる食べづらさは大きな原因です。また、持病や服用している薬の副作用で食欲が落ちる場合もあります。さらに、一人暮らしによる孤食やうつ傾向など心理的要因も食欲に影響します。現在、高齢者世帯の約半数は単独世帯であり、誰かと一緒に食事をする機会が減ることで「作っても食べる人がいない」「食べてもつまらない」と感じてしまいがちです。実際、ある地域調査では高齢者の約3割が週の半分以上を一人で食事しており、孤食の人はそうでない人に比べ栄養の偏りや低栄養の頻度が高く、抑うつ傾向も強いことが報告されています。まずはこうした原因を見極めて、適切な対策につなげましょう。

食欲不振による影響と危険性

食欲が低下して十分に食べられない状態が続くと、低栄養に陥るリスクがあります。エネルギーやたんぱく質が不足すると、体重減少だけでなく筋力や免疫力の低下を招き、転倒・骨折や感染症のリスクを高めるほか、意欲や認知機能の低下にもつながる可能性があります。特に高齢者では、一度栄養状態が悪化すると回復に時間がかかるため注意が必要です。食事量の減少に気づいたら早めに対応し、深刻な低栄養やフレイルを防ぎましょう。

栄養を補う工夫と専門家の力を借りる

食欲がない中でも必要な栄養素を確保するために、いくつかの工夫と支援策があります。

管理栄養士に相談して食事内容を改善

食事のプロである管理栄養士に相談すれば、食欲が落ちている状況でも効率よく栄養を摂取できる食事プランを提案してもらえます。例えば、一度にたくさん食べられない場合は1日5~6回に食事回数を増やし、少量でも高エネルギー・高たんぱくなメニューにする工夫があります。自治体の保健センターやかかりつけ医で栄養相談を受け付けていることもありますので、専門家のアドバイスを積極的に活用しましょう。

栄養補助食品や嚥下サポート食品の活用

市販の栄養補助飲料や介護食品を取り入れるのも効果的です。エネルギーやタンパク質、ビタミン類が強化されたドリンク・ゼリーは、食が細くなった高齢者でも少量で栄養を補給できます。また、農林水産省が推進する「スマイルケア食」は、高齢者の噛む力・飲み込む力に配慮した食品を青・黄・赤のマークで表示しており、状態に合った商品選択に役立ちます。例えば食欲そのものが低下している方向けには、噛む飲み込む能力に問題はなくても栄養補給を必要とする「青マーク」の食品があります。これらを上手に利用することで、調理の手間を減らしつつ栄養バランスを維持できます。

食事環境や盛り付けを工夫する

食事をする環境を整えるだけでも、食欲向上につながります。テーブルを明るく清潔に保ち、季節のランチョンマットや器を使って食卓に変化をつけましょう。少量でも「おいしそう」と感じられるように、料理の盛り付けを工夫することも大切です。一度に多くを出すと圧倒されてしまう場合は、小鉢に分けて少しずつ提供するといった方法も有効です。また、可能であれば好きな音楽を流す、窓を開けて空気を入れ替えるなど五感に働きかける演出で雰囲気を良くすると、リラックスして食事が楽しめます。

生活リズムと体調管理にも目を向けよう

食欲不振への対策として、生活リズムを整えることも重要です。起床・就寝や食事の時間を毎日なるべく一定にすることで体のリズムが安定し、空腹感も湧きやすくなります。適度な運動習慣は胃腸の働きを促し、精神的なリフレッシュにもつながって食欲増進に寄与します。また、便秘や口腔内のトラブルなど体の不調が食欲低下を招くこともあります。必要に応じて医療機関でこれらの症状を相談し、根本的な改善を図りましょう。

まとめ

高齢者の食欲不振には複数の原因が絡んでいますが、原因に合わせた工夫やサポートによって改善できる場合が多くあります。無理に大量に食べさせるのではなく、少量でも栄養価の高い食品の活用や食環境の整備など、小さな工夫を積み重ねることが大切です。専門家や家族の力も借りながら、食べる喜びを取り戻せるようサポートしていきましょう。

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