働く世代の睡眠不足と生活リズムの整え方

2026/6/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

働く世代に睡眠不足が起こりやすい理由

働く世代では、仕事、家事、育児、介護、通勤、学び直しなどが重なり、睡眠時間が削られやすくなります。寝る時間が遅くなるだけでなく、夜中に目が覚める、朝起きても休んだ感じがしない、休日に長く寝ても疲れが抜けないといった悩みもあります。睡眠は体とこころの回復に関わる大切な休養です。睡眠不足が続くと、日中の眠気、集中力の低下、気分の落ち込み、食欲や血圧の変化につながることがあります。ただし必要な睡眠時間には個人差があるため、時間だけでなく、起床時の休養感や日中の状態をあわせて見ることが大切です。

生活リズムを乱しやすい習慣

寝る直前までスマートフォンや仕事の連絡を見ている、夕方以降にカフェインを多くとる、夜遅い食事や飲酒が続く、休日に昼まで寝るといった習慣は、睡眠の質に影響することがあります。交替勤務や夜勤がある人、介護で夜間に起きる人、乳幼児の世話をしている人では、一般的な睡眠習慣をそのまま当てはめるのが難しい場合もあります。大切なのは、現実の生活の中で少しでも睡眠を守る方法を探すことです。家族や職場と相談し、夜間対応や家事の分担を見直すことも、睡眠対策の一部になります。

今日からできる睡眠の整え方

起床時間をなるべく一定にし、朝に光を浴びることは生活リズムを整える助けになります。朝食をとる、日中に体を動かす、寝る前に仕事や家事の区切りをつけることも大切です。眠れないときに無理に布団の中で長く悩むと、寝床が緊張する場所になってしまうことがあります。短い読書や静かな音楽など、自分に合う落ち着いた過ごし方を見つけましょう。介護や育児でまとまった睡眠が難しい人は、昼間に短く休む時間を作る、家族やサービスに見守りを頼むなど、分割して休息を確保する方法もあります。睡眠を個人の努力だけにしないことが大切です。

受診や相談を考える目安

眠れない状態が続く、日中の強い眠気で仕事や運転に支障がある、いびきや呼吸が止まるような様子を指摘された、気分の落ち込みが続く、早朝に目が覚めて眠れない、強い不安がある場合は、医療機関に相談しましょう。睡眠の問題の背景に、睡眠時無呼吸症候群、うつ状態、痛み、薬の影響、生活上の強いストレスなどが関わることがあります。介護者が疲労で倒れそう、怒りが抑えにくい、本人への対応がつらいと感じる場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーへの相談も必要です。急な意識障害、呼吸困難、強い胸痛がある場合は、緊急性を考えて対応してください。

おわりに:睡眠を予定に入れる

働く世代の睡眠不足は、本人の意志の弱さではなく、生活全体の忙しさから起こることがあります。だからこそ、睡眠を余った時間に回すのではなく、予定の一部として扱うことが大切です。寝る前の過ごし方、朝の光、日中の活動、家族や職場との分担を少しずつ整えることで、休養感が改善することがあります。すぐに理想的な睡眠をとれなくても、短い休息を重ねることは意味があります。眠れない悩みが続くときは、早めに相談し、病気やストレスの影響も含めて確認しましょう。支える人自身の睡眠も、暮らしを守る大切なケアです。

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