子どもの長引く咳と小児ぜん息の見分け方のポイント

2026/6/30

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

長引く咳で考えたいこと

子どもの咳は、かぜの後にしばらく残ることがあります。数日で落ち着く咳もあれば、夜間や明け方、運動後に目立つ咳が続くこともあります。咳だけで病名を決めることはできませんが、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音を繰り返す、息苦しそうにする、同じ季節に悪化しやすいといった場合は、小児ぜん息やアレルギー、感染後の気道の過敏さなどを考えます。本人が元気に見えても、睡眠や食事、登園、登校に影響している咳は、生活の質を下げることがあります。

小児ぜん息とは

小児ぜん息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症があり、刺激に反応して気道が狭くなりやすい状態です。日本小児アレルギー学会の小児気管支喘息治療・管理ガイドラインでは、発作時の症状だけでなく、長期的に症状を抑えて日常生活を保つことが重視されています。ぜん息の悪化には、ウイルス感染、ダニやペット、カビなどのアレルゲン、たばこや線香の煙、運動、気温差などが関係することがあります。ただし、咳が続くからといって必ずぜん息とは限りません。経過を医師に伝え、必要な診察や検査を受けることが大切です。

家庭で記録しておきたい内容

受診時に役立つのは、咳の出る時間帯、咳の音、発熱の有無、鼻水や痰、息苦しさ、薬を使った場合の変化などです。夜眠れないほどの咳があるか、走った後に咳き込むか、季節や掃除、ペットとの接触で悪化するかも記録しておきましょう。乳幼児では、食欲が落ちる、遊びが少なくなる、抱っこを求める時間が増えるなど、行動の変化が症状の手がかりになります。咳の動画を短く残しておくと、診察室で症状が出ていない場合にも説明しやすくなります。

家庭環境で見直せること

咳が続く子どもでは、気道への刺激を減らす工夫が役立つことがあります。室内のほこりをためない、寝具を清潔に保つ、急な温度差を避ける、受動喫煙を防ぐことは、ぜん息の有無にかかわらず大切です。香りの強い柔軟剤やスプレー、煙、線香などで咳が悪化する子どももいます。運動をすべて避ける必要はありませんが、咳が出やすい時期は準備運動や休憩を取り入れ、医師から発作時の薬を指示されている場合は使い方を確認しておきます。自己判断で吸入薬を中止したり、きょうだいの薬を使ったりすることは避けてください。

急いで相談したい咳と呼吸のサイン

息を吸うときにのどや肋骨の間、みぞおちがへこむ、苦しくて話せない、横になれない、眠れない、顔色や唇の色が悪いといったときは、早めの受診が必要です。手元の発作時薬を使っても改善が乏しい、薬がない、呼吸困難が強い、意識がぼんやりしている場合は救急相談や救急受診を考えます。長引く咳は、感染症、ぜん息、アレルギー、鼻や副鼻腔の病気など、さまざまな原因で起こります。咳を止めることだけを目的にせず、原因を見極めながら、子どもが眠る、食べる、遊ぶ、学ぶ時間を取り戻せるように支えていきましょう。

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