記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/6/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
口内炎は、頬の内側、舌、歯ぐき、唇などの粘膜に炎症や潰瘍が起こった状態です。小さな口内炎でも、食べ物や飲み物が触れると強く痛み、食事や会話がつらくなることがあります。高齢者では、食べる量や水分量が減ることで、低栄養や脱水につながる可能性があります。本人が痛みをうまく伝えられない場合は、食事中に顔をしかめる、片側だけでかむ、食べ物を口から出す、歯みがきを嫌がるといった変化に注意します。食欲がないと決めつけず、口の中を明るい場所で確認しましょう。
口内炎は、頬や舌をかんだ傷、合わない入れ歯、欠けた歯、熱い物によるやけど、口の乾燥などをきっかけに起こることがあります。疲労、栄養状態、感染症、全身の病気、薬の影響が関係する場合もあります。抗がん剤治療や放射線治療中は、広い範囲に口腔粘膜炎が起こることがあります。新しい入れ歯を使い始めた、薬が変更された、発熱や皮膚の発疹があるなど、口内炎ができる前後の変化を確認してください。原因によって対応が異なるため、同じ場所に繰り返す場合や数が多い場合は、歯科、歯科口腔外科、耳鼻咽喉科などへ相談します。
熱すぎる料理、唐辛子やこしょうなどの香辛料、酸味の強い酢の物や柑橘類、味の濃い料理は、炎症部分を刺激して痛みを強くすることがあります。食べ物は人肌程度または少し冷ました状態にし、薄味を基本にします。ただし、冷たい物がしみる人もいるため、本人が痛みを感じにくい温度を確認します。しょうゆやソースを料理全体にかけず、必要な場合は刺激のない部分へ少量つけます。痛みが強い日は、栄養バランスを完璧に整えようとせず、食べられる食品から少量ずつ取ることを優先しましょう。
硬いせんべい、トーストの耳、揚げ物の衣、骨や種のある食品は、粘膜に当たって傷を広げることがあります。おかゆ、やわらかく煮たうどん、茶わん蒸し、豆腐、卵料理、ヨーグルト、プリン、ポタージュなど、なめらかでまとまりやすい料理を選びます。肉や魚は細かくして、とろみのあるあんやスープを加えると食べやすくなる場合があります。ぱさつく食品は、だしや乳製品などで水分を補います。刻み方によっては細かな粒が口内炎に入り込むこともあるため、本人の痛む場所と食べ方を見ながら形を調整します。
痛みで一食を食べ切れない場合は、三食にこだわらず、食べられる時間に少量ずつ分けます。卵、豆腐、乳製品、白身魚など、やわらかく調理しやすいたんぱく源を取り入れます。飲み物がしみる場合は、温度を変える、ストローを使って患部を避けるなどの方法があります。ただし、ストローではむせやすい人もいるため、飲み込みの状態を確認してください。水分が取れないと脱水が進む可能性があります。尿量が減る、口が強く乾く、元気がなくなる場合は、食事の工夫だけで様子を見ず医療機関へ相談しましょう。
食事時間が長くなるほど、口内炎への刺激や疲労が増すことがあります。最初から通常量を盛りつけず、小さな器に少量ずつ用意し、食べられそうな場合に追加します。主食と主菜を一つの料理にまとめた卵雑炊や煮込みうどんなどは、少量でも複数の食品を取り入れやすくなります。味やにおいで食欲が落ちる場合は、調理中のにおいが少ない料理や、市販の介護食品を使う方法もあります。体重減少が続く場合は、栄養補助食品を自己判断で増やさず、管理栄養士や主治医に適した種類と量を確認してください。
痛みがあると歯みがきを避けたくなりますが、口の中に汚れがたまると、炎症や感染が悪化することがあります。毛先のやわらかい歯ブラシを使い、口内炎へ強く当てないように歯と歯ぐきを清掃します。刺激の強い洗口液はしみる場合があるため、使用する製品を歯科医師や薬剤師に確認しましょう。入れ歯は外して洗浄し、変形や尖った部分が粘膜に当たっていないかを確認します。口の乾燥が強い場合は、保湿剤の使用や唾液が減る原因について歯科医師へ相談します。痛みが強い間の入れ歯の使い方も、自己判断で固定せず調整してもらいましょう。
口内炎用の貼付剤、軟膏、洗口剤などが販売されていますが、口内炎の場所や原因によって適した製品は異なります。薬を塗っても改善しないからと、複数の薬を重ねたり、家族へ処方された薬を使ったりしないでください。口の中に白い苔のようなものが広がる場合は、真菌による感染症の可能性もあり、一般的な口内炎とは治療が異なります。抗がん剤、免疫を抑える薬、ステロイド薬を使用している人は、症状が軽くても治療先へ連絡します。薬の使用後に発疹や息苦しさが出た場合は、使用を中止し、速やかに医療機関へ相談してください。
一般的な口内炎は時間とともに改善することがありますが、二週間以上治らない、同じ場所に繰り返す、周囲が硬い、赤色や白色の変化が残る場合は、口腔がんなど別の病気との区別が必要です。出血、強い腫れ、口が開けにくい、飲み込みにくい、首のしこりがある場合も早めに受診してください。高熱を伴う、口の中全体に水疱やただれが広がる、水分も飲めない、呼吸が苦しい場合は緊急性があります。口内炎による食事の困りごとは我慢せず、医師、歯科医師、管理栄養士へ伝え、痛みの治療と食事の調整を同時に進めましょう。