記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脾腫(ひしゅ)とは、脾臓が腫れて大きくなった状態のことです。脾臓の腫大(しゅだい)とも言います。脾腫が起きる原因は非常に様々です。
今回は「脾腫とは何か?」「どういった理由で起きるのか?」などについてまとめました。脾腫になった場合の症状も紹介しますので、1つでも当てはまる場合はすぐに病院で受診してください。
脾腫になっても、脾臓そのものに問題が起こらないことが多いです。
脾腫を引き起こすのは、がんや貧血、マラリアなどの感染症、骨髄増殖性疾患などの病気であり、脾腫が原因で「脾機能亢進症(ひきのう こうしんしょう)」になる場合もあります。
脾臓は本来、赤血球や白血球などの血球を破壊する機能があります。
その機能が高まりすぎるのが脾機能亢進症で、脾機能亢進症は血球減少症を引き起こすことがあります。血球減少症になると、必要以上に多くの赤血球が蓄えられたり破壊されたりするため、赤血球が減少して貧血が起こるようになります。
脾腫は特有の症状が出ないため、自覚が難しいです。自覚症状として、背中や左上の腹部に腫れた感じや軽い痛みを感じたり、吐き気や呼吸困難などが出ることがあります。また、動いたときやゲップをしたときに、吐き戻してしまうこともあります。
そのほか、大きくなった脾臓が隣にある胃を圧迫するため、少し食べただけで満腹になってしまったり、何も食べていないのに満腹と感じてしまうなどの変化が起きることもあります。
脾腫が進行すると脾臓に必要な血液が不足し、十分な血液が供給されない状態になった部分が損傷して壊死したり、出血したりします。
そこまで進行すると、左肩が痛くなるなどの自覚症状が現れることもあるので、思い当たる痛み・症状が出たときは速やかに診察を受けましょう。
脾腫は他の病気の二次的な症状です。脾腫の原因となる病気は多く、一般的な原因としては以下の病気が上げられます。
その他にも様々な病気が脾腫の原因となります。余りにも原因となる病気が多いため、原因の特定が難しいといわれています。
脾腫の疑いがある場合、脾腫の有無を確認するために触診や超音波検査、X線検査、脾臓の組織検査などを行います。基本的に、脾腫は触診で分かる場合が多いです。
触診で脾臓の腫大が疑われた場合、X線検査で脾臓の大きさを測定して脾臓が肥大していないかを確認し、血液検査で赤血球や白血球、血しょう板の減少をチェックしたり、MRI検査で脾臓を流れる血流を確認したりします。
脾腫が見つかった場合は、まずは脾腫の原因となっている病気を治療します。
腫大の進行度によっては、放射線療法で脾臓を小さくする治療が行われることもありますが、腫大による重度の貧血がある場合や感染や出血の可能性が非常に高い場合、そして既に一部の組織に出血や壊死がみられる場合などは摘出手術を行います。
脾臓の摘出手術をすると、肺炎球菌やインフルエンザ菌などの細菌に感染しやすくなるといったリスクがあるため、極力実施しません。本人の体力や年齢、腫大の度合いに応じた処置がなされます。
脾腫になった場合、脾臓が裂けて出血が制御できなくなるのを防ぐため、
など、腫大した脾臓が裂けるような行動を極力回避するように指導されるでしょう。
そして脾臓の摘出手術をした場合は、ワクチン接種が必須となります。インフルエンザなどの予防接種は、毎年必ず受けるようにしましょう。
脾腫は吐血などの特有の症状が出ないため、見つけにくい病気です。定期的な健康診断などで脾腫の原因となる病気を早期に発見し、治療していくことになります。脾腫の原因になりかねない結核や肝硬変といった病気の早期発見・早期治療も肝心です。万が一、脾腫が見つかった場合は、医師の指示に従い、慌てずにじっくり治療をしていきましょう。
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