記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/6/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
熱中症は、暑い環境にいることで体温が上昇し、体内に熱がたまることによって起こる健康障害の総称です。めまいや頭痛などの比較的軽い症状から、意識障害を伴う重い状態まで含まれます。
炎天下での運動や屋外作業だけでなく、高温多湿な室内、車内、入浴後などにも起こることがあります。日差しが弱い日でも、湿度が高く風が少ない環境では、汗が蒸発しにくくなり、体の熱を逃がせない場合があります。
高齢者、乳幼児、持病がある人、体を動かしにくい人は注意が必要ですが、健康な人にも起こります。寝不足、二日酔い、発熱、下痢、食事不足などで体調が整っていないときは、普段より熱中症になりやすいとされています。暑さに慣れていない梅雨の晴れ間や、急に気温が上がった日にも注意しましょう。
熱中症の初期には、めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、筋肉痛、足がつるといった症状が現れることがあります。症状が進むと、頭痛、吐き気、嘔吐、強いだるさ、集中力や判断力の低下などがみられます。
呼びかけへの返事がおかしい、普段どおりに歩けない、意識がもうろうとしている、けいれんがあるといった場合は、重い熱中症の可能性があります。体温がそれほど高くなくても、症状や周囲の環境から熱中症が疑われることがあるため、体温の数値だけで判断しないことが大切です。
子どもや認知症のある人、障害などにより体調を伝えにくい人では、顔の赤み、元気のなさ、食事や水分量の低下、反応の鈍さなどが手がかりになります。周囲の人は、普段との違いを確認してください。
暑さによる危険度を知る指標として、暑さ指数があります。暑さ指数は気温だけでなく、湿度、風、日射や周囲から受ける熱などを考慮したものです。同じ気温でも、湿度や日差しによって熱中症の危険性は変わります。
環境省の熱中症予防情報サイトでは、地域ごとの暑さ指数の実況値と予測値を確認できます。気象庁と環境省が発表する熱中症警戒アラートも、暑さ指数を基にしています。
アラートが発表されていない日でも、体調や活動内容、建物内の環境によっては熱中症になる場合があります。外出、運動、庭仕事などの予定があるときは、気温だけでなく暑さ指数も確認し、危険性が高い時間帯を避けます。
熱中症警戒アラートが発表された日は、外出や運動をできるだけ控え、エアコンなどを使える涼しい場所で過ごします。本人だけで暑さを判断することが難しい場合は、家族や支援者が室温と体調を確認しましょう。
熱中症予防の基本は、暑さを避けることと、こまめに水分を補給することです。のどの渇きを感じてから一度に多く飲むのではなく、起床時、外出前、休憩時、入浴の前後など、生活の区切りに合わせて補給します。
大量に汗をかいたときは、水分とともに塩分も失われます。食事をとれている場合は、通常の食事から塩分を補給できることもあります。長時間の運動や作業で多量に発汗した場合は、塩分を含む飲み物などが役立つことがあります。
ただし、高血圧、心臓病、腎臓病、糖尿病などがある人は、水分量や塩分量に個別の調整が必要です。経口補水液や塩分タブレットを日常的に多くとるのではなく、主治医や管理栄養士の指示を優先してください。
室内ではエアコンや扇風機を適切に使い、遮光カーテンやすだれで日差しを防ぎます。外出時は、通気性のよい衣類、帽子、日傘を利用し、日陰や冷房のある場所で休みます。保冷剤や冷たいタオルで首や手足を冷やす方法もあります。
体が暑さに慣れることを暑熱順化と呼びます。暑くなる前の時期から、無理のない範囲で歩く、入浴するなど、汗をかく機会をつくることで、体が暑さに対応しやすくなるとされています。
ただし、体調が悪い日に無理に運動する必要はありません。高温の時間帯を避け、短い時間から始めます。心臓や呼吸器の病気がある人、運動を制限されている人は、医師に相談してから行ってください。
睡眠不足や食事不足は、暑さへの対応力を低下させることがあります。朝食を抜かず、休養を確保し、発熱、下痢、嘔吐などがある日は外出や運動を控えます。
介護や見守りが必要な人には、室温計を見える場所に置き、エアコンの設定や水分補給を支援します。暑さを感じにくい人もいるため、本人が暑くないと話していても、室温や衣類、汗の状態を確認することが大切です。
熱中症が疑われる人を見つけたら、エアコンが効いた室内や風通しのよい日陰など、涼しい場所へ移動させます。衣類を緩め、皮膚を水でぬらして扇風機やうちわで風を当てます。保冷剤などがある場合は、首、脇の下、脚の付け根などを冷やします。
本人の意識がはっきりしており、自分で安全に飲める場合は、冷たい水分や経口補水液を少しずつ補給します。吐き気が強い人、呼びかけへの反応がおかしい人、自力で飲めない人には、誤嚥のおそれがあるため無理に飲ませてはいけません。
意識がもうろうとしている、会話が成り立たない、けいれんがある、自力で水分を飲めない、体が非常に熱い場合は、ためらわずに救急車を呼びます。救急隊を待つ間も、できる範囲で体を冷やし続けてください。
涼しい場所で休み、水分を補給しても症状が改善しない場合や、頭痛、吐き気、強いだるさが続く場合は、医療機関へ相談します。一度回復したように見えても、その日は運動や作業へ戻らず、体調の変化を見守ることが大切です。
熱中症は、屋外にいる人だけの問題ではありません。暑さ指数と体調を確認し、涼しい環境、水分補給、休憩を組み合わせることが予防につながります。本人が対策を取りにくい場合は、家族や周囲の人が声をかけ、早めに安全な環境へ移れるよう支援しましょう。