秋から冬に増えやすいインフルエンザ 家庭での備えと受診の目安

2026/8/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

秋から冬は呼吸器感染症に備えたい時期

秋が深まり気温が下がってくると、学校や職場、家庭など、人が集まる場所ではさまざまな呼吸器感染症が広がることがあります。インフルエンザもその一つです。日本では冬季を中心に流行することが多いものの、流行が始まる時期や規模はシーズンによって異なります。

日常生活では人との接触を完全に避けることは難しいため、感染しないことだけを目標にするのではなく、流行に備えて手洗いなどの基本的な対策を続け、体調を崩したときに早めに気づけるようにしておくことが大切です。秋ごろから地域の感染症情報や予防接種について確認しておくと、冬を迎えてから慌てずに対応しやすくなります。

インフルエンザでは全身の症状にも目を向ける

インフルエンザでは、発熱、咳、鼻水、のどの痛みなどのほか、強いだるさ、頭痛、筋肉痛や関節痛などが現れることがあります。ただし、症状の出方には個人差があり、必ずしも高熱が出るとは限りません。

体温だけを見るのではなく、食事や水分が取れているか、呼吸は苦しくないか、普段と比べて活動量が大きく低下していないか、十分に眠れているかなど、全身の状態を確認することが大切です。

特に乳幼児や高齢者、自分の体調をうまく伝えにくい人では、機嫌や反応、食事量、普段との様子の違いが体調悪化の手がかりになることがあります。インフルエンザ以外の感染症でも似た症状はみられるため、発熱だけで病名を決めつけず、周囲の流行状況や全身状態を含めて判断することが重要です。

日常生活で続けたい感染対策と予防接種

感染対策の基本となるのは、外出後や食事前などの手洗いです。咳やくしゃみがある場合は、咳エチケットを意識します。家庭内に発熱や咳などの症状がある人がいるときは、タオルなどの共用を避ける、よく触れる場所を清潔に保つ、可能な範囲で換気するといった対策も考えられます。

一方で、感染を心配するあまり日常生活を必要以上に制限するのではなく、睡眠、食事、休養など、普段の生活リズムを整えることも体調管理の基本です。

インフルエンザにはワクチンがあり、年齢や健康状態などに応じて接種を検討できます。接種できるワクチンの種類や対象などは変わる場合があるため、そのシーズンの最新情報を確認しましょう。持病がある人、妊娠中の人、過去のワクチン接種で強いアレルギー反応があった人などは、医師に相談したうえで検討することが大切です。

発熱中は水分と休息を優先する

インフルエンザなどの感染症が疑われるときは、無理に食事を取ることよりも、まず水分を保てているかを確認します。一度にたくさん飲めない場合は、少量ずつ回数を分けて摂取するとよいでしょう。食欲が戻ってきたら、食べやすいものから徐々に普段の食事へ戻します。

発熱しているからといって厚着をしすぎると、かえってつらく感じることがあります。寒気があるときは保温し、暑く感じるようになったら衣服や寝具を調整するなど、本人の状態に合わせます。

解熱薬や抗インフルエンザ薬などは、年齢や持病、症状によって適した使い方が異なります。家に残っている処方薬を自己判断で使ったり、家族の薬を分けてもらったりせず、医師や薬剤師の指示に従うことが大切です。

呼吸や意識の変化は早めの相談につなげる

発熱があっても水分が取れ、呼吸が安定し、意識がはっきりしている場合は、診療時間内に医療機関へ相談できることもあります。

一方で、息苦しさが強い、呼吸が明らかに速い、唇や顔色が悪い、水分がほとんど取れず尿が大きく減っている、ぐったりして反応が鈍い、けいれんを起こした、意味の分からない言動や異常な行動がみられるといった場合は、速やかな医療相談が必要です。特に呼びかけても反応しない、明らかな呼吸困難があるなど、急激な悪化がみられる場合には救急要請も検討します。

乳幼児や高齢者、妊娠中の人、基礎疾患のある人などは、感染症によって体調が悪化する可能性もあるため、気になる変化がある場合は早めに医療機関へ相談しましょう。家庭で病名を確定させようとするよりも、呼吸、意識、水分摂取、顔色、普段との様子の違いを丁寧に見ることが重要です。

回復後も体力に合わせて生活を戻す

熱が下がっても、すぐに体力が元通りになるとは限りません。回復の速さには個人差があるため、食欲や睡眠、活動量などが十分に戻るまでは、激しい運動や長時間の外出を避け、無理のない範囲で日常生活へ戻していきます。

学校や園、職場などへの復帰については、それぞれのルールや医療機関からの指示を確認することも大切です。家庭内で感染者が出た場合は、ほかの家族にも発熱や咳、だるさなどがないか、しばらく注意しておくとよいでしょう。

秋から冬はインフルエンザだけでなく、複数の呼吸器感染症が同時に流行することがあります。毎年の流行状況を確認しながら、基本的な感染対策と予防接種、体調変化への早めの対応を組み合わせて、自分自身や家族の健康管理につなげていくことが大切です。

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