記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/8/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子どもは、寝返り、はいはい、つかまり立ち、歩行と成長するにつれて行動範囲が広がります。一方で、危険を予測したり、とっさに体を守ったりする力はまだ十分ではありません。家庭ではベッドやソファからの転落、家具への衝突、転倒によるすり傷などが起こることがあります。消費者庁は、子どもの転落事故について、保護者が一瞬目を離した場面でも起こり得るとしており、見守りだけでなく事故が起こりにくい環境を整えることを呼びかけています。
けがをしたときは、大人が慌てて子どもをすぐに立たせたり動かしたりするのではなく、まず意識や呼吸、出血の有無、痛がっている場所などを確認します。年齢が低いほど、痛みや気分の悪さを言葉で伝えることは難しくなります。泣き方、顔色、手足の動かし方、普段との反応の違いなども、状態を判断する手がかりになります。
転んで膝や手をすりむいた場合は、まず傷口についた砂や泥などの汚れを確認します。消防庁では、汚れたすり傷や切り傷について、水道水などの清潔な流水で十分に洗うことを案内しています。 傷口を強くこする必要はありません。汚れを洗い流した後は、清潔なガーゼなどで保護します。
切り傷から出血している場合は、清潔なガーゼや布を当て、傷口を直接圧迫して止血します。途中で何度もガーゼを外して確認すると、固まり始めた血がはがれて再び出血することがあります。一定時間しっかり圧迫しても出血が続く、傷が深く開いている、ガラスなどの異物が刺さっている場合は医療機関へ相談します。刺さっている物を家庭で無理に引き抜くと出血が強くなる可能性があるため、そのままの状態で医療につなげることが大切です。
乳幼児は体に対して頭の割合が大きいため、転倒や転落の際に頭を打つことがあります。日本小児科学会の「こどもの救急」では、頭を強くぶつけた場合、出血があれば乾いたタオルなどで圧迫し、体を強くゆすったりたたいたりしないよう案内しています。状態が落ち着いている場合でも、数時間は注意深く様子を見ることが大切です。
頭を打った直後に泣き、その後普段に近い様子へ戻っていても、時間がたってから体調が変化する場合があります。意識がおかしい、けいれんする、繰り返し吐く、歩き方がおかしい、手足を普段どおり動かせないなどの症状がみられる場合は、速やかに医療機関へ相談します。呼びかけへの反応がなく、普段どおりの呼吸も確認できない場合は、119番へ連絡し、指令員の案内に従いながら救命処置を行います。
転倒した後に腕や脚を強く痛がる、腫れが目立つ、手足を動かそうとしない、いつものように歩けないといった場合には、骨折や関節のけがなども考えます。子どもの骨折は、見た目だけでは分かりにくいことがあります。痛みが強い部分を何度も動かして確かめたり、曲がっているように見える手足を家庭で元に戻そうとしたりすることは避けます。
日本赤十字社では、骨折が疑われる場合は患部を安静にし、骨折部分が曲がっていても無理に元へ戻さず、その状態で固定することを基本としています。 家庭では、専門的な固定を無理に行うより、本人が楽な姿勢でできるだけ動かさないようにし、受診につなげることが大切です。強い変形がある、痛みが非常に強い、指先や足先の色が悪いなど気になる変化がある場合は、早めに医療機関へ相談します。
子どものやけどは、熱い飲み物や料理、調理器具、暖房器具など、日常生活の中でも起こることがあります。やけどをしたら、まず熱源から離し、できるだけ早く患部を流水などで冷やします。衣服の上から熱湯がかかった場合は、無理に服を脱がせることで皮膚を傷つけることがあるため、衣服の上から冷却する方法があります。消防庁では、水ぶくれは傷口を保護する役割があるため、家庭でつぶさずに冷却して受診するよう案内しています。
皮膚が白くなっている、黒く焦げたようになっているなど、深いやけどが疑われる場合は、痛みが強くなくても医療機関での診察が必要です。 乳幼児では体が小さいため、大人では狭く見える範囲でも体全体に占める割合が大きくなることがあります。やけどの範囲や深さを家庭だけで判断しにくい場合も、医療機関へ相談するとよいでしょう。
子どものけがをすべて防ぐことは難しいものの、重い事故につながる危険を減らすことはできます。消費者庁は2026年の注意喚起で、家具やベッドからの転落を防ぐため、高さのある場所へ一時的であっても乳幼児を寝かせないこと、階段には適切にベビーゲートを設置すること、窓やベランダの近くに足場になる物を置かないことなどを挙げています。
事故対策では、子どもから常に目を離さないよう保護者だけに負担を求めるより、事故が起きにくい環境をつくることが重要です。昨日まで手が届かなかった場所へ突然手が届くようになるなど、子どもの発達は短期間でも変化します。家具の配置、階段、窓、暖房器具、熱い飲み物を置く場所などは定期的に見直しましょう。
けがをした後に、意識障害や呼吸の異常、大量の出血、けいれんなど急激な体調変化がある場合は救急要請を検討します。一方、緊急性の判断に迷う場合は、かかりつけ医や地域の小児救急電話相談などを利用する方法があります。家庭で診断をつけようとするのではなく、けがをした状況とその後の子どもの変化を観察し、必要な医療へつなげることが大切です。