記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
基本的に健康な人は低血糖を起こしにくいですが、糖尿病患者さんは治療の関係で低血糖を起こす可能性があります。今回は「低血糖の症状が出た場合の対応方法」や「自分で対応できない場合の対処方法」についてご説明します。万が一の場合に備えて、患者さんだけでなく、ご家族の方なども対応方法について知っておくようにしてください。
軽度の低血糖になると、強い空腹感、眠気、ふらつき、発汗、ふるえ、倦怠感、集中力の低下などの症状が現れます。ただ、軽度の低血糖は糖分を補給することで回復するものなので、これらの症状を自覚したらすぐに以下のような食品・飲料を摂取してください。
その後15分程度経っても症状が改善しない場合は、再度、ブドウ糖や砂糖などを摂取してください。それでも症状が改善しない場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
人工甘味料を含む飲料などを摂っても、低血糖の症状は改善しないので注意してください。この理由は「人工甘味料は糖分を含まないため、血糖値を上昇させない」からです。そのため、清涼飲料水などで糖分を補給する場合は、原材料名などの確認が必要になります。
α-グルコシダーゼ阻害薬には二糖類や多糖類の消化を緩やかにして、血糖値の上昇を抑える働きがあります。そして、砂糖は二糖類なので、服薬中は血糖値が上がりにくくなってしまうのです。そのため、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している方が低血糖の症状を起こした場合は、ブドウ糖で糖分を補うことが大切だといえるのです。
ただし、すぐにブドウ糖を確保できない場合は、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用中でも砂糖などを摂りましょう。なぜなら、低血糖時に一番大切なことは「素早く糖分を補給すること」だからです。そのため、ブドウ糖を摂取した方が良いのですが、状況次第では砂糖を摂取するのも大事なので覚えておいてください。
重度の低血糖を起こすと、意識不明や昏睡といった症状がみられる可能性もあります。もしこういった状況になったら、周りの人(家族や職場の同僚など)に糖分を補給してもらう必要があります。そのため、以下で説明するような対処法を伝えておくといいでしょう。
もし重度の低血糖者を発見した場合は、その方が常備しているブドウ糖や砂糖などを口に含ませてください。また、飲み込むことが難しそうな場合は、無理に飲ませようとせず、ブドウ糖などを唇や歯茎などに塗りつけるだけでも大丈夫です。なお、これは応急処置でしかないので、その後、すぐに救急車を呼んでください。
ご家族の方はグルカゴンの注射方法についても知っておきましょう。グルカゴンは「血糖値を上昇させる」働きがある物質で、特に1型糖尿病患者さんや重度の低血糖症を起こす恐れのある方には望ましい応急処置といえます。主治医から使用方法などを説明してもらい、万が一の場合に迅速に対応できるようにしておきましょう。
糖尿病患者さんは、万が一の場合に備えて「糖尿病患者用IDカード」を所持しておくこともおすすめです。このIDカードは日本糖尿病協会から発行されているカードで、緊急時に周囲の人や医療従事者に「自分が糖尿病であること」を知らせることができるものです。低血糖により意識不明などを起こした場合に備え、日ごろから所持しておくといいでしょう。
仮に低血糖の症状が現れたとしても、すぐに糖分を摂取すれば回復する場合が多いです。そのため、ご自分の低血糖の特徴をよく理解しておき、異変を覚えた時点ですぐに対応することが肝心だといえます。
なお、本文の途中で紹介したα-グルコシダーゼ阻害薬は、生活指導やインスリン製剤だけでは「血糖コントロール」が難しい場合に処方されることがあります。もし服用しているお薬の種類がわからない場合は、あらかじめ主治医に確認しておきましょう。
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