記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
低血糖の発作ではどのような症状が起こるのでしょうか?また、発作が起きたときはどのように対処すればいいのでしょうか?低血糖の発作について解説していきます。
低血糖症状が起こっても糖分を補給しないでいると、病態の進行に伴い意識障害が起こり、自分で対処することが難しくなり、最悪の場合は、低血糖昏睡に陥り死に至ることもあります。
また低血糖になると、自律神経でも中枢神経の症状でもない、空腹感、霧視(霧の中にいるように見える)、頭痛などの症状が起こることもあります。
低血糖の症状が現れる血糖値の数値(閾値)は人により異なるため、血糖コントロールが悪い人の場合はかなり数値が下がっていても症状が見られないこともあります。また、一度高度の低血糖になると、閾値が低下してから自律神経や中枢神経の症状よりも早く意識障害が起こるようになる「無自覚性低血糖」になることもありますが、この場合は症状が起こってから1~2ヶ月間低血糖がなければ閾値は元の数値に戻るとされています。
糖尿病の合併症で自律神経の乱れが起こっている場合でも、無自覚性低血糖が見られることがあるのですが、この場合は一度起こると繰り返し起こるようになるため注意が必要です。そして、低血糖で現れる症状は人により異なるため、その人にはどのような症状が起こるかを知っておくことが大切です。
低血糖の代表的な症状はご紹介したとおりですが、すべての人にこういった症状が出るわけではなく、かなりの個人差があります。そのため、一度低血糖を経験したら、その症状をしっかり覚えておき、次の低血糖時に備えておくようにしましょう。
低血糖が起こったときは、ブドウ糖を10~15gほど摂取して安静にしていましょう。
ただし15分ほど経過しても症状が改善しない場合は、ブドウ糖の量を追加してください。意識がある場合は、自分で血糖値を計測して低血糖の有無を確認するといいでしょう。
また、低血糖が起こりそうなときは運転は控え、運転中に低血糖になったときは周囲の安全を確認してから運転を中止してください。
ブドウ糖はいつでもすぐに取り出せるように、車、机、スーツ、バッグの中などに入れておくようしましょう。糖分を含まない人工甘味料ではなく、溶けやすくて吸収の速いブドウ糖にしてください。
手元にブドウ糖がない場合は、ブドウ糖を含む市販のジュースを100~150mLほど飲用しましょう(人工甘味料入りのダイエット飲料では効果は得られません)。
ブドウ糖が手元にないときには砂糖でも代用することができますが、αグルコシダーゼ阻害薬(グルコバイ、ベイスン、セイブル)を服用している人の場合は、ブドウ糖の摂取が必要となります。αグルコシダーゼ阻害薬にはでんぷんを時間をかけて分解する作用があるため、砂糖が分解されてブドウ糖になり低血糖が改善されるまでには時間を必要とします。
また、αグルコシダーゼ阻害薬の服用のみでは低血糖になりませんが、SU薬やインスリン注射を併用している場合は注意が必要なため、常にブドウ糖を携帯しておくようにしましょう。
糖尿病を患っている人に、一点を見つめて動かない、話しかけても反応がないなどの症状が見られる場合は、周囲の人(ご家族や職場の人)が患者さんにいくつか質問をして意識レベルを確認してみましょう。
そして低血糖が確認ができた場合は、コップ半分の水にブドウ糖を入れて溶かしたものを飲ませてください。それでも症状が改善しない、ブドウ糖を飲み込めない、昏睡状態が見られる場合などは、医師から処方されているグルカゴン1バイアルを注射してください。
もしグルカゴン注射をしてから5分経過しても症状が改善しない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
また、患者さんの意識が戻った場合は、糖分もしくは炭水化物食品を1~2単位程度経口摂取させる必要があります。低血糖の原因となった薬物が体内に残留している場合は再び低血糖が起こる可能性があるため注意が必要です。
外出先で低血糖になり意識障害が起こった場合に備え、氏名や自宅や病院の連絡先などが確認できるメモや専用のIDカードを持ち歩くようにすることも大切です。
低血糖になり発作が起こると、主に自律神経や中枢神経の症状のほか、空腹感、霧視、頭痛などが起こります。また、重度になると意識レベルの低下、異常行動、けいれん、昏睡などが起こるため、早めの対処が必要になります。外出先で低血糖が起きたときに備え、ブドウ糖やIDカードを常備しておくようにしましょう。
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