低血糖脳症とは ― 意識障害が起きたら回復の見込みはあるの?

2018/10/14

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

糖尿病、および糖尿病治療に関する病気の1つに、低血糖脳症があります。
発症すると、急激な血糖値低下から意識障害や昏睡など深刻な状態に陥るのが特徴です。
今回は低血糖脳症という病気について、発症原因から症状、そして発症した場合の回復の程度や可能性まで解説していきます。

低血糖脳症ってどんな病気?

低血糖脳症(ていけっとうのうしょう)とは、主に糖尿病治療中の不適切な食事や運動習慣、またはインスリン投与などによって長時間低血糖状態に陥ることで起こります
本人や医療機関でのインスリン投与が適切な量やタイミングで行われなかった場合に起こりやすい、緊急性の内分泌疾患です。

発症時には主に意識障害を起こしますが、意識障害の程度や症状が続く時間は投与されたインスリンの種類や作用、本人の状態によっても大きく変わってきます。
軽症で早期に糖を投与した場合はすぐに意識が回復しますが、発見と治療開始が遅れた場合には、数日~数週間単位の長期にわたり意識が戻らない昏睡状態になることもあります。

低血糖脳症で意識障害が起こると、回復の可能性はある?

低血糖脳症で意識障害が起きた場合、発見や治療が遅れた時間分だけ脳の働きに必要な糖の供給が著しく遮断されるため、徐々に脳機能が低下していきます。このため、低血糖脳症を発症した人のなかには意識が回復しても脳に何らかのダメージ、または後遺症がのこってしまうケースも少なくありません。

意識回復後、後遺症や脳機能をどの程度回復できるかは患者によって大きく異なり、実際の症例としては以下のようなケースが報告されています。

  • 発症から20日程度で意識を回復、検査で脳の損傷や後遺症が見られたが、徐々に回復して歩行や食事、日常生活を問題なく送れる程度にまで脳・身体機能が回復した
  • 発症から10日程度で意識は回復したものの、脳にダメージが見られ言語理解や発話・食事不能という後遺症がのこり、実質の植物状態となった
  • 発症から20日程度で意識は回復したが、脳に受けたダメージから著しい過食や暴言・暴力行動を自制できなくなる後遺症が残った

上記のとおり、低血糖脳症で意識障害が起こった場合の回復状態や予後には個人差が大きく、その症状は一定しません。
また意識障害や後遺症、高次脳機能障害から死に至るケースも、決して少なくないのです。

低血糖脳症による意識障害を起こしても回復できる可能性はありますが、発症前と全く同じ生活に戻ることは難しいと考えた方がいいでしょう。

おわりに:低血糖脳症による意識障害から回復はできても、後遺症がのこるリスクが高い

低血糖脳症は、糖尿病治療中に起こりやすい緊急性内分泌疾患であり、発症すると深刻な意識障害を引き起こします。意識障害を起こしている間は脳への糖供給が著しく低下するため、意識が回復しても何らかの脳ダメージや後遺症がのこるケースも珍しくありません。糖尿病治療中には医師の指導のもと、低血糖脳症を起こさないよう日ごろの生活や治療内容に十分な注意をはらうようにしてください。

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