低血糖症になったら気をつけたい、食事の摂り方ってどんなこと?

2018/10/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

低血糖症になったらどのような食事をすればいいのでしょうか?食べてはいけないものなどはあるのでしょうか?低血糖症の人の食事のポイントについて解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

低血糖症になったら、食事の摂り方でどんなことに気をつければいい?

低血糖症を予防するためには、食事と食事の間隔を長く空けないことが大切なため、午前中に1~2回、午後に2~3回に食事(サプリメントを含め)摂り、就寝1時間前にもプレーンヨーグルトや牛乳などの軽食を食べるようにしましょう。
また、食前や空腹時に過度な運動をしたり、食事量を減らしすぎないようにしましょう。

そして、食べ過ぎを避け、食後2時間位に種子類・ナッツ類・ヨーグルトなどの間食を摂るなど、少量頻回食にするようにし、ゆっくりとよく噛んで食べるようにしましょう。
総コレステロールが低値の人はタンパク質を多く摂取するように心がけ、タンパク質を空腹時に食べるときには、タンパク質、サラダ、炭水化物の順で食べるようにしましょう。

膵臓には、ブドウ糖を調節する作用のあるインスリンやグルカゴン、デンプンを分解する作用のあるアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼを分泌する役目を担っています。この膵臓を保護するためには、糖分や脂肪を多く含む食べ物を食べ過ぎないようにすることが大切です。

また、ストレスが加わると、ビタミンB群・副腎皮質・髄質ホルモンが通常の数倍使用されるといわれているため、睡眠や休養を十分にとり、カルシウムやマグネシウムなどをしっかりと摂取するようにしてください。

そのほか、低血糖時は視床下部を通して副交感神経が刺激されてインスリンの分泌が過剰になり、ガストリンの分泌が促進されて胃酸の量が増えるため過食にもなりやすくなります。食べ過ぎには十分注意しましょう。

また、低血糖症の人はセロトニンが不足しやすいといわれているので、以下のような食品を摂り、朝日を浴びるように心がけてください。

トリプトファン
かつお、しいたけ、こんぶ、いりこ、ナッツ、バナナなど
ビタミンB6
かつお、まぐろ、レバー、肉、バナナなど
マグネシウム
アーモンドなどのナッツ類、魚介類、海藻類、野菜類、豆類など

アルコール・タバコ・カフェインについて

アルコールを摂取すると、インスリンを分泌する際に必要なカルシウムやマグネシウムなどの栄養素が尿中に排出されるため、控えましょう。
また、アルコールやタバコ、カフェインは、ビタミンCを枯渇させたり、血糖値を上昇させる原因となりますので、こちらも控えるようにしてください。

食事としてNGなもの、おすすめのものは?

NGなもの、摂取に注意が必要なもの

  • ミネラルが欠乏している、冷凍、レトルト、インスタント食品などは控えましょう。
  • 初期には砂糖を多く含むものだけでなく、果物も避けた方がいいでしょう。
  • 砂糖を大量に含む缶ジュースは避けましょう。また、治療の初期では吸収の速い果実や野菜のジュースも避けた方がいいでしょう。治療開始から1ヶ月経過した頃から少量ずつ摂取することができます。
  • 副腎を刺激して血糖値を上昇させる作用のあるチョコレート、紅茶、コーヒー、コーラなどのカフェインを含むものは摂り過ぎないようにしましょう。カフェインは治療開始から1ヶ月経過した頃から1日1杯まで、薄いものをミルク入りで飲むことができます。
  • 血糖値を上昇させて、副腎と膵臓を疲労させる作用があるためタバコは避けましょう。

おすすめの食べ物

  • 低血糖の人はアレルギー性皮膚炎になることが多いため、亜鉛やビタミンBを積極的に摂取しましょう。
  • 玄米・胚芽米・全粒粉の小麦粉などの未精製の穀物は、ブドウ糖の吸収を緩やかにする効果に加えてビタミンやミネラルも摂取できます。
  • 人工甘味料・香料・色素・化学調味料は避け、なるべく粗製糖・粗製塩・昆布・煮干などの天然調味料を使用するようにしましょう。
  • 揚げ油の吸収率は素揚げが最も低く、オリーブ油や胡麻油なども良いとされています。
  • 穀物・種子・ナッツ類などに含まれる、ビタミンB群・ビタミンE・ミネラルなどは、糖代謝などの身体の中の化学反応を促進する効果があります。
  • 穀類ではソバやキビが低血糖に良いとされています。特にソバにはマグネシウム・マンガン・亜鉛などが豊富に含まれており、その中でもルチンは血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。
  • インスリン様性質を含むにんにく、玉ねぎ、ねぎなどは低血糖に良いとされています。
  • 果物は生で旬のものを選ぶといいでしょう。特に朝食として食べるのがおすすめです。
  • プレーンヨーグルト、その他の発酵乳をコップ1杯程度食事に加えるといいでしょう。
  • アボガドにはインスリン産生を抑制する作用があるためおすすめです。
  • ご飯やパンなどの炭水化物を摂取する前に、ブドウ糖の吸収を緩やかにする働きのある食物繊維(きのこ類、海藻、野菜)や、消化に時間を要するタンパク質を摂取するといいでしょう。
  • 野菜、きのこ、海藻、大豆、肉、魚介類、玄米ご飯などの低GI食品は、血糖値の上昇を緩やかにするスローフードと呼ばれており、低血糖の人におすすめです。

おわりに:低血糖を予防・改善する食生活を心がけましょう

低血糖症になったら、糖質・コレステロール・カフェイン・アルコール・人工甘味料・香料・色素・化学調味料などを多く含む食品を避け、食前や空腹時に過度な運動をしたり、食事量を減らしすぎないようにする必要があります。また、ゆっくりとよく噛んで食べたり、食後2時間位に種子類・ナッツ類・ヨーグルトなどの間食を摂るなどして、少量頻回食を心がけることも大切です。

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