子どもの薬で迷う時 飲み忘れや吐いたときの対応

2026/8/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

子どもの服薬では予定どおりにいかないこともある

子どもに薬を飲ませていると、飲むのを嫌がる、予定していた時間を過ぎてしまう、飲んだ直後に吐くなど、対応に迷うことがあります。特に乳幼児では、薬を飲む理由を十分に理解することが難しく、体調が悪ければ普段以上に拒むこともあります。
こうしたときに大切なのは、何とか決められた量を飲ませようとして、自己判断で量や回数を変更しないことです。薬によって服用間隔や、飲み忘れた場合の対応が異なることがあります。また、子どもでは年齢だけでなく体重や症状などを踏まえて薬が処方される場合があります。
薬を受け取る際には、1回量と回数だけでなく、飲み忘れた場合、吐いた場合、食事が取れない場合の対応も薬剤師へ確認しておくと安心です。薬袋や説明書は服用期間中も保管し、家族の複数人が薬を飲ませる場合は、いつ誰が飲ませたか共有できるようにしておきましょう。

飲み忘れても2回分をまとめて飲ませない

朝の支度で慌ただしかった、子どもが眠ってしまったなど、薬を飲ませ忘れることは家庭でも起こり得ます。厚生労働省と日本薬剤師会による一般向け資料では、薬を飲み忘れた際に2回分をまとめて飲まないことが示されています。次の服用時間が近い場合など、具体的な対応は薬によって異なるため、説明された方法に従うことが基本です。
特に抗菌薬や抗てんかん薬など、一定の間隔で継続して服用することが重要な薬もあります。いつ飲み忘れたか分からない、次の服用までどの程度空ければよいか判断できない場合は、調剤した薬局や処方した医療機関へ相談します。
飲み忘れが繰り返される場合は、家族の生活リズムに合った管理方法を考えます。服薬時間を記録する、家族で共有するカレンダーを使うなど、記憶だけに頼らない仕組みをつくることも有効です。電子版お薬手帳には服薬情報を管理できるものもあり、医師や薬剤師との情報共有にも活用できます。

薬を飲んだ後に吐いたときは経過時間を確認する

子どもは発熱や胃腸炎などで吐きやすくなっていることがあり、薬を飲ませた直後に吐いてしまう場合があります。国立成育医療研究センターでは、一般的な目安として、薬を飲んですぐに吐いた場合にはもう一度1回分を飲ませ、30分以上経過してから吐いた場合には、薬が吸収されている可能性があるため再度飲ませる必要はないと案内しています。
ただし、すべての薬について一律に同じ対応ができるわけではありません。薬の種類、剤形、吐いた量、服用から嘔吐までの時間などによって判断が変わる可能性があります。吐いた時刻が分からない、薬をどの程度吐き出したか判断できない、重要な薬を継続して服用しているといった場合には、追加分を自己判断せず医師や薬剤師へ相談すると安全です。
嘔吐を繰り返して水分も取れない、尿が明らかに減っている、ぐったりしているなどの場合は、薬を飲ませることだけにこだわらず、脱水や病気そのものの悪化について医療機関へ相談します。

粉薬を嫌がるときは少量で飲み切れるよう工夫する

粉薬は苦味、におい、ざらつきなどを嫌がる子どももいます。PMDAでは、粉薬を服用直前に少量の水や湯ざましと混ぜ、スプーンやスポイトなどで口に入れる方法を案内しています。少量の水でペースト状にし、頬の内側などにつけた後、水や湯ざましを飲ませる方法もあります。
食べ物へ混ぜる場合は、確実に食べ切れる少量を使います。ミルクやおかゆなどの主食へ混ぜると、薬の味をきっかけに主食そのものを嫌がる可能性があるため避けます。また、一部の薬ではオレンジジュース、スポーツドリンク、乳酸菌飲料など酸味の強いものと混ぜることで、苦味が強くなったり薬の性質に影響したりする場合があります。混ぜた状態で長時間置かず、服用直前に準備することも大切です。
薬によって相性のよい食品は異なります。毎回飲ませるのに苦労する場合は、剤形を変更できることもあるため、薬剤師や医師へ相談しましょう。

残った薬や兄弟の薬、市販薬を自己判断で使わない

以前と同じような咳や発熱があると、前回処方されて残った薬を使いたくなることがあります。しかし、同じように見える症状でも原因が同じとは限りません。PMDAは、過去に処方されて残った薬を自己判断で使用したり、ほかの人へ渡したりしないよう案内しています。成人には使用できても小児には適さない薬もあります。
兄弟姉妹についても同様です。同じ家庭で同じ感染症にかかったように見えても、体重や病状によって適切な薬や量が異なる場合があります。本人以外に処方された薬を使うことは避けます。
市販のかぜ薬や解熱鎮痛薬などを追加するときも注意が必要です。処方薬と同じ成分や似た作用の成分が含まれている可能性があります。PMDAは、複数の医療機関や薬局を利用する際、市販薬を含めて現在使用している薬をすべて伝えるよう案内しています。 お薬手帳を持参すると、薬の重複や飲み合わせを確認してもらいやすくなります。

薬を使った後の普段と違う変化にも注意する

薬を飲んだ後に発疹、強い眠気、嘔吐など普段と異なる症状が現れた場合は、薬との関連を含めて医師や薬剤師へ相談します。PMDAも、医療用医薬品の使用中に気になる症状が現れた場合には、副作用の可能性も考えて医師または薬剤師へ相談するよう案内しています。
特に、呼吸が苦しそうになる、唇や顔が腫れる、意識がぼんやりする、呼びかけへの反応が悪い、けいれんするといった急激な変化がある場合は、速やかな医療対応が必要です。薬を多く飲んだ可能性がある場合も、症状が出るまで待つのではなく、薬の名称、飲んだ可能性のある量、時刻を確認して医療機関などへ相談します。
子どもの薬は、毎回予定どおりに飲ませられるとは限りません。迷ったときに家族だけで答えを出そうとせず、薬袋やお薬手帳を確認し、調剤した薬局や医療機関へ相談することも服薬管理の一部です。飲み忘れや嘔吐が起きた場合の対応を薬を受け取る時点で確認しておくと、体調が悪いときにも落ち着いて対応しやすくなります。

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