記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/8/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
突然じんましんや皮膚の赤みが出ると、アレルギーを心配することがあります。アレルギー反応では、皮膚のかゆみやじんましん、唇やまぶたの腫れだけでなく、咳、ゼーゼーする呼吸、腹痛、嘔吐などが現れることもあります。
日本アレルギー学会では、アナフィラキシーについて、アレルゲンなどが体内に入った後、複数の臓器に急速に強いアレルギー症状が現れ、生命に危機を与える可能性がある過敏反応としています。血圧低下や意識障害を伴う状態は、アナフィラキシーショックと呼ばれます。
原因としては食物が代表的ですが、医薬品やハチなどの昆虫による刺傷などでもアナフィラキシーが起こることがあります。食事の後に症状が出た場合も、その食品だけが原因とは限りません。初めて症状が出たときは、食べたもの、薬の使用、虫刺され、運動など、症状が出る前の状況をできる範囲で確認し、医療機関へ伝えられるようにしておきます。
アレルギー症状が疑われるときは、じんましんの広がりだけを見るのではなく、呼吸や意識、全身の状態を確認します。声がかすれる、のどや胸が苦しい、強い咳が続く、ゼーゼーする、息がしにくいなどの呼吸器症状は、緊急性を判断するうえで重要です。
また、繰り返し吐く、強い腹痛がある、ぐったりする、意識がもうろうとする、唇や爪の色が青白く見えるといった変化にも注意します。食物アレルギーでは、症状が原因食物を食べてから数分以内に出ることもあれば、時間がたってから現れる場合もあり、症状の現れ方や進み方には個人差があります。
乳幼児など、自分の息苦しさや気分の悪さを十分に言葉で説明できない場合は、急に元気がなくなる、泣き方が弱くなる、呼びかけへの反応が普段と違うなどの変化も手がかりになります。年齢にかかわらず、皮膚症状だけに注目せず、短時間のうちに症状が増えたり悪化したりしていないかを確認することが大切です。
声がかすれる、息がしにくい、持続する強い咳やゼーゼーがある、繰り返し吐き続ける、ぐったりしている、意識がもうろうとしているといった緊急性の高い症状がみられる場合は、速やかに119番へ連絡します。アナフィラキシーでは症状が急速に進行することがあるため、すべての症状がそろうまで待つ必要はありません。
日本アレルギー学会では、アナフィラキシーが疑われる場合、原則としてあおむけで対応し、呼吸困難がある場合は呼吸しやすい姿勢、意識を失っている場合は横向きの回復体位とすることを示しています。本人の状態を確認しながら、救急隊の指示に従って必要な対応を行います。
以前にアナフィラキシーを起こしたことがあり、医師からアドレナリン自己注射薬のエピペンなどを処方されている場合は、事前に説明された緊急性の高い症状がみられた時点で速やかに使用します。本人が使用できない状態で、使用方法について指導を受けている家族や周囲の人がいる場合は、指示された方法に従って対応します。
アドレナリン自己注射薬は医療機関で治療を受けるまでの補助的な薬であるため、使用した後も救急搬送が必要です。
皮膚の一部に少数のじんましんが出ていても、呼吸が安定し、意識がはっきりしていて、ほかに症状がない場合は、医師からあらかじめ指示された対応に従いながら経過を観察できることもあります。
ただし、短時間でじんましんが全身へ広がる、唇や舌が腫れる、咳や腹痛、嘔吐など別の症状が加わる場合は、アナフィラキシーへの進行も考えて速やかに医療機関へ相談します。食物アレルギーの即時型反応では、急速に全身のさまざまな臓器へ症状が広がることがあるため、症状の重症度に応じた迅速な対応が重要です。
過去に医師から抗ヒスタミン薬などを処方され、症状が出たときの使用方法を指示されている場合は、その指示に従います。一方、アナフィラキシーが疑われる状態で、飲み薬を使用した後の改善を待つことは避けます。呼吸器症状や意識の変化など緊急性の高い症状では、救急対応とアドレナリンの使用が優先されます。
食事の後にアレルギー症状が出ると、原因と思われる食品を少量だけもう一度食べて確認したくなることがあります。しかし、次に食べたときの症状が前回と同じ程度になるとは限りません。特に、呼吸器症状や繰り返す嘔吐、ぐったりするなどの全身症状があった場合は、自宅で再び摂取して原因を確かめることは避け、医師へ相談します。
食物アレルギーの診断では、これまでに食べた食品と症状の関係を確認したうえで、必要に応じて血液検査などの検査や食物経口負荷試験が行われます。食物経口負荷試験はアレルギー症状が起こる可能性があるため、緊急時に対応できる医療体制のもとで実施されます。
また、血液検査で特定の食品に対する抗体が陽性だったという理由だけで、それまで問題なく食べられていた食品を自己判断で除去することが適切とは限りません。食べても症状が出ていない食品については、検査結果だけを理由に除去せず、医師と相談して判断することが重要です。
アレルギー症状が出た場合は、原因として考えられるもの、症状が始まった時刻、どのような症状がどの順番で現れたか、食べた食品や使用した薬などを記録しておくと診察の参考になります。安全を優先できる状況であれば、じんましんや腫れなどの状態を写真に残しておくのも一つの方法です。
食物アレルギーなどと診断された場合は、本人だけでなく、必要に応じて家族、職場、保育園、幼稚園、学校、介護施設など、日常生活で関わる人や施設とも情報を共有します。エピペンなどを処方されている場合は、使用する症状や使用方法、保管場所、緊急時の連絡方法について、本人と周囲の人が確認しておくことが重要です。
アレルギー反応は、皮膚の症状だけで落ち着く場合もあれば、短時間のうちに呼吸や意識に影響する場合もあります。年齢にかかわらず、自分や家族だけで病名や重症度を決めつけるのではなく、呼吸、意識、嘔吐など全身の変化を確認し、急激な悪化がある場合は速やかに医療へつなげましょう。