乳房の変化に気づくためのブレスト・アウェアネスと乳がん検診のポイント

2026/9/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ブレスト・アウェアネスとは乳房を意識する生活習慣

ブレスト・アウェアネスとは、自分の乳房の普段の状態を知り、変化に気づいたときに適切な受診につなげる生活習慣です。決められた方法で毎月自己触診を行い、自分で病気の有無を診断することとは考え方が異なります。国立がん研究センターのがん情報サービスでは、自分の乳房の状態を知る、乳房の変化に気をつける、変化に気づいたらすぐ医師に相談する、40歳になったら二年に一回乳がん検診を受けるという四つのポイントを示しています。入浴や着替えなどの日常生活の中で、自分の乳房が普段どのような状態かを自然に意識しておくことが基本です。毎日細かく確認して不安になる必要はありません。普段と違う変化があったときに、検診の日まで待たず受診できるようにしておくことが目的です。

しこりだけでなく皮膚や乳頭の変化も確認する

乳がんの変化として知られているのは乳房のしこりですが、それだけではありません。乳房の一部がくぼんで見える、皮膚が引きつれる、乳頭から血液が混じったような分泌物が出る、乳頭や乳輪の皮膚に治りにくいただれがあるといった変化がみられる場合があります。左右の乳房はもともと大きさや形が完全に同じとは限らないため、左右差そのものより、自分にとって新しく現れた変化かどうかを見ることが大切です。月経周期によって乳房が張ったり痛くなったりする人もいます。痛みがあるから乳がん、痛みがないから問題ないと単純に判断することはできません。気になる変化が続く場合には、乳腺外科などへ相談しましょう。家族歴などで乳がんのリスクが高い可能性を指摘されている人では、一般的な検診とは別の管理が必要になることもあります。

40歳以上は定期的な乳がん検診を受ける

国立がん研究センターでは、40歳以上の女性に二年に一回の乳がん検診を受けることを勧めています。住民検診ではマンモグラフィが用いられます。マンモグラフィは乳房を板で挟んでエックス線撮影を行う検査で、挟む際に痛みを感じる人もいます。痛みの程度には個人差があり、月経前に乳房が張る人では受診時期を調整すると負担が軽くなる場合があります。検診を受ける際には、豊胸術を受けている、ペースメーカーなどの医療機器がある、妊娠中または妊娠の可能性があるといった事情を事前に伝えましょう。また、検診は症状のない人が対象です。しこりなどの症状がすでにある場合には、自治体の検診を待つのではなく医療機関を受診し、必要な診察や検査を受けることが大切です。

要精密検査となった場合は受診を先延ばしにしない

乳がん検診で要精密検査と通知された場合でも、その時点で乳がんと確定したわけではありません。画像で詳しく確認する必要がある変化が見つかったという意味であり、医療機関で追加の検査を受けます。精密検査では、マンモグラフィの追加撮影や超音波検査などを行い、必要に応じて組織を採取する検査が行われます。症状がないから大丈夫だろうと判断して精密検査を受けないと、検診によって異常を見つけた機会を十分に生かせません。結果通知に記載された案内を確認し、乳腺を診療する医療機関を受診しましょう。反対に、検診結果が異常なしでも、その後新しいしこりなどが現れた場合は次回検診まで待たないことが重要です。検診とブレスト・アウェアネスは、どちらか一方だけ行えばよいものではなく、役割が異なります。

変化を見つけたら自分で診断しない

乳房にしこりを感じても、良性の病気など乳がん以外が原因の場合があります。インターネット上の写真と比べたり、何度も強く押して確認したりするだけでは診断できません。新しいしこり、皮膚の引きつれ、乳頭からの血性分泌などに気づいた場合は医療機関へ相談しましょう。急に乳房が赤く腫れて高熱がある場合などは、乳腺炎など別の病気の可能性もあるため早めの受診が必要です。授乳中の女性でも、気になる症状があれば相談して構いません。ブレスト・アウェアネスで大切なのは、病気を探し続けることではなく、自分の普段の状態を知っておくことです。検診の対象年齢になったら定期的に受診し、それとは別に日常生活の中で明らかな変化に気づいたら診療につなげるという二つの行動を習慣にしましょう。

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