記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/9/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
帯状疱疹は、水ぼうそうの原因となる水痘帯状疱疹ウイルスによって起こります。水ぼうそうが治った後もウイルスは神経に潜伏しており、年月がたって再び活動すると帯状疱疹を発症します。典型的には、体の左右どちらか一方に痛みや違和感が現れ、その後、神経に沿うように赤い発疹や水ぶくれが出ます。胸や背中だけでなく、顔や頭部、腕、脚などに出ることもあります。厚生労働省によると、発症は70歳代で最も多くみられます。皮膚症状が治った後も痛みが残る帯状疱疹後神経痛が起こる場合があり、睡眠や外出などの日常生活に影響することがあります。高齢者本人が痛みを十分に説明できない場合は、服に触れるのを嫌がる、片側の体をかばうといった変化にも注意しましょう。
帯状疱疹では、皮膚に変化が見える前からピリピリする、焼けるように痛む、触れると痛いといった症状が出る場合があります。そのため、発疹がない時点では筋肉痛や腰痛などと区別しにくいことがあります。数日して体の片側に発疹や小さな水ぶくれがまとまって現れた場合は、帯状疱疹を考えて早めに医療機関へ相談しましょう。治療では抗ウイルス薬などが使われるため、自己判断で湿布や市販の塗り薬だけを使って長く様子を見ることは勧められません。特に目の周辺や額、鼻の周辺に発疹がある場合は、眼の合併症を伴うことがあります。耳の周辺の発疹に顔の動かしにくさやめまいなどを伴う場合も注意が必要です。症状の場所と発症した日を記録して受診すると、医師へ経過を伝えやすくなります。
帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹そのものや合併症を予防する方法の一つです。2025年度から、65歳を迎える人などへの帯状疱疹ワクチンが予防接種法に基づく定期接種になりました。2025年度から2029年度までの経過措置として、その年度に70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる人なども対象となります。対象条件は年度によって変わるため、自治体から届く案内を確認しましょう。定期接種で使用されるワクチンには生ワクチンと組換えワクチンがあり、接種回数や接種間隔、接種できる人の条件などが異なります。持病や治療によって免疫機能が低下している人では、選択できるワクチンが限られる場合があります。どちらを接種するかは、本人の体調や既往歴などを踏まえて医師と相談します。
帯状疱疹にかかった経験がある人でも、その後に再び発症する可能性があるため、定期接種の対象になる場合があります。一方、以前に帯状疱疹ワクチンを接種している場合の扱いについては、接種記録とともに自治体へ確認することが必要です。接種を希望する場合は、予防接種の記録、お薬手帳、現在治療中の病気を確認しておきましょう。発熱しているときなど、体調によっては接種を延期することがあります。接種後には注射した部分の痛みや腫れ、全身のだるさなどがみられることがありますが、現れ方には個人差があります。ワクチンを受ければ帯状疱疹を完全に防げるわけではないため、接種後であっても疑わしい症状があれば受診することが大切です。
ワクチンは予防のためのものであり、すでに帯状疱疹を発症しているときの治療にはなりません。片側に沿った痛みと発疹、水ぶくれがみられた場合は医療機関へ相談しましょう。発疹が目の周囲にある、見え方がおかしい、耳の症状や顔面の動かしにくさがある場合は、早めの受診が必要です。また、高熱、強い頭痛、意識障害、発疹が広い範囲に急速に広がるなどの状態では、速やかな医療対応が必要になることがあります。介護施設では、発疹を見つけた場合に患部を必要以上に触らず、看護職や医師に相談しましょう。帯状疱疹は高齢者にとって身近な病気の一つです。予防接種の対象時期を確認するとともに、痛みや発疹を早めに見つけ、必要な治療につなげることが重要です。