記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/9/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
おむつや尿取りパッドを使用している高齢者では、臀部や陰部に赤み、ただれ、痛みなどが現れることがあります。こうした皮膚トラブルの一つに、失禁関連皮膚炎があります。
失禁関連皮膚炎は、尿や便が皮膚に繰り返し触れることによって生じる皮膚炎です。日本創傷・オストミー・失禁管理学会では、尿や便への接触に加え、おむつ内の高温多湿な環境などによって皮膚のバリア機能が損なわれやすくなることを示しています。
高齢者の皮膚は乾燥しやすく、刺激に対する抵抗力も低下している場合があります。汚れているからと強く洗ったり、何度も拭いたりすると、それ自体が刺激となることがあります。
おむつ交換の際には、排泄物を処理するだけでなく、赤み、ただれ、皮膚がふやけていないかなどを確認することが大切です。
尿や便で皮膚が汚れた場合は、長時間そのままにせず清潔にします。ただし、汚れを落とそうとして強くこすることは避けます。
厚生労働省の介護に関する教材では、おむつ交換時に陰部を洗浄し、皮膚の重なっている部分なども確認することが示されています。女性の場合には、尿道側から肛門側へ向かって洗浄や清拭を行うなど、感染予防への配慮も必要です。
洗浄剤を使う場合は、必要以上に量を増やしたり、洗浄力の強い製品を繰り返し使用したりしないようにします。清拭後は強くこすらず、水分を押さえるように取り除きます。
便失禁や下痢が続く場合には、通常より頻繁に皮膚へ排泄物が触れるため、皮膚障害が起こりやすくなります。皮膚ケアだけでなく、下痢の原因や排便状態について医療職へ相談することも必要です。
漏れが心配だからと、吸収用品を何枚も重ねることがあります。しかし、重ね方によっては蒸れや圧迫が強くなったり、吸収用品本来の性能を十分に生かせなかったりすることがあります。
尿量や便の状態、交換できる時間帯、本人の動きやすさなどに合わせて適切な製品を選びます。介護職や看護師、福祉用具を扱う専門職などに相談し、本人の状態に合った使い方を確認する方法もあります。
また、おむつを使用していても、本人が尿意や便意を伝えられ、トイレへ移動できる場合には、すべてをおむつ内で排泄する必要はありません。本人の能力に合わせ、トイレやポータブルトイレを利用することも自立支援につながります。
日本創傷・オストミー・失禁管理学会では、排泄ケアについて、失禁への対応だけでなく排泄機能の評価や自立支援を含めて考えることの重要性を示しています。
臀部に赤みや傷ができた場合、失禁関連皮膚炎なのか褥瘡なのか、家庭で判断することが難しい場合があります。失禁関連皮膚炎は排泄物が接触する範囲に広がることがありますが、圧力やずれによって生じる褥瘡が同時に起こることもあります。
赤みがあるからと市販の軟膏を何種類も塗ったり、消毒薬を繰り返し使用したりすることは避けます。皮膚の状態によって必要なケアは異なるためです。
赤みが数日続く、皮膚がむけている、水疱がある、出血している、本人が強い痛みを訴えている場合は、訪問看護師、主治医、皮膚科などへ相談します。
皮膚の状態を医療職へ伝える際は、いつから生じたか、下痢や尿失禁が増えていないか、どのような用品や洗浄剤を使用しているかを伝えると、原因を検討しやすくなります。
排泄の介助を受けることは、本人にとって心理的な負担になる場合があります。おむつ交換の際は、突然衣服を脱がせるのではなく、これから行うことを説明します。必要以上に身体を露出させず、室温やプライバシーにも配慮します。
認知症などによって説明を理解しにくい場合でも、声をかけずに介助してよいということではありません。短い言葉で伝えながら、表情や身体の動きを確認します。
皮膚の清潔を保つことは重要ですが、毎回完璧に洗うことが目的ではありません。排泄物を皮膚に長時間残さず、必要以上の摩擦や湿潤を避け、皮膚を観察することが基本です。
急速に赤みや腫れが広がる、強い痛みや発熱がある、膿が出るなど感染が疑われる変化がみられた場合は、早めに医療機関へ相談してください。