記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/9/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
以前より階段で息切れするようになった、朝に咳や痰が続くようになったという変化があっても、年齢や体力低下のためだと考えている人は少なくありません。その背景にCOPDが隠れている場合があります。
COPDは慢性閉塞性肺疾患と呼ばれ、主にたばこの煙など有害な物質を長期間吸い込むことによって肺に慢性的な炎症が起こり、空気の通り道が狭くなる病気です。
日本呼吸器学会では2026年にCOPD診断と治療のためのガイドライン第7版を公表しています。また、厚生労働省の健康日本21アクション支援システムでは、COPDの認知と早期発見を目的とした新しい一般向け資料が2026年に公開されています。
COPDは徐々に進行するため、本人が息切れのある生活に慣れてしまう場合があります。以前できていた動作との違いに気づくことが大切です。
COPDの重要な危険因子は喫煙です。長期間たばこを吸ってきた人では、現在は禁煙していてもCOPDがある場合があります。
咳や痰が続く、平地では問題ないものの坂道や階段で息切れする、同年代の人より歩くのが遅くなったといった変化がある場合は、呼吸器内科やかかりつけ医に相談します。
COPDの診断では、症状や喫煙歴を確認したうえで、スパイロメトリーという呼吸機能検査などを行います。大きく息を吸い、勢いよく吐いたときの空気量などを測定する検査です。
咳があるからCOPDとは限らず、喘息、心不全、肺がんなど別の病気でも咳や息切れは起こります。そのため、症状だけで自己判断せず、必要な検査を受けることが重要です。
長年たばこを吸ってきた人の中には、今さら禁煙しても変わらないと考える人もいます。しかし、COPDの管理では禁煙が重要な治療の一つです。
日本呼吸器学会のガイドラインでも、原因物質への曝露を避けることと禁煙がCOPD管理の基本として位置づけられています。
禁煙したいと思っても、ニコチン依存があると本人の意思だけで続けることが難しい場合があります。禁煙外来などを利用し、医療者の支援を受ける方法もあります。
家族が喫煙している場合には、本人の近くで喫煙しないことも大切です。加熱式たばこを含め、COPDのある人が吸入する有害物質をできるだけ避ける環境を整えます。
禁煙後もCOPDそのものがなくなるわけではありませんが、その後の肺機能低下を抑える観点から治療を継続することが重要です。
COPDの治療では、症状や重症度に応じて吸入薬などが使われます。吸入薬は正しい方法で使用しなければ十分な効果が得られない場合があるため、診察時に吸入方法を定期的に確認します。
また、息切れするからと活動を減らし続けると、脚の筋力などが低下してさらに動きにくくなることがあります。身体状態に合わせた運動を行う呼吸リハビリテーションも、COPD治療の重要な要素です。
ただし、強い息切れがある人が自己流で激しい運動を始めることは避けます。医師や理学療法士などに相談し、その人に合った活動量を確認します。
COPDが進行すると体重が減る人もいます。食事量が落ちている、短期間で体重が減っている場合は、呼吸の問題だけでなく栄養状態についても医療者へ相談することが大切です。
COPDでは、日常的な咳や息切れが続くことがありますが、感染症などをきっかけに症状が急に悪化することがあります。このような状態は増悪と呼ばれます。
普段より息切れが強い、咳や痰が急に増えた、痰の性状が変わった、発熱があるといった場合は、いつものCOPDだからと長期間様子を見ず、医療機関へ相談します。
呼吸が苦しく会話を続けられない、意識がぼんやりしている、唇などが青紫色に見える、急激に状態が悪化している場合は速やかな医療対応が必要です。
COPDは治療を続けながら長く付き合う病気です。年齢による息切れと決めつけず、長期間の喫煙歴があり、咳、痰、息切れなどが続いている場合は、早めに肺の状態を確認しましょう。