記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/17 記事改定日: 2018/2/20
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
膀胱炎が悪化するとお腹の赤ちゃんにも影響が及ぶ可能性があります。そのため、妊娠中は普段より膀胱炎に気をつける必要があります。今回は妊娠中の膀胱炎の原因と予防・治療法についてご紹介していきます。
膀胱炎は尿道、膀胱、2本の尿管と2つの腎臓を含む尿路に細菌が侵入することで引き起こされる感染症です。女性は尿管が短いという体の構造上、細菌が侵入しやすいので男性より感染症のリスクが高いと言えます。
通常尿路に侵入する細菌は症状が起きる前に尿と一緒に体の外に素早く排出されますが、免疫力が低下している場合には細菌が排出されず体内に留まるため、膀胱炎などの尿路感染症を発症しやすくなってしまうのです。
特に妊娠中はホルモンの変化により尿路に細菌が侵入しやすくなることと、子宮が大きくなって膀胱に圧力がかかることで尿を完全に排出することが難しくなります。そうすると、細菌を完全に体外に排出することが難しくなるため、細菌が侵入したまま増殖して膀胱炎が発症しやすくなるのです。
さらに、性行為は膀胱炎のリスクとなることがあります。妊娠中に性行為をすること自体に問題は無いですが、性行為による摩擦で細菌が尿道に侵入することがあります。これは妊娠していない女性にも共通することですが、性行為の後には必ず排尿して細菌の侵入を防ぐようにしましょう。
膀胱炎に感染してもはじめのうちは何の症状もない場合もあります。
しかし、気づかないまま放置しておくと腎臓感染症を含む合併症を引き起こす可能性があるので注意が必要です。特に膀胱炎から腎盂腎炎に進展する可能性が少なくないので、腎盂腎炎の予防のためにも排尿を我慢しないように心がけましょう。
数としては多くありませんが、感染症が胎児の発育不全や早産の原因になることもあります。膀胱炎と思われる症状が現われたらできるだけ早く医師に相談し、膀胱炎の検査・治療を行いましょう。
お腹の赤ちゃんに影響する可能性があるため、妊娠中は市販薬の使用をできるだけ避けましょう。「膀胱炎かな?」と思う症状があれば、できるだけ早く婦人科で診てもらうことがおすすめです。
治療は多くの場合、抗菌薬や漢方薬の内服によって行います。
自己判断で途中で薬の服用をやめてしまうと、膀胱炎が悪化する・繰り返す可能性が高いので、症状が改善しても処方された薬はきちんと飲みきるようにしましょう。
ここでは膀胱炎の予防効果が期待できる方法をご紹介します。妊娠中ではない女性にもあてはまるので、日頃から気をつけて膀胱炎を防ぎましょう。
尿には膀胱にたまった細菌を外に出す効果があります。そのため膀胱内で細菌の繁殖を防ぐには、尿をしっかり出し切ることが大切です。
水分を普段より多めに摂り、排尿を促しましょう。
細菌感染を防ぐには、外陰部をキレイにすることも重要です。
おりものシートや月経(生理)ナプキンはこまめに換えること、排尿・排便時はお尻を前から後ろに拭くこと、セックスの前後にはシャワーを浴びるなどをして外陰部に細菌が感染しないようにしましょう。
妊娠中は生理的に免疫力が下がりやすいので難しいかもしれませんが、できるだけ抵抗をつけると良いです。栄養バランスの良い食事、充分な睡眠でできるだけ免疫力が低下しすぎないように取り組んでいきましょう。
妊娠中は子宮が大きくなったり、ホルモンバランスが変化したりすることで普段より膀胱炎になりやくなります。妊娠中は膀胱炎の検査を受け、水分を多めにとったりトイレを我慢しないようにするなど、自分でも対策を行うことで膀胱炎を予防していきましょう。
もしも膀胱炎になった場合は早めに病院で診察を受け、膀胱炎を悪化させないように気をつけましょう。