記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/18
記事監修医師
前田 裕斗 先生
2回にわたってお届けしている、「便秘を引き起こす原因まとめ」。
前回は生活習慣を中心にご紹介してきましたが、今回はそれ以外に便秘を招く原因や、子供の便秘の原因についてもお伝えしていきます。
妊娠中に分泌される「プロゲステロン」(筋肉を緩める働きのある女性ホルモン)が、便秘の原因となることがあります。
腸は通常、便を移動させて肛門に運びます。このとき腸内の筋肉は、収縮と弛緩を繰り返して波のような動きをしています。しかし、プロゲステロンが増加すると腸の筋肉が収縮しにくくなり、便をうまく運ぶことが難しくなるのです。事実、妊娠初期の女性の多くが便秘を経験します。
特定の病気が原因で、便が結腸、直腸や肛門を移動するスピードが遅くなり便秘になることがあります。
以下の病気がこれに該当します。
・機能性消化管障害
機能性消化管障害とは、消化管が病気によるダメージを受けた痕跡がないのに、通常とは異なる働きをするという病気です。代表的な病気としては過敏性腸症候群(IBS)があり、実際に過敏性腸症候群患者の多くは便秘を併発しています。
・消化管の病気
結腸や直腸を締めつけたり狭めたりする消化管の疾患は便秘を引き起こす可能性があります。この疾患の例としては、腫瘍や炎症性腸疾患、憩室炎などが挙げられます。
・裂肛(肛門の内側に小さな裂け目や潰瘍がある状態)
・腸がん
・パーキンソン病
脳の一部が少しずつダメージを受けることで身体の調整機能に影響が現れ、便秘になることがあります。
・筋ジストロフィー
・脊髄損傷
・多発性硬化症
・糖尿病
・甲状腺機能不全
その他の便秘を引き起こす原因として、以下のものが考えられます。
・水分不足
・体温が高い
・痩せ過ぎ、または太り過ぎ
・うつ病などの不安障害
乳幼児の便秘はよくあることです。考えられる原因としては以下のものが挙げられます。
食事の量が不十分だったり、栄養に偏りがあったりすると便秘になることがあります。
子供の便秘の原因として考えられるもののひとつに、トイレを使用することに対するトラウマがあります。子供がトイレを使うときにいつも保護者が介入していたら子供は不安を感じてしまい、それが便秘の原因となるかもしれないのです。トイレトレーニングの際はお子さんにプレッシャーを与えないように心がけましょう。
また、適切な時期になったら自分でトイレを使うことができるようにトイレトレーニングをすることも大切です。子供の中には、排便時の痛みが原因でトイレに恐怖心を持っていたり、自分ひとりでトイレを使うのが不安だったりする子もいます。すると便意を無視するようになり、便を我慢して便秘を引き起こしてしまう可能性があるのです。
珍しいケースですが、何らかの病気が子供の便秘の原因となることがあります。例として挙げられるのは以下の病気です。
・ヒルシュスプルング病
・直腸肛門奇形
・脊髄異常(二分脊椎症や脳性麻痺など)
ご紹介してきた原因の中で、ご自身やお子さんに当てはまるものはあったでしょうか。便秘をなんとかしたいなら、まずはそもそもの原因を把握し、その原因に合った対策を練ることが欠かせませんよ!