記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/5/19 記事改定日: 2020/1/10
記事改定回数:2回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
肺がんの種類のなかに「肺腺がん」があります。この記事では、肺腺がんの早期発見と予防のためにどのようなことを心がければいいかを説明していきます。
肺がんには、以下の4つの組織型があり、それぞれ悪性度が異なります。
小細胞がんは転移の可能性が高く、非小細胞肺がん(肺腺がん等)に比べると悪性度は高めです。
喫煙していない「ノンスモーカー」で肺がんになる場合の多くは「腺がん=肺腺がん」であり、たくさんタバコを吸う「ヘビースモーカー」によく見られるがんは扁平上皮がんです。最近はタバコを吸わない比較的若い女性でも、肺腺がんになる人がいると報告されています。
もちろん、肺腺がん以外の肺がんもタバコ以外が原因になることがあります。
肺腺がんは肺の末梢にできやすいがんです。このため、早期段階では咳や痰など肺がんの特徴的な症状が現れにくいのが特徴とされています。
早期段階での症状としてだるさや胸の軽度な違和感などが現れることもありますが、自覚症状が全くないケースが多いのです。
一方で、がんが進行すると咳や息切れなどが現れるようになり、肺を包む胸膜や周囲のリンパ節などにも浸潤・転移が生じると前胸部痛、呼吸時の痛み、呼吸困難、腕や肩の痛みなどが現れることもあります。
肺腺がんは早期段階では自覚症状が少ないため、発見が遅れるケースが多いとされています。しかし、進行したがんは治療が困難なケースが多いためできるだけ早い段階で発見することが大切です。
肺腺がんは、早期発見できれば、手術で根治する可能性が高いといわれています。ただし、手術後5年間は再発のリスクが高いため、しばらくは経過を観察することになるでしょう。また、一般的には、手術後に抗がん剤の追加治療を行います。
肺腺がんは早期段階で自覚症状が出ることはほとんどないため、早期発見のためには定期的に健康診断を受ける必要があります。
健康増進法では、40歳以上の人は年に一度胸部レントゲン写真による肺がん検診を受けることが推奨されています。特に喫煙者の方は「一日に吸うたばこの本数×喫煙年数」から算出される「喫煙指数」が400以上の場合は肺がんを発症するリスクが高いため、痰を採取してがんの細胞が含まれていないか調べる「喀痰検査」が併用して行われます。
対象年齢の方はお住いの自治体から通知が来ますので、毎年受けるようにしましょう。
また、そのほかにも一週間以上咳や痰などの症状が続くときは単なる風邪と軽く考えず病院で検査・治療を受けることも大切です。
肺腺がんはタバコが原因でないことも多く、初期症状もでないため発見が遅れがちです。早期発見で治癒の可能性が高くなりますので、定期的に人間ドック・がん検診を含む健康診断を受けて、早期発見できるよう努めましょう。
また、タバコ以外の生活習慣を見直し、発症リスクをできるだけ下げられるように努めてください。