記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高齢者のうつ病は、身体機能や認知機能の衰えが前面に出てしまうため、なかなか周囲も気づきにくいという側面があります。
ここでは、高齢者のうつ病について説明しています。この記事を参考に、高齢者の人たちが活発で幸せな老後をすごせる手助けができるようになりましょう。
うつ病は、加齢が原因で発症するものではありませんが、65歳以上に多く発症していることは事実です。
年をとると、退職、病気、家族の死など、大きな変化を伴う出来事によく直面するようになります。特に友人や配偶者、ペットなど、「長年一緒に過ごした存在」の喪失を悲しいと感じるのは当然のことです。しかし、悲しみからいつまでも抜け出せず、日常生活に支障が出てしまったときはあまり無理をせずに医師に相談しても良いかもしれません。
他にも、女性特有の悩み、過去のうつ病の既往、離婚、家族など周囲の人間とのいさかい、施設入所や子供との同居に伴う転居で住み慣れた家や土地を離れることなどが老年期うつ病を引き起こす要因と考えられます。
また、老齢になる前から病気や身体機能の障害を持っていた人もうつ病になりやすいといわれています。
高齢者では、認知症などの病気とうつ病との判別が難しい場合があります。
また、うつ病かもしれないと相談することや悲しい気持ちや不安な気持ちを打ち明けることを恥ずかしいと感じ、医師や介護者に話すことができない場合があります。
しかし、うつ病は治療が可能な誰にでも起こりうる病気です。人間的に弱いからうつ病になるわけではなく、うつ病になることは決して恥ずかしいことではありません。
うつ病の患者に一般的にみられる精神的、身体的症状に加えて、高齢者のうつ病には、以下のような症状があります。
・妄想や幻覚
・退屈感や無力感
・記憶上の問題、または混乱
・社会活動から一切離れる
高齢者のうつ病の治療は、一般的なうつ病の治療と同じであることが多いです。
多くの高齢者は、他の病気を治療するために処方薬を服用しています。これらの薬の副作用によりうつ病が起こっている場合は、医師と相談しながら薬の切り替えが行われるでしょう。
また、うつ病の高齢者をケアしている家族や介護者には、医師から対処方法をアドバイスしてもらえます。サポートグループもあるので、医師に相談してみてもいいでしょう。
その他、、うつ病の高齢者に「社会・家族とつながっている」と強く実感をしてもらうことも大切です。他愛ない話でもいいので、頻繁に声をかけ、交流の時間をつくってあげましょう。
高齢者は体の衰えが精神状態に大きく影響します。視覚や聴覚障害の治療をうながしたり、栄養管理や運動も含めた健康管理を考慮してあげるようにしてください。
外からは見えにくい高齢者のうつ病。本人も体の衰えかと思っていたり、周囲の人に悩みを話すのは恥ずかしいと思っていたりします。家族や周囲の人がいち早く気づいてあげるように心がけ、手を差し伸べ、精一杯サポートしてあげましょう。