記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
2017/1/30 記事改定日: 2019/9/24
記事改定回数:3回
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
スリムなことが美しいという時代は終わりつつありますが、いまだに間違ったダイエットで「痩せすぎ」になってしまう人がいます。
この記事では、痩せすぎになってしまうことのリスクと健康的に体重を増やす方法について解説していきます。
医学的にいう「痩せすぎ」とは、BMI(Body mass index)が16未満のことを指します。
BMIは「体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出され、WHOなどでも広く採用されている肥満度を表す指数です。最も健康的な状態が22とされ、統計的に死亡率が最も低い肥満度とされています。
BMIが16未満の場合は、身体を維持するために栄養やエネルギーが足りず、皮下脂肪や筋肉などがどんどん失われていきます。また、細胞を作るための栄養素がないためヘモグロビンなどの特定の細胞が作られず様々な症状を引き起こします。
さらに、女性の場合ではホルモンバランスの乱れが生じて性周期の異常が見られることも少なくありません。
痩せすぎの状態になってしまうと、以下のような健康リスクがあります。
痩せすぎている状態はエネルギーが不足している状態です。疲れを感じやすく、試験勉強をしたり、友人とスポーツをしたり、出かけたりする気が起こらなくなり、積極的な行動ができなくなってしまうことがあります。
痩せ過ぎている状態は成長に必要な栄養が足りていない状態でもあります。
たとえばカルシウムは、強くて健康な骨を発達させるために非常に重要です。
カルシウムが不足すると、成長が妨げられるだけでなく、将来の骨粗鬆症リスクが高まります。
痩せすぎている状態は、お肌に必要なタンパク質やビタミン類、水分なども不足している可能性があります。痩せすぎている人は、お肌のトラブルが増えたり、髪が薄く切れやすくなったりすることがあります。
鉄分が欠乏すると、鉄欠乏性貧血になります。とくに女性の場合は生理で毎月血液を失うため、貧血になりやすいです。貧血が進行すると、体がだるくなったり、ちょっとした運動で息切れが起きたり、動悸が起きるようになります。
痩せすぎだと免疫機能が落ち、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
痩せすぎるとホルモンバランスが乱れ、初潮が遅れたり、生理が来なくなることがあります。
痩せすぎている人が健康的に体重を増やすには、栄養バランスに注意して適正カロリーの食事を摂ることが何よりも大切です。
もちろん、病気によって食欲不振や消化・吸収に異常があるような場合はそれらの病気の治療を行って行く必要がありますが、まずは「食べること」を意識するようにしましょう。
その際、あまりに急激に食事量を増やすと嘔吐や下痢などを引き起こすことがありますので、お粥や野菜スープなど消化に良いものから始めて徐々に通常の食事メニューに変えていくようにしてください。
肥満は健康によくありませんが、痩せすぎもよくありません。
近年は「痩せている=美しい」という評価ではなくなってきつつありますが、いまだに過度なダイエットで体をこわす人は少なくありません。
心身ともに健康で美しくいるためには、適正体重を守ることが大切です。自分がもし痩せすぎなら、適切な方法で体重を増やす努力をしましょう。