記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
蚊はマラリアなどの感染症を媒介する恐ろしい虫です。アメリカの研究機関によると、マラリアやデング熱など蚊が媒介する病気によって、毎年72万5000人が死亡しているといわれています。今回は、マラリアの流行地域に旅行にいくときの注意事項について解説します。
マラリアは血液の主成分である赤血球に寄生し破壊する感染症であり、マラリアを引き起こす寄生虫を運ぶ蚊によって広がります。 寄生虫を持っている蚊に刺されると、寄生虫が卵を産み、繁殖し、血液細胞を食べ、病に至ります。 放置すれば深刻な事態となり、命を落とすこともあります。
マラリアは中南米、ハイチ、ドミニカ共和国、アフリカ、東ヨーロッパ、東南アジア、南太平洋の一部を含む熱帯および亜熱帯の国々で起こります。 これらの国を訪れる人々は 危険性を認識し、予防措置を取る必要があります。 出かける前に必ず、旅行先の健康問題に関する情報を集めるようにしましょう。
マラリアに感染すると、以下の症状が現れます。
・高熱
・寒気
・震え
・極度の発汗
・疲労
・倦怠感と体の痛み
・頭痛
・筋肉の痛み
・吐き気
・嘔吐
マラリアが蔓延する国に旅行する場合、マラリアの予防薬を飲みます。 しかし、予防薬でマラリアを完全に防ぐことはできません。他の予防措置が必要なことを忘れないようにしましょう。
予防薬は、出発の数日または1週間前に服用を開始し、 旅行中や旅行後も約1〜4週間服用し続けます。 マラリア原虫が血中にまだ残っている場合は、寄生虫が成長し発病する危険があるため、旅行後も服用が必要になる場合があります。ただし、薬には副作用があるため、誰でも服用できるわけではありません。 薬の種類もいくつかあり、旅行地域によって異なります。
メフロキンとアトバキノン(プロキアニル)の2つは、服用できる予防薬です。どちらも服用できない場合、ドキシサイクリンが使われますが、日焼けしやすくなるため、日中は外出時に帽子、長袖に日焼け止めを使用する必要があります。中米、ドミニカ共和国、ハイチ、中東の場合、クロロキンが処方されることもあります。
マラリアに予防効果と謳っているホメオパシーの薬は、有効かどうか医学的に立証されていません。 また、マラリア予防薬を個人輸入する場合も注意してください。 一部の国では、偽物や効果が低い薬が出回っているという報告もあります。必ず医師、病院または保健機関の指導を受けましょう。
蚊に刺されるのを防ぐため、窓とドアを閉めて寝ましょう。蚊帳を使用し、網には蚊除けスプレーをかけてください。蚊が、より活発になる夕方は、長い袖の淡い色のズボンとシャツを着用し、着衣の上からDEETと呼ばれる化学物質を含有する防虫スプレーをかけるようにします。何の対策も取らずに屋外に出ないようにしましょう。 事前にマラリア予防薬を服用することも忘れないでください。
マラリアの感染症は、死に至る可能性もある重大な病気です。もしマラリアへの感染リスクのある地域に渡航する際には、事前にワクチン接種を受け、渡航後も十分に対策をしましょう。