記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/14 記事改定日: 2019/8/6
記事改定回数:3回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
赤ちゃんの頭が平らになってたり、ゆがんでいたりするのは斜頭症の可能性があります。親として、とても心配になることでしょう。ここでは斜頭症ついて解説します。斜頭症が体にどのような影響があるのか、治すことができるのかを知り、適切な対処ができるようにしましょう。
斜頭症は頭の形がゆがんでいる状態で、長時間あお向けで寝たために頭蓋骨に圧迫がかかったために起こるものです。見た目の問題はあるものの、脳に大きな障害は生じません。
頭蓋骨は、いくつかの骨が組み合わさってできています。乳幼児期は脳が発達して大きくなるため、頭蓋骨もそれに伴って広がるよう、骨と骨の間にすき間ができています(2歳前後で骨は融合し、すき間はなくなります)。
しかし、何らかの理由で骨の融合が早く起きてしまうことがあります。これを「頭蓋骨早期融合症」といい、早期融合した骨によって頭の形が違い、斜頭症との区別がつきにくいこともあります。
斜頭症の場合、様子を見ていれば成長するにつれて改善していきますが、頭蓋骨早期融合症の場合、外科的な手段をとらないと脳に圧迫がかかって脳障害をおこす恐れがあります。
赤ちゃんの斜頭症のタイプと重症度のレベルに基づいて、症状を特定します。症状は以下のとおりです。
重くなると、以下のような症状がみられます。
新生児の頭蓋骨はもともと柔らかく、成長するにつれて形が変わります。定期的に観察することで、赤ちゃんの頭が大きくなっていないことや、いびつな形をしていることに気づけると思います。
頭のチェックは、赤ちゃんの頭を上から見るのがおすすめです。平らな部分を見つけたら、写真を撮ってその部分の変化を監視しましょう。その場所に変化がないか、悪化した場合は、医師に相談してください。
なお、もし先天性の斜頭症が疑われる場合は、X線(レントゲン)などの追加検査をすることがあります。
斜頭症の治療では、頭の形に合わせて調整できるヘルメットをほぼ1日中、約半年間装着する「ヘルメット治療」が行われます。治療で使われるヘルメットは「リモデリングヘルメット」と呼ばれるもので、長時間装着すると頭蓋骨のゆがみを矯正し、美しい形に整える効果が期待できます。
ヘルメット治療を希望して病院を受診すると、まずはレントゲンやCTなどで頭蓋骨のゆがみを調べる検査をします。そして、ヘルメットの作成が行われますが、治療開始後の2~3カ月までは2週間、その後は1カ月ごとにヘルメットを微調整する必要があります。治療は生後4~7カ月の間に始め、ほとんどの場合、1歳頃に終わります。
ヘルメット自体が脳に悪影響を与えることはありませんが、かぶれやあせもができやすい赤ちゃんの場合、ヘルメット内が蒸れて皮膚にダメージが加わることがあります。また、頭蓋骨の変形が水頭症などの脳の病気である場合、無理に矯正すると病状が悪化することもあるため、事前に適切な診断を受ける必要があります。
ヘルメット治療は健康保険の適応にならないため、ヘルメットの購入や治療前の検査、診察などは全額自己負担となります。ヘルメット自体が高額なため、治療にかかる費用の総額は40~50万円ぐらいが相場といわれています。高額な治療になるため、治療を開始する前に医師とよく話し合い、メリットとデメリットをよく考えてから治療するかを決めましょう。
先天的でも後天的でも、斜頭症は成長するにつれて自然に治ることもあります。斜頭症の場合、脳の成長や機能に問題が生じることはほぼないといわれているため、必要以上に心配することはありません。ただ、放置すると子どもがつらい気持ちになる可能性はありますし、頭蓋骨早期融合症の可能性もあります。まずは医師に相談し、様子をみながら対処していきましょう。