記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食品添加物に対して良くないイメージを持っている方もいるかもしれませんが、添加物を一概に悪いものと結論付けるのは少し早急です。なぜなら、添加物には、食品を長持ちさせ食中毒を防げるというメリットもあるからです。そこで今回は、日本で使用されている食品添加物について見ていきましょう。
食品添加物は保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるものです。食品添加物の安全性について厚生労働省は、食品安全委員会による評価を受け人体の健康を損なうおそれのない場合に限り、成分の規格や使用の基準を定めたうえでの使用を認めています。
原則として使用できる食品添加物は、「食品衛生法第10条」に基づいて厚生労働大臣が許可したものだけです。指定添加物以外で添加物として使用できるのは、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物のみです。
「食品衛生法第10条」に基づいて厚生労働大臣が定めたもので、代表的なものとしてソルビン酸、キシリトールなどがあります。安全性については、食品安全委員会の評価をもとに個別に指定されます。
平成7年に「食品衛生法」が改正され、指定の範囲が化学的合成品のみから天然物を含むすべての添加物に拡大されました。しかし、法改正当時既に国内で一般的に使用されて長く食されているものについては、法改正以降も例外的に使用や販売等が認められているものもあります。これが既存添加物と呼ばれるものでクチナシ色素や柿タンニンなどが有名です。
バニラ香料やカニ香料などに代表される、動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使用されます。基本的にその使用量はごく僅かであると考えられます。
イチゴジュースや寒天など、一般に飲食に使われ且つ添加物として使用されるものを指します。
食品添加物について、厚生労働省は下記のような方法で安全性を確認しています。
具体的には動物を用いた毒性試験結果などの科学的なデータに基づき、各食品添加物ごとに健康への悪影響がないとされる「許容一日摂取量」(ADI)が設定されています。これは、人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量のことです。この結果を受けて厚生労働省が薬事・食品衛生審議会において審議及び評価をし、食品ごとの使用量や使用の基準などを決定します。
未指定の添加物が使用されていないか・基準が守られているかを確認するために、以下のような食品中の食品添加物分析法を作成しています。
平成15年5月の「食品衛生法」改正において、安全性に問題があると判明した場合や、既に使用実態がないと判明した既存添加物については、既存添加物名簿からその名称を消除し、使用を禁止することができることが定められました。たとえば、「アカネ色素」は実施している発がん性試験で腎臓に対する発がん性が認められたとの中間報告があり、食品安全委員会及び薬事・食品衛生審議会における評価を踏まえた上で、平成16年7月に既存添加物名簿から消除されました。
日本国内で使用されている食品添加物は、厚生労働省や食品安全委員会で定められた「健康への悪影響が見られない」という基準をクリアしたものがほとんどです。このことから、「添加物の入った食品は食べてはいけない」という不安を感じすぎる必要はないと言えるでしょう。