記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/16 記事改定日: 2018/4/26
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
では、不眠症を引き起こす原因にはどんなものがあるのでしょうか?
この記事では、不眠症の原因についてまとめました。夜眠れないときには、この中で思い当たるものを書き留めておき、症状の改善に役立てましょう。
一次性不眠症は、他の医学的状態の症状や副作用として起こるものではありません。それ自体が病気であり、その原因はあまりよくわかっていません。一次性不眠症は通常、少なくとも1か月間続きます。
生活の変化によって一次性不眠症が引き起こされる可能性があります。大きなストレスや長い間継続しているストレスが原因になっていることもあるでしょう。旅行や睡眠習慣をくずしてしまうような仕事のスケジュールなども不眠の原因になります。
また、睡眠不足を解消するためにしていた昼寝やベッドでの悶々とした時間を過ごすクセが習慣化している場合は、上記の問題が解決した場合でも睡眠障害が続いてしまうかもしれません。
二次性不眠症とは、他の何かしらの病気などが原因で起こる不眠症です。このような不眠症は、情緒的、神経学的、あるいはその他の医学的障害や睡眠障害の症状として起こる場合が多いです。
不眠症を引き起こす可能性のある情緒障害には、うつ、不安、心的外傷後ストレス障害などがあります。アルツハイマー病やパーキンソン病は、不眠症を引き起こす可能性のある神経障害の代表的な疾患です。
二次性不眠症は、いくつかの薬の副作用として起こる可能性もあります。例えば、テオフィリンなどの特定のぜんそくの薬や、いくつかのアレルギーの薬や風邪薬は、不眠症を引き起こすおそれがあります。また、心臓病の治療薬「β受容体遮断薬」も不眠症の原因となる可能性があります。
さらに、カフェインやその他の刺激物、タバコやその他のニコチンを用いた製品、アルコールやその他の鎮静薬など、身近にある食品や薬なども不眠症の原因になるので、注意しましょう。
家族や親しい人との死別、職場でのトラブル、経済的問題などのストレスがかかるできごとの後に不眠症になる人もいます。
また、仕事、家族、健康などの悩みを抱えることから不安になり、ますます夜眠れなくなってしまうケースもあります。
さらに「ベッドに入っているのに眠れない」とくよくよ考えてしまうことも、ストレスにつながり不眠の原因になります。つまり、ストレスによる不眠は、ストレスの原因になることが解決した後も続く可能性があるということです。
毎日違った時間に寝ていたり、昼寝をしていたり、寝る前にリラックスできない人は、うまく眠ることができず不眠に陥ることが多いといわれています。
また、睡眠環境が整っていないことも不眠症の原因になります。ベッドが自分に合ってなくて不快に感じる、寝室が明るすぎたり、うるさすぎたり、暑すぎたり、寒すぎたりすることなどが例として挙げられます。
寝る前の飲酒が、睡眠に影響を及ぼす可能性があります。
ニコチン(タバコに含まれる)やカフェイン(お茶、コーヒー、エナジードリンクに含まれる)などの刺激物も同様です。夜になったら口にしないようにしましょう。
睡眠パターンの変化も不眠症の原因となる可能性があります、例えば、交代制勤務や海外旅行時の時差ぼけなどがあります。
精神的的な不調によっても、睡眠パターンに影響が及ぶ場合があります。例としては以下のようなものがあります。
不眠症は身体的不調によっても起こることがあります。例としては以下のようなものがあります。
処方薬や市販の薬剤の中には、副作用として不眠症を引き起こす可能性のあるものがあります。
例として以下のようなものがあります。
人の体には体内時計があり、朝目覚めてから夜眠りに就くまでの流れを無意識のうちに把握しています。体の状態もこの体内時計に合わせて変化し、夜は眠くなり、朝になると活発に活動するようにできています。しかし、この体内時計のリズムが乱れると睡眠のリズムも乱れ、不眠症につながることがあります。
体内時計が乱れる原因には様々なものが考えられますが、夜型の生活や過度な昼寝、日中の活動低下などが挙げられます。睡眠リズムを整えるには、毎日決まった時間に就寝し、日中はしっかり体を動かして体力を消費することが大切です。また、1時間以内の適度な昼寝は疲れた体を休ませその後の活動によいとされていますが、過度な昼寝は夜間の睡眠の妨げになることがあるので注意しましょう。
ストレスは交感神経を興奮させ、緊張感を高めることで睡眠を妨げることが知られています。不眠症の多くはストレスによるものであり、ストレスの解消は不眠症改善の第一歩です。
とは言っても、日常生活の中から完全にストレスを取り除くのは不可能です。このため、ストレスとうまく付き合う必要がありますが、寝る前には気分を落ち着かせるために好きな音楽を聴いたり、ゆっくり入浴したりリラックスできる時間を持つことがおすすめです。
運動不足は、体力の消費が減り、自然な眠気の誘発を妨げることがあります。就寝時に眠気を感じるには、日中の体力消費が重要です。
しかし、過度な運動は筋肉痛や関節痛などを引き起こし、かえって眠りの妨げになることがありますので注意が必要です。ウォーキングや水泳、サイクリングなどの体に負担のない範囲で確実に体力を消費する有酸素運動がおすすめです。
また、就寝前の運動は交感神経を刺激して不眠症の原因になることもあるので少なくとも就寝前1時間は体力を多く使う運動は避けた方がよいでしょう。
不眠症の改善には食事に注意することも必要です。
食べ物は胃や腸で消化・吸収されますが、これは自律神経によって調整されています。睡眠前に胃に食べ物が入っていたり、過度な空腹状態では自律神経が高ぶって眠りを妨げることがあります。
毎日3食規則正しい食事を摂るのはもちろんのこと、夕食は8時前には済ませ、なるべく消化の良いメニューを選びましょう。
また、眠気を引き起こす脳内物質であるセロトニンはトリプトファンやビタミンB6などの栄養素を摂ることで産生が促進されます。トリプトファンは乳製品や大豆製品、バナナなどに多く含まれ、ビタミンB6はレバーやささみなどの良質なたんぱく質や穀物に多く含まれています。これらの食材を意識して多めに取り入れることで不眠症の改善効果が期待できるでしょう。
不眠症の原因を追求し、原因を取り除くことができれば、不眠症の早期改善につながります。眠れなくて困っている場合、その前後にしたことや環境、思ったことなどについて書き留めておきましょう。
不眠症で病院を受診したときは、書き留めておいたことを忘れずに医師に伝えるようにしてください。