記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
入眠や睡眠の継続が難しい状態が続いている場合は、不眠症の可能性があり対処が必要です。しかし、医師に睡眠薬を処方してもらう前に、まず、自分でできる改善方法を試してみてもいいでしょう。今回は、不眠症の治し方をご紹介します。
行動療法は、睡眠薬と同じくらい効果的であるとされ、薬のような副作用がありません。行動療法の目標は健康な睡眠習慣を「学ぶ」ことです。生活習慣を少し変更するだけで不眠症が改善される可能性があります。以下のヒントを参考にしましょう。
コーヒー、紅茶、コーラなどの飲料には強い刺激剤であるカフェインが含まれています。カフェインに敏感な人の中には、午後4時以降の1杯のお茶やコーヒーで眠れなくなる人もいます。タバコ製品(および電子タバコ)に含まれるニコチンも、睡眠パターンを妨げる原因になります。
アルコールは鎮静剤と考えられていますが、実際には二相性の効果があります。つまり、摂取時間に応じて刺激効果と鎮静効果の両方を示すと考えられていて、夕方から就寝前にアルコールを飲むと刺激効果があることがわかっています。
夜遅い時間に食事を取ったり、軽食を食べないようにしましょう。満腹な状態で寝ると、横になったときに不快になり、胃酸の逆流を起こすことがあります。炭水化物が豊富な夕食は、セロトニンの生産を刺激するため、睡眠の質を良くするのに役立ちます。
毎晩同じ時間にベットに入るようにしましょう。ルーチン化することで、あなたの体の睡眠覚醒サイクルが強化され、より良い睡眠が促進されます。
睡眠に役立つ環境条件を整えましょう。部屋は涼しく、暗く、静かになるようにしてください。また、マットレスと枕を快適なものに変えましょう。
昼寝が夜間の睡眠を妨げている場合には、日中の昼寝はやめましょう。
十分な運動でストレスを管理して体をリラックスさせると、眠りやすくなるでしょう。
自分なりのストレスレベルの管理方法を見つけることが重要です。ストレスを「スイッチオフ」できないことは、あなたの睡眠パターンを妨げている要因になります。ヨガと瞑想が役に立つ場合もありますし、人によっては、 セックスをすることが身体のリラックスにつながる場合もあります。
非処方の睡眠補助剤を使ったものを以下に示します。
マグネシウムは筋肉を弛緩させ、眠りを助ける作用があるとされます。多くの人々はマグネシウムが不足していますが、過剰摂取は下痢を引き起こすので、取り過ぎないように注意しましょう。
抗ヒスタミン剤が含まれいる市販薬には、眠気を誘い、眠りにつくやすくする効果があります。しかしながら、これらの医薬品は、花粉症など他の問題に対処したものであり、睡眠補助剤として利用することは推奨されていないので注意しましょう。また、抗ヒスタミン剤はせん妄状態を起こすリスクがあるため注意が必要です。市販薬の中には、緑茶に含まれるアミノ酸L-テアニンで、深い睡眠をとりやすくする効果が期待できるものがあります。
松果体で生産・分泌されるホルモンです。少量のメラトニンを服用することは、メラトニン不足による不眠症の睡眠サイクルの調整に役立つといわれています。しかし、不眠症のための広く使用されているにも関わらず、メラトニンについてはわかっていないことも多く、入手可能なメラトニン製品の中には未知の物質が含まれているため、使用するときは注意が必要です。
欧米では通常のドラッグストアで購入可能ですが、日本ではインターネットを利用した並行輸入や個人輸入などで購入する必要があります。
【厚生労働省ホームページを編集して作成 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-062.html】
カモミールは気分を穏やかにし、リラックスさせる効果があります。
筋肉をリラックスさせるハーブ精神安定剤です。代替療法としてバレリアンを服用しているときは必ず医師に伝えましょう。処方薬と相互作用で体に悪影響がある場合があります。また、バレリアン自体にも副作用があるので、服用時の決まりはきちんと守ってください。
不眠症の治療として使用されるハーブには、ザイキス、パッションフラワー、ラベンダー、オーツ、朝鮮人参、そしてホメオパシーの治療薬ベルラドンナなどがあります。
医師は最後の手段として、限られた期間だけ睡眠薬を処方します。これらの薬は医師や精神科医の処方がなければ入手することはできません。睡眠薬の中には、中毒性が高く危険性が高い薬も存在しています。睡眠薬の大量摂取には致死性があり、特にアルコールや他の鎮静薬を服用している場合には命に関わります。睡眠薬は以下の2つのカテゴリーに分けることができます。
これらの睡眠薬は、不安および不眠症を和らげ、麻酔前の睡眠薬、軽い麻酔薬、アルコール乱用の治療および筋弛緩薬としても使用されます。ベンゾジアゼピンの多くはすぐに眠気を誘発するという特徴がありますが、その効果はほんの数時間しか続かないものがほとんどです(中には12時間以上効果が続くものもあります)。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は依存を形成することが報告されており使用に際しては注意が必要です。
家族や友人など、医師以外からもらった睡眠薬を決して服用してはいけません。 家族や友人からもらった睡眠薬が、自分に適したものであるとは限らないからです。
ベッドに入ってから何時間たっても眠ることができず、眠れたとしてもすぐに目が覚めてしまう場合は、不眠症の可能性があります。今回紹介した利用可能な全ての方法を試してみてはいかがでしょうか。それでも改善しない場合は、すぐに医師に相談しましょう。