甲状腺機能低下症の検査とは!?どんなときに病院に行けばいい?

2017/7/24 記事改定日: 2018/5/2
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの血中濃度が低下することで新陳代謝が滞り、喉の腫れ、倦怠感、体重増加などを引き起こします。検査や治療はどのように行うのでしょうか? この記事で詳しく見ていきましょう。

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甲状腺機能低下症の検査方法は?

甲状腺機能低下症は橋本病など様々な原因によって、甲状腺が損傷を受けることで発症します。

心電図検査

心臓は全身に血液を循環させるために、その筋肉の拡張と収縮を繰り返すときに微弱な電気活動を発生させます。心電図検査ではその電流を波形としてあらわすことで、心臓の機能に異常がないかどうかを確認します。

左右の手足と胸の12ヶ所に電極をとりつけ、ベッドに横になった状態で検査を行います。検査は数分で終了し、特に痛みを感じることはないでしょう。

超音波検査

喉の部分にある甲状腺に超音波をあて、甲状腺の大きさ、腫瘍病変の位置や大きさや性状などを調べる検査です。ほとんどの場合は血液検査とあわせて行われます。ゼリーを塗った探触子を体表で滑らすだけなので痛みはありません。

甲状腺ホルモン(FT3・FT4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)検査

血液中の甲状腺ホルモン(FT3・FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値を測定して、甲状腺のはたらきや異常を調べる検査です。この検査は、ホルモンの分泌量から甲状腺の状態を知ることができます。

甲状腺機能低下症の検査は何科で受ければいい?費用はどれくらいかかる?

甲状腺機能低下症の検査は一般的な内科や甲状腺外科などで行うことができます。また、稀に主症状である抑うつ状態に陥り精神科や心療内科を受診して、血液検査甲状腺機能低下症と診断されることも多々あります。
このように、甲状腺機能低下症は様々な症状が引き起こされるため、多岐にわたる診療科で検査することが一般的です。

また、費用に関しては全て保険診療の対象となり、血液検査や尿検査、甲状腺の超音波検査などを含めると、自己負担で6000~10000円が相場となります。
ただし、医療機関によって初診料などは異なり、他の疾患との鑑別を行うために追加検査を行うこともあります。費用に関しては、事前に受診予定の医療機関に問い合わせるとよいでしょう。

甲状腺機能低下症の症状・徴候 ― こんなときは病院へ!

甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの減少によって新陳代謝が低下し、エネルギー消費や体温が低下します。そのため、心身ともに老けた印象を与える症状が出現します。
主な症状は、活動性の低下で抑うつ気分、無気力、集中力の欠如、物忘れなどの精神的な病変が現れます。このため、精神科や心療内科を受診する人も少なくありません。

また、体温が下がることで寒がりになり、脱毛や皮膚の乾燥なども起こります。体に水分を蓄えやすくなり、むくみや体重減少が生じることも多々あり非常に多彩な臨床像となります。

そして、甲状腺自体は慢性的な炎症を繰り返すことで、ゴムのように固く大きくなり、のどぼとけの辺りに触れるようになります。通常痛みを伴いませんが、他者から見ても首元が腫れて見えることもあります。

甲状腺機能低下症は放置するとうつ病や認知症などの発症リスクを上げるだけでなく、心不全などの重篤な合併症を引き起こすこともあります。ですから、上記のような症状が長く続く場合には病院を受診して適切な検査を受け、早期に治療を開始できるようにしましょう。

甲状腺機能低下症と診断されたら、どんな治療を行う?

治療には通常「レボチロキシン」と呼ばれるホルモン補充剤が使用されます。もともと体内にあるホルモンを補充する方法であるため副作用が少ないという利点がありますが、甲状腺機能低下症そのものを治療するわけではないため、永続性の場合は生涯に渡って飲み続けることが必要です。

尚、内服している薬が原因となって甲状腺機能低下症をきたすことがあり、その際は原疾患の治療状況を考慮しながら薬の減量や中止を検討します。

治療中に気をつけたほうがよいことは?

甲状腺機能低下症の治療薬以外にも服用している薬がある場合、その組み合わせには注意が必要です。特にレボチロキシンの吸収を阻害する薬剤を服用する場合には、最低でも数時間以上の間隔をあけて両剤を使用するようにしてください。

また、服薬にあたっては必ず医師の指示を守ってください。
いくつかの薬、サプリメント、食品はからだに影響を及ぼすことがあります。

多量の大豆製品、高繊維食、鉄サプリメント、カルシウムサプリメント、コレスチラミンや水酸化アルミニウム(一部の制酸薬に含まれている)などの薬を服用している場合は医師に相談して、甲状腺機能低下症の治療薬と併用ができるかどうかを確認しましょう。

おわりに:規則正しい生活と食事にも気をつけよう

治療では「レボチロキシン」と呼ばれるホルモン補充剤を使用されることが多いといわれています。一過性の甲状腺機能低下症の場合は薬の服用をやめた場合に再発の危険があるため、検査や経過観察が必要となり、永続性の場合は生涯に渡って飲み続けることが必要です。

治療は薬剤の投与がメインとなりますが、合わせて規則正しい生活リズムで過ごすことを心がけてください。

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