記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/8/9 記事改定日: 2018/3/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
臨月は「妊娠10ヶ月目以降(妊娠36~39週目)」の、出産に向けて母体が変化していく状態を指します。
出産も近づき赤ちゃんに会えるのが楽しみになる時期ですが、妊婦さんの体にはどんな変化が起こるのでししょうか?
大きさには個人差がありますが、臨月になるとお腹が一段と大きくなってさがってきます。
他にも、お腹の張りやかゆみなど、お腹周辺に症状がでることが多いようです。
お産が始まるまで妊婦さんのお腹はおへその近くがふくらんでいることが多いですが、赤ちゃんの頭が骨盤内に下がってくると子宮が少し下がるため、赤ちゃんの下降に伴っておへその下の下腹部のふくらみが目立つようになります(※お腹のふくらみには個人差があります)。
妊娠後期や臨月になると、お腹かゆみに悩まされる妊婦さんもいます。
原因は出産準備のために体内のホルモンバランスが変化して、お腹の皮膚が伸びて乾燥するためです。シャワーをマメに浴びる、できるだけ刺激の少ない下着を選ぶ、保湿剤を塗るなどの方法で対処するか、ひどい場合は医師に塗り薬を処方してもらいましょう。
お腹の変化の他にも、臨月になるとあらわれる特徴的な症状があります。
ここでは、臨月の妊婦さんを悩ませる〈むくみ〉と〈吐き気〉についてお伝えします。
臨月になると通常よりもむくみやすくなるのは、妊娠後期は血液や水分量が増えたり、赤ちゃんが成長してその重みで血管が圧迫されるためです。
ですが、むくみを解消したいからと水分を控えると、脱水症状が起こりやすく・体内の老廃物が排出されにくくなるなどますますむくみやすくなってしまいます。
この時期のむくみは、1日2リットルの水分補給と塩分を排出してくれるカリウムを多く含む食品を多く摂ることで解消していきましょう。
臨月に生じる吐き気のほとんどは、赤ちゃんの成長によって大きくなった子宮に胃が圧迫されることによって起こります。妊娠後期になって子宮が大きくなると、胃が圧迫されて小さくなることで少し食べただけでも満腹になったり、吐き気がするという妊婦さんもいます。
また、妊娠32週以降になると、お腹が急に大きくなることで胃酸が食道に戻ってしまう、逆流性食道炎のような症状があらわれることもあるようです。
ただし、臨月に吐き気と頭痛が同時に起こった場合は、妊娠後期に起こりやすいトラブルのひとつである「妊娠高血圧症候群(※妊娠20週以降~産後12週頃までに、高血圧・むくみ・蛋白尿などの症状が出る)」になっている可能性があります。
そのような場合は、検診を待たずに医師に診てもらうようにしてください。
これまでご紹介した内容の他に、以下のような変化が起こることもあるようです。
臨月に入るとお腹の赤ちゃんの体重は2500グラム前後、身長は45cm以上となるため、子宮の中に余分なスペースがなくなります。そのため赤ちゃんの動きが少なくなり、胎動を感じにくくなるのです。
ただし、胎動は必ずなくなるわけではなく、出産直前まで活発に動いていたというケースもあります。
また、極端に胎動を感じないという場合は10カウント法(お腹の中で赤ちゃんが10回動くまでにかかった時間を計る)などで胎動を確認し、気になる場合は医師に連絡してください。
赤ちゃんが下がることによって子宮による胃の圧迫がなくなるため、食欲が湧いてくるという妊婦さんもいます。
それまで食欲がなかった妊婦さんの中には、胃が開放されたことで食べ過ぎてしまう人もいるようですが、急激な体重増加は難産につながる恐れもあるため、出産までの間は引き続き体重管理には注意しましょう。
臨月は出産が近い状態ですが、出産はすぐに始まるわけではありません。
この時期には産後に必要なものを用意したり、リラックスして赤ちゃんに会うための心の準備をして過ごすのがおすすめです。
ただし、破水が起きた場合は早急に医師に連絡して病院へ向かうようにしてください。
(※妊娠37週以降であれば正産期に入っているため、そのまま分娩に進むことも多いです)