記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/31 記事改定日: 2018/3/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
デスクワークでも立ち仕事でも力仕事でも、共通して悩まされるのことの多い症状が「腰痛」です。今回の記事では、おすすめの腰痛対策をご紹介していきます。慢性的な腰痛を抱えていたり、腰痛が再発しやすかったりする方はぜひご一読ください。
人は椅子に座っている間も、腰付近の筋肉を使い続けています。そのため、背中が丸まっているような悪い姿勢でずっと椅子に座り続けていると、筋肉を疲労させて弱らせたり、腰付近の神経を傷つけたりして、腰痛を招く恐れがあります。
椅子に座るときは、下記のポイントを心がけてください。
・前かがみに座り、お尻を一番後ろまで引いた状態で、顎を引いて腹筋・背筋を伸ばす
・椅子の背もたれが、尾てい骨の少し上部に当たるようにする(骨盤と背骨を直角の位置関係にする)
・ひじとひざの角度は90°に
・かかとを床にしっかりつける
なお、机と椅子の間が開きすぎないようにすることも大切です。机と椅子の間に距離があると前かがみになりやすく、腰の負担が大きくなります。また、腹筋・背筋を伸ばした状態がキープできるよう、キーボードやマウスはできるだけ手元に近づけるようにしましょう。
間違った寝方や寝具は、腰痛のよくある原因です。特にうつ伏せや仰向けでの寝方は、腰が圧迫されて腰痛が悪化しやすいのでNGです。特に背中よりもお尻が出ている体型の方は凹凸が大きいスタイルのため、寝方によっては腰痛のリスクがさらに上がります。
腰痛対策としておすすめの寝方は、下記の通りです。
エビのような横向きの姿勢で寝た状態で、足の間に薄めのクッションを挟むことで、足と腰が水平の高さになり腰痛が緩和されます。
タオルを三つ折りにし、敷布団と腰の隙間が埋まるように敷くと、腰付近の負担が軽減されます。隙間の大きさに合わせてタオルの厚さは調整してください。また、タオルでなく薄めのクッションをひざ下に入れるのもおすすめです。
マットレスや敷布団が柔らかすぎると、腰が沈みすぎてしまい、腰への圧力が集中します。かといって、硬すぎるマットレスや敷布団を使っても、お尻が沈まず腰が浮いてしまうために、寝ている間に腰の筋肉が緊張してしまい、起床時に強い腰痛を感じることになります。
このため、マットレスも敷布団も適度な硬さのあるものを選ぶのがおすすめです。特におすすめなのは高反発のマットレスです。高反発マットレスは一定のところで腰部分の沈みをストップさせてくれるため、圧力が体全体にバランスよく分散することで、腰痛を発症しにくくしてくれます。
重いものを持ち上げる、運ぶといった腰に負担のかかるような肉体労働をしないようにしましょう。
あなたがもし肥満であれば、減量することが一番の腰痛対策かもしれません。余分な体重は背骨に負荷をかけ、背骨の形状の悪化を促進してしまうからです。
歩くとき、かがむとき、ものを取るときなどのちょっとした姿勢がきっかけで腰痛が引き起こされることがあります。特に以下の場面では姿勢に注意し、事前に腰痛を予防しましょう。
何かを拾うときは、腰を曲げずに膝を曲げましょう。腰を曲げると腰痛が表れたり、悪化する可能性があります。ものを拾うときは背中を真っ直ぐにしたまま膝を曲げ、体全体を下げます。姿勢を戻すときも重心は足に乗せたまま、背中は真っ直ぐな状態をキープしてください。なお、10kg以上のものは持ち上げないようにしましょう。
重いものを運ぶときは、お尻と肩の間の高さまで持ち上げてから運ぶようにしましょう。
腰痛持ちの人は、肩より高い位置にあるものを極力取らないようにしましょう。どうしても取りたいときは踏み台に乗って取るようにしてください。よく使うものはお尻と肩の間の高さの場所に置くのがおすすめです。
何かを体全体で押すとき、背中の筋肉ではなく、脚の筋肉を使うようにしましょう。押すときに腰を前に突き出したり、引くときに腰を後ろに突き出したりすると腰痛になる恐れがあります。押すときは背中を真っ直ぐにし、膝は曲げ、片足を前に出すようにしてがっしりした土台をつくってください。
目が覚めたらその場に座った後、足をベッドの縁のほうに向け、ベッドに腰掛けた状態にしてください。その状態から背中を真っ直ぐにしたまま立ち上がることで、起床時の腰痛を予防することができます。
立ち姿勢を正すことは、とても有効な腰痛対策です。肩を引き、頭を真っ直ぐに構え、お腹を少し引くのを習慣化しましょう。
車の座席に座るときは、腰の後ろに小さなクッションを置いて体を支えるようにしましょう。できるだけ深く腰かけて、バックミラーの位置も調整してください。車に乗るときは、足を車外に出したまま座り、足を持ち上げて体全体をぐるっと回します。ベルトを外すときも腰を不必要に曲げないよう、ベルトの止め具に近いほうの手でロックを解除しましょう。
背中のストレッチなど、適切な運動や筋トレで体のコンディションを良い状態に保つことは効果的な腰痛対策となるでしょう。おすすめの運動をいくつかご紹介します。
特におすすめの運動は腹筋です。強い腹筋を持つことで、腰痛を和らげることもできます。下記の手順で行ってみてください。
1.仰向けに寝た状態で足を腰の幅くらいに開き、膝を立てる
2.腰の下にタオルを敷き、腰が反らないようにする
3.腹部の上にタオルを乗せる
4.腕全体を体の横の床につけ、手のひらを上に向ける
5.息をゆっくり吐きながらお腹をへこませ、ゆっくりと戻す
(1日5回を2~3セット行なってください)
太ももの裏側をストレッチすると、腰痛が軽減されると考えられています。
1.胸を張って立った状態で足を腰の幅くらいに開き、右足を半歩前に出す
2.胸を張ったまま、お尻を後方に引くような感じで左ひざを曲げる(右足と背中がくの字に見えるように)。手は太ももの上に置き、太ももの裏が伸びるようにする
(左右20~30秒キープを2~3セット行なってください)
ただし、適切な方法で運動しないと逆に腰痛を引き起こす恐れがあるので注意してください。例えば、朝起きてすぐにストレッチを始めたり、ヨガのポーズをとったりする人も少なくないようですが、このタイミングでヨガやストレッチするときには注意が必要です。起床後の30分間は、ほかの時間帯よりも腰を痛めるリスクが高まっています。これは、一晩横になることで椎間板に多くの水分が溜まっていることが関係しています。腰に負荷がかかる恐れのあるストレッチなどの運動は、椎間板の水分が流れ出る頃(午後や夕方)に行うようにしてください。
ほとんどの腰痛は、突然の動きや悪い姿勢、運動不足といった日常生活が原因で引き起こされます。普段から姿勢に気をつけたり、体を鍛えたりするだけで、腰痛の再発率はぐっと減るかもしれません。ぜひ実践してみてくださいね。