痔とはどんな病気? ~ 身近な病気、痔を解説 ~

2017/8/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

痔は身近なもので、人間は何世紀にもわたって痔に苦しんできました。そんな身近な病気の痔についてどこまで知っていますか? 今回の記事では、痔についての解説をしていきます。

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痔とは

痔とは、直腸下部及び肛門の静脈が異常に腫れあがった状態です。痔は肛門の静脈に圧がかかることが原因で発症し、座ったときに痛みを生じることがあります。

痔の原因

痔の原因として代表的なものに以下があります。
・便秘のため排便時に息む(怒責)
・長時間座っている
・肛門の感染症
また、以下のことも痔の原因になります。
・妊娠
・老化
・慢性的な便秘
・下痢
・出産
・アナルセックス
・肝硬変など、その他の病気

痔の予防

下記の対策をとり便を柔らかくすることで、痔を予防することができます。
・食物繊維が豊富な食べ物を食べる
・水分をしっかり摂る
・運動をし、長時間同じところに座り続けない
・便軟化剤や食物繊維を補給するサプリメントを飲む

痔の治療

10分から15分、毎日温かいお風呂に浸かるようにし、ウェットタイプのトイレットペーパーを使うようにすることで、痔の症状を軽減でき、軽度の症状であれば2~7日で治まります。こうした家でできる処置で症状が良くならない、むしろ症状が悪化したという場合は、医師に相談してください

痔を治療するための手術はたくさんあります。たとえば、血餅ができてしまっている(血栓症)なら、医師は少しの切開で血餅を取り除くことができます。

痔のリスクがある人

痔は45歳から65歳の大人にできやすいとされ、男女共通して見られます。また、妊娠中の女性は痔になることがよくあります。ホルモンの変化と胎児がお腹にかける圧力が、痔となる血管を大きくする原因となるからです。これらの血管は、出産時にも強い圧力を受ける位置にあるので、出産後に痔が発生・悪化するケースも少なくありません。しかし、このような妊娠・出産に関わっている痔は一時的なものに終わることがほとんどです。また、肥満や運動不足の人も、痔になりやすいといわれています。

外痔核と内痔核

痔は肛門の内部および外部にできることがあり、それぞれ内痔核と外痔核に分類分けされます。また、内痔核と外痔核が両方同時にできてしまうこともあります。

外痔核

外痔核は歯状線(肛門にある異なる2種類の表皮を分ける線)より下にでき、軽度のものであれば痛みがほとんどなく、医療的な治療も必要としません。しかし、静脈が破裂したり、血餅(これができると血栓性外痔核と呼ばれます)ができてしまうと、切除などの医療的処置が必要となります。

内痔核

内痔核は歯状線より上(内側)にできます。その大きさはほんの小さな腫れ程度からのものから、たるんだ静脈が肛門からずっと出ている状態になるほどまで、さまざまです。治療は、内痔核の大きさによって4つに分類されています。

第Ⅰ度

静脈が膨らんでいる状態で、排便時に出血することがあります。

第Ⅱ度

排便時に肛門から内痔核が出てきてしまいますが、排便後は勝手に元に戻ります。

第Ⅲ度

排便時に肛門から内痔核が出てきてしまい、排便後も勝手には戻りません。手で押し戻す必要があります。

第Ⅳ度

常に肛門から内痔核が出てきており、押し戻すことができません。

医師の診察は受けるべきか

以下の項目に当てはまるようになったら、医師の診察を受けましょう。
・特にこれといった理由も見当たらないにもかかわらず、排便とは関係なく、腸から出血している。
・1週間以上腸からの出血が続いている。
・便の太さがいつもより細くなってきている。
・肛門付近にできた腫れがどんどん大きくなっている、またはどんどん痛みを増している。
・痔による痛みおよび腫れが強くなってきている。
・家でできる処置をしても1週間以上痛みが続く。
・肛門から便以外の異物が漏れ出てきている。
・体の中の組織が肛門から出ており、家でできる処置をしても3~7日以上元に戻らない。
・腸からの出血が悪化している、または、血の色が明るい赤色から赤黒く変わった。
・便の色が変化した。

おわりに:痔と便に注意しよう

痔はインターネット上でもホットな話題になっています。おそらくこれは痔が非常に身近なものだからではないでしょうか。この機会に痔について理解し、予防するようにしましょう。また、便に異常が見られたり、痛みが続くときは、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。

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