てんかんの症状とは ~ 発作の種類を解説 ~

2017/8/1

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

てんかんとは、発作が長期間に渡って繰り返される状態を指します。ほとんどの発作は数分未満で自然に治まります。但し、救急医療処置を要する事態もあります。今回はてんかんの症状について解説します。

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てんかんの症状

てんかん発作は、脳の一部や広い範囲に電気的な異常興奮が起こることで発生する発作です。発作が起きると以下の症状を引き起こします。
・一時的な錯乱
・意識の完全なる喪失
・凝視ひきつけ
・四肢の制御不能な痙攣等

発作のタイプは2種類

症状は発作の種類によって異なります。ほとんどの場合、てんかん持ちの人は毎回同じタイプの発作が起こるため、同様の症状が現れます。しかし、一部の人で複数の異なる発作が起こるケースもあり、その場合は症状も毎回異なります。

部分発作(焦点発作)と全般発作

医師は脳のどの部分が興奮することで発作が起こっているかを特定し、部分発作、或いは全般発作に分類します。脳内の一部分の異常が原因で発作が起こったと思われるものは、部分発作もしくは焦点発作と呼ばれます。脳内の幅広い範囲が関与していると考えられる場合は、全般発作と呼ばれます。ただし、発作が一部位で発生して脳内の他部位へ拡大していく場合もあれば、部分的なものから全般的なものへと発展する場合など特殊なケースもあります。以下に発作の種類を解説します。

単純部分発作

単純部分発作は、意識の喪失を伴いません。この発作は感情が変質したり、視覚、嗅覚、感覚、味覚、聴覚が変化します。

複雑部分発作

複雑部分発作が起きると、意識が変質し、一定時間意識が飛びます。複雑部分発作はしばしば凝視ひきつけや目的性に欠ける動作(手を擦り合わせたり、唇を鳴らしたり、腕の位置や構えを変えたり、発声したり、飲み込んだり)をもたらします。

全般発作

全般発作においては、脳のほとんどの部位、或いは全ての範囲が関与します。

欠神発作(小発作)

欠神発作の特徴は、凝視ひきつけ、かすかな身体動作、意識が戻る短い瞬間が断続的に何度か訪れること、などです。

ミオクロニー発作

ミオクロニー発作では、四肢が突然痙攣を起こします。

脱力発作

脱力発作はドロップ・アタックとしても知られており、患者は急に脱力するので、地面に倒れこんでしまう危険性があります。

強直間代発作

強直間代発作は、全般発作の中でも最も代表的な発作であり、広く認知されているてんかん発作の一つでもあります。強直間代発作が起こると、患者は意識を喪失し、身体が硬直し、地面に倒れこみます。この後痙攣が続きます。1、2分後、この痙攣症状は治まり、意識がゆっくりと戻っていきます。

全身性強直間代発作

突然の虚脱に始まり、意識喪失、筋痙攣、四肢の激しい痙攣が起きます。舌を噛むことや呼吸停止、失禁、嘔吐などの危険性があります。以下は、この発作が起こったときの応急処置の方法です。
・患者を怪我から守るため、危険性のある物体から患者を遠ざけましょう。枕で患者の頭を支えましょう。但し、身体の動きを押さえつけてはいけません。
・患者の口の中には何も入れないようにしましょう。
・患者を横たえ、頭を下に向けます。こうすることで唾液の分泌が促進され、吐瀉物の吸引を防止することができます。
・発作が消えるまで患者のそばいてあげましょう。患者はおそらく発作後数時間に渡って筋肉痛や頭痛、疲れを感じるでしょう。

医師を呼ぶべき発作の症状

以下の状況がみられる場合には直ちに医師に連絡してください。
・発作が治ったが、その人はてんかん持ちと診断されていない場合
・発作中に身体的外傷を被った場合
・発作が水中で発生した場合
・抗てんかん薬を服用中の患者が体調不良を起こした、或いはその他の副作用が見られた場合

おわりに:てんかんの症状が現れたら

現状、てんかんを完全に治癒する方法はありません。しかし、てんかん持ちの患者のほとんどは普通の生活を送ることが可能であり、年齢が高じると共にてんかん症状が薄れる人もいます。発作のほとんどは、脳を損傷することはありませんが、特定の症状が現れた場合は医師に連絡しましょう。

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