記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/1
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
熱中症になるとめまい、吐き気、筋肉のけいれんなど様々な症状があらわれます。頭痛もそのひとつですが、回復するには熱中症そのものを取り除くことが必要です。この記事では熱中症が原因の頭痛の原因や対処法をご紹介します。
熱中症によって頭痛が発症する主な原因は体温調節がうまくいかないことと、体が脱水症状になることです。それによって体や血液中の水分量が減り、脳に充分な栄養を補給できないことで頭痛が起こってしまいます。
ここでは、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
体には体温を適正な範囲に保つための「自律神経」という調整機能が備わっています。
たとえば、夏に暑いと感じるときには自律神経の働きで汗を出すことによって体温を下げる役割を果たしています。身体に異常がなければ体温が極端に上がることはほとんどありません。
しかし、急な体温の上昇で自律神経が乱れると体がうまく熱を逃がすことができなくなります。
そのため、体温調節機能が正常に働かずに熱中症になってしますのです。
体の水分を失った後に充分な水分を補給しないと、体内の水分が不足して脱水症状になります。
体温が上昇すると大量に汗をかくことで体の水分量は減少しますが、体内の熱を外へ逃がそうとするため皮膚に流れる血液量は増加します。さらに活動している筋肉にも血液を送る必要があるので、心臓へ戻る血液の量は減ってしまいます。それによって脳や内臓に充分な血液が行き渡らず、頭痛、めまい、吐き気などの症状があらわれるのです。
熱中症による頭痛を治すには、頭痛の原因となる「自律神経の乱れ」と「脱水症状」にアプローチをする必要があります。
以下で紹介する方法は熱中症への応急処置にもなるので、今一度確認していきましょう。
屋外なら風通しの良い日陰、室内に移動できればクーラーの効いた部屋で患者を休ませましょう。
可能ならば、熱を逃がすためにベルトや衣服をゆるめたりうちわで仰ぐなどして体を冷やしてあげてください。
患者の意識がはっきりしていて口から水分を摂ることができれば、ナトリウムやミネラルが含まれた飲料を飲ませてあげましょう。
熱中症時の水分補給には汗で失われた電解質などを補えるスポーツドリンクや経口補水液などがおすすめです。
熱中症が原因の頭痛の場合、以下のような症状があらわれます。
・全身倦怠感
・吐き気を催す、嘔吐
・めまい、ふらつき
・意識を失う
頭痛に加えてこのような症状が見られたら、熱中症の中でも「熱疲労」と呼ばれる段階に達している可能性があります。熱疲労は体の水分が足りていない状態でおこるため、患者を涼しい場所に移動して水分補給をさせてください。患者の症状により経口からの水分補給が難しい場合は、病院で点滴などの処置を受ける必要があります。
熱中症による頭痛を予防するためには、頭痛のみの予防ではなく熱中症そのものを防ぐことが大切になります。
そのためにポイントとなるのは水分補給をすることと暑さを避けることです。
屋外でも室内でも、喉の渇きを感じる前にこまめに水分を補給しましょう。また、自分のいる場所の気温や湿度を把握し、帽子や日傘などを利用して直射日光を避けたり窓を開けるなどして、熱中症になりやすい高温・多湿の状況を避けましょう。
熱中症による頭痛は体温調節と水分補給で治まることもありますが、適切に対処しないと危険な状態を招く可能性があります。特に患者に意識が無い場合は病院での処置が必要になるので、様子がおかしいと感じた場合はすぐに救急車を呼ぶ、近くの病院に連絡するなどをして対処してください。