高齢者の便秘解消につながる、おすすめの方法は?
2017/8/28
なぜお年寄りは便秘になりやすいのか
多くの人の便秘は「機能性便秘」と呼ばれるもので、物理的に腸に問題があるわけではなく、腸の働き自体に問題があることが原因です。高齢者の便秘の多くは大腸の蠕動(ぜんどう)運動の力が弱くなることで起こり、大きな原因は筋力の衰えです。
とくに腸の動きにも直結する腹筋や肛門括約筋が衰えたことにより、便が前に運ばれていきにくくなります。さらに、便が長く腸にとどまることで水分がなくなり、かたくなってしまうことで、より便秘が加速していきます。
他には、食事の量が減るために便の量自体が減ること、直腸の知覚の衰えにより、便意をもよおしにくくなることなどが挙げられます。
便秘を解消する方法
ただでさえ不快でつらい便秘ですから、高齢者にとってはよけいにつらく、体に負担がかかってしまいます。早く解消できるように家族が協力し合いましょう。
決まった時間にトイレにいく習慣をつける
できれば朝の朝食後あたりの決まった時間に、トイレにいく習慣をつけましょう。これは、たとえ便意がなくてもトイレに入ることが重要となります。
水分を摂る
若年層の便秘解消も水を摂ることが第一ですが、渇きを感知しにくくなる高齢者はとくに意識的に水分補給が必要です。
たとえばペットボトルや水筒を持っておいてもらうなど、いつでも思い出したときに水分を補給できる状態を用意しておきましょう。
適度に運動する
筋力の衰えや関節の痛みなどがあり、体を動かすことがおっくうになっているでしょうが、散歩(歩く)だけでも違います。とくに弛緩性便秘では、筋力を衰えさせない努力が必要です。
食生活を改善する
自律神経のバランスを整えるため、規則正しく1日3回の食事を摂るようにしましょう。また、キャベツ、ごぼう、プルーン、きのこ類、海藻類など食物繊維の豊富な食べ物を選ぶことや、ヨーグルトなど乳酸菌を含む食べ物をしっかりと摂ることも重要です。ヨーグルトが苦手な人には、味噌や納豆にも乳酸菌が含まれていますから、代替品となることでしょう。
とくに乳酸菌は、加齢とともにどんどん減少していきますから、意識して食べてもらいましょう。
高齢者の便秘を解消する際に気をつけることは?
便秘薬を使用する際は、注意しましょう。腸をいためる原因になったり、人によっては効きすぎて下剤になってしまったりする恐れがあります。また、ふだん服用している薬との相性も確認しておきましょう。
なお、下剤を使用する場合も、あまり使いすぎると下剤に耐性がついてしまって効き目が落ちたり、下剤なしの排便が困難な状態になることがあります。
他に注意することとしては、とにかく「あせらず、無理のないように」ということです。食物繊維をとりすぎると、かえって便をかたくします。急な運動も、捻挫などの原因となります。くれぐれも体に無理をさせないようにしてください。
おわりに:食事を工夫したり、運動をサポートしてあげよう
体力や気力など、いろいろなところが衰えてくる高齢者にとって、食事の工夫や適度な運動といった新しい行動を習慣づけるのは大変なことです。
だからといって便秘をほっておけば、有害物質の発生を促したり感染症の危険なども出てきます。ぜひ、家族で協力し、便秘解消のサポートをしてあげましょう。