統合失調症とは ~ 家族や周囲のサポートがとても大切 ~
2017/8/23
ご家族や身近な人が「統合失調症」と診断されたとき、動揺したという方は決して少なくありません。ただ、統合失調症を治療する上で、ご家族や周囲の方からの適切なサポートは非常に重要になっていきます。ここでは、統合失調症の患者さんを支える周囲の方に向けて、お願いしたいことをお話していきます。
家族・周囲のサポート:病気について学ぶ
患者さんの周りの方にお願いしたいことの1つめが、「病気やそのつらさについて理解していただきたい」ということです。例えば、統合失調症の症状のひとつに「意欲の障害」というものがあります。これは物事を行うのに必要な意欲が出ないという障害で、仕事や勉強への意欲が出ずにごろごろしてしまう、部屋の整理整頓をする気になれないといった症状が現れます。そんなときにご家族や周囲の方から、「だらしない」「怠けている」「そんなふうだから病気になるんだ」などといわれて理解してもらえないと、患者さんはつらくなってしまいます。
統合失調症という病気について、まずは理解してください。患者さんがどんなことを苦しく感じるのか、日常生活で怠けやだらしなさと見えるものが実は病気の症状であることを理解してもらえることは、患者さんにとっては非常に心強いことです。
家族・周囲のサポート:本人の症状の特徴や行動・言動の傾向をつかむ
2つめは、医療チームの一員として「患者さんの状態を把握し、医師に伝える」ということです。普段から患者さんの様子をよく観察しておき、診察に同伴して行動や言動の傾向を伝えたり、薬の飲み忘れがないかチェックしたりすることで、医師も患者さんに適した治療を提供し、回復までのスピードを促進させることができます。
家族・周囲のサポート:本人の回復を促す手助けをする
3つめは、「患者さんの回復を促す手助けをする」ことです。具体的には、患者さんへの接し方を少し工夫してみましょう。すでにご存知かと思いますが、統合失調症は「前兆期」「急性期」「回復期」「安定期」をひとつのサイクルとする病気です。安定期の後そのまま治癒に向かう患者さんが大半ではありますが、中には前兆期がまた始まり、再発を迎えてしまう方もいます。
この再発の原因のひとつとして、患者さんへの接し方が不適切だったことが挙げられます。統合失調症の患者さんは、対人関係に敏感になっています。特に苦手なのは、身近な人から「批判的ないい方をされる」「非難される」、あるいは「オロオロと心配されすぎる」ことです。「小さなことでも患者さんのよい面を見つけ、それを言葉で表現する」「困ったことの原因はひとまず脇に置いて、具体的な解決策を一緒に考える」という接し方が理想的です。投薬だけでなくこうした適切なコミュニケーションも、回復を促す重要なカギとなります。
おわりに:発症したのは自分のせいでは・・・と思わないこと
「育て方が悪かったせいでこんな病気になった」と自分を責めるご両親も少なくありませんが、育て方のせいで統合失調症を発症することはありません。逆に患者さんからしても、ご家族が自身を責めたり、自分を犠牲にするほど献身的だったりすると、かえって負担を感じてしまいます。ご自身のためにも患者さんのためにも、自分の人生や気持ちも大切にしてください。持続可能な無理のない範囲でのサポートこそが、よりよい治療へとつながっていきます。
【出典: 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」を編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_into.html】