記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/7
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
「更年期障害」というと、「イライラ」を思い浮かべる人は多いと思いますが、更年期は本人のカラダだけでなく、夫婦生活にも影響を及ぼします!
「うちの妻もそろそろ・・・」「いま真っ只中」
という全ての愛妻家の男性にぜひ読んでいただきたい、更年期の奥様の支え方をご紹介します。
閉経を迎えた更年期の女性には、ホルモンバランスが変わることでさまざまな面で変化が現れます。たとえば、
・ホットフラッシュ(顔のほてりなど)
・発汗(寝汗や特に顔〜上半身の汗)
・動悸(ドキドキする)
・不眠
・抑うつ、不安感
・疲れ
など、様々な症状があります。
そして、
・肌にハリがなくなる、体型が変化し始めるといった見た目の変化
・膣乾燥によるセックスの痛み
・月経が不定期になり、やがてなくなってしまう
などの避けられない変化で、奥様は女性として自分のカラダに自信が持てなくなったり、夫婦関係への影響を心配したりすることがあります。
これらの心理的な問題のため、旦那さんの態度によっては、「こんなに私が苦しんでいても、夫には理解してもらえないの?」などと妻が不安やいらだちを感じるケースもあるでしょう。
前述のような不安感を解消するためには、妻の変化に気づいていることを態度で示し、「心配しているよ」と優しく伝えてあげることが大切です。
夫婦で会話しやすくするためには、以下のような切り出し方がおすすめです。
・「なんだかいつもと違うように見えるね」
・「少し気が散っているみたいだけど、何かあった?」
・「今日は体調がわるそうだけど、大丈夫?」
このときに、パートナーのことを心配し、共感する姿勢を示すことが非常に重要です。更年期は、奥様ひとりの問題ではなく、夫婦で対応していくと良い夫婦関係を築くことができます。
更年期やホルモン補充療法(HRT)について、男性もある程度の知識を持っていることが重要です。
「更年期は女性の問題であり、男性にとっては全く身近ではない」「女性のことはよく分からない」という男性も多いとは思いますが、女性の更年期のことを理解することで、夫婦関係を良くすることにも役立ちます。
特にセックスに関しては、夫婦にとって更年期が変化の時期なのです。
女性は性欲を失う場合もありますし、完全に開放されてより頻繁に性行為の場を持ちたがる場合もあります。一方、男性は加齢とともに次第に性欲を失う傾向にあります。
そのため、更年期には一組の夫婦として、挿入を伴わず肉体関係を持つ新たな方法を見つけなければならないかもしれません。キスをたくさんしたり、肉体関係を持つ前はどのような関係だったかを思い出したり、愛情表現や親愛の情を示す方法を学び直したり――そういう愛情表現を通じて、女性に「自分にはまだ性的魅力があり、夫も自分の近くにいたいと思ってくれている」と感じてもらうことが重要なのです。
「更年期=今まで出くわしたことのない状況に対処する方法を教えてくれる時期」などと、前向きに考えられるようになるのがベストです。
「お互いのためにお互いがいる」「更年期は協力して乗り越えることができ、うまくやっていく方法を見つけることができる」ということを実感できるようになるのが、夫婦として理想的な更年期の迎え方でしょう。
更年期障害の疑いがある女性が医師の診察を受けたがらないのは、自分が更年期であることを認めたくないからか、何かを恐れているからかもしれません。
あるは夫が更年期障害に関する知識、生活の中でできる工夫を学ぶことで、妻をサポートすることができます。
あるいは直接、パートナーとともに更年期の専門医やカウンセラーのもとへ行くことを提案してください。
更年期に訪れるカラダや心の変化で、戸惑う女性は多いです。恥ずかしさや申し訳なさで、夫になかなか相談できずにひとりで悩んでしまうケースも。だからこそ旦那さんの協力は、女性にとって非常に心強いものになります。
本来ならば落ち込みやすい更年期でも、夫婦ふたりで協力すればかけがえのない時期に変えることができます。ぜひ優しい言葉をかけてあげてください。