記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
2017/9/6
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
「口唇裂」と「口蓋裂」はそれぞれ、生まれつき唇や口蓋が分かれていることです。口唇裂と口蓋裂が両方起こった場合は、「口唇口蓋裂」としても知られています。また顎の骨が割れている場合は「顎裂」と呼びます。
口唇裂は上唇と鼻の割れ目、 口蓋裂は口の中の上側(口蓋)の割れ目です。口蓋裂のみが起こった場合は、外からの見た目からは分かりません。口唇裂では、唇に割れ目があるため、見た目上目立つことになります。
主な症状として、下記のような問題が起こることがあります。
・見た目の問題:唇が割れていると、見た目上目立ってしまいます
・哺乳の問題:特に口蓋裂があると、口の中を陰圧にして母乳を吸うことが難しくなります
・発音、発生の問題:唇や口蓋の割れ目が原因で、発声が難しくなります
・歯並びの問題:特に顎裂がある場合、歯にも異常が起きてしまいます
口蓋裂があると、中耳炎にかかりやすくなることがあります。
また口唇口蓋裂は生まれつき(先天性)のものであり、手足や耳など、口唇口蓋裂以外に全身に形態異常がある可能性があります。
口唇裂および口蓋裂は、妊娠中に起こる異常です。 赤ちゃんの顔の特徴は、妊娠初期(3ヶ月)に発生します。 最初に口唇が形成され、続いて口と口蓋が形成されます。 組織および細胞が正しく形成されない場合、裂が生じます。 口唇裂、口蓋裂や顎裂は単独で起こることもありますし、口唇口蓋裂として一緒に起こることもあります。
これらの原因は不明です。 遺伝学および環境的要因によるものだと考えられています。研究では、 たばこ、麻薬、またはアルコールの摂取が先天異常のリスクを増大させる可能性があることがわかっています。 糖尿病や抗てんかん薬のような特定の薬も影響する可能性があります。
しかし何かはっきりとした原因があって、お子さんが口唇裂や口蓋裂になるわけではありません。お母さんは変に原因を追究したり、自分を責めたりはしないでください。
口唇裂および口蓋裂はほとんどの場合、出生時に診断されます。 妊娠中の超音波検査で見つかる場合もあります。
口唇裂および口蓋裂の治療は、割れ目のタイプと赤ちゃんの全体的な健康状態など、他の要素により異なります。
子どもの成長に合わせて、その時々にあった治療をすることになります。小児科、形成外科、口腔外科、矯正歯科、耳鼻咽喉科など、様々な診療科が長期間にわたって関係することになります。
治療の内容、タイミイグはそれぞれのお子さんの状態によって異なりますが、例えば下記のような治療が行われます。
・口蓋裂:哺乳をうまく行えるように、生後早めのタイミングでプレートを口腔内に装着します。また1歳3ヶ月〜6ヶ月頃に、口蓋裂を閉じる手術が行われることが多いです。この手術は、正しい発声を学んでいく上でとても大切な役割を果たします
・口唇裂:生後3〜4ヶ月頃に、唇の割れ目を閉じる手術を行います
この先天性異常を予防することはできません。 それらの正確な原因は不明ですが、遺伝的要因と環境要因が関係していると考えられています。 たばこ、薬、アルコールをやめることでリスクが下がります。
口唇裂・口蓋裂の治療で紹介した方法以外に、下記のような治療も行われます。
・歯や口の問題のための歯科治療
・言語障害(発声の問題)のための言語療法
・メンタルヘルスのためのカウンセリング―両親や他の家族のためのカウンセリングも効果的です。
口唇裂または口蓋裂の成人は、一般的に、正常かつ健康的な生活を送ることができます。
・子供は、口唇裂または口蓋裂によって、どのような症状が出てくることが予想されますか?
・今後歯科の治療や矯正は必要になりますか?
・どんな手術が必要になりますか?いつ行うのが良いですか?
・言葉(発声)にも影響がありますか?