記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/9/7 記事改定日: 2020/3/13
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
お腹が大きくなって予定日が近づいてくると、間もなく出産です。でも、陣痛の前兆や出産までの流れがわからないと不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
この記事では、出産までの流れを詳しく解説していきます。少しでもリラックスして出産の日を迎えられるように参考にしてください。
おしるしは、出産が迫る時期になって子宮の入り口が開き、子宮を閉じていた粘液栓や卵膜が剥がれて少量の出血が起こることです。多くは生理のような真っ赤な出血ではなく、おりものに少量の血が混じってピンク色や茶色になっています。
おしるしは、出産が近づいている証拠ではありますが、おしるしから本物の陣痛が起きるまでの時間には個人差があり、おしるしに気づかない人やおしるしがないまま出産を迎える人もいます。
一般的にはおしるしがあってから3日以内に陣痛が起こることが多いですが、なかなか陣痛が始まらない場合でも基本的には心配ありません。リラックスして出産の日まで待ちましょう。
個人差はありますが、初産の場合は子宮口が全て開くまでの時間は平均して10時間~12時間ほどです。ちなみに、過去に出産を経験している場合はより早く、平均時間は4時間~6時間ともいわれています。
陣痛がきてもすぐに出産がスタートするわけではなく、子宮口が全開になり、いきんで赤ちゃんを生み出せるまでは長丁場になることが多いです。
大変な状態が続きますが、できるだけリラックスして陣痛を乗り越えましょう。
破水とは、出産が近づいて卵膜が破れることで、羊水が子宮から流出することをいいます。一般的には、子宮口が全開大になる分娩第二期を迎える頃に起こることが多いですが、陣痛が起こる前や子宮口が全開大になる前に破水することもあります。しかし、妊娠37週以降の破水はいつ起きても問題ありません。
破水すると、陣痛が強くなってそのまま出産になることがほとんどですが、なかには破水したものの陣痛や子宮口の開大などの分娩の兆候が全くみられない人もいます。破水は感染症のリスクが高くなりますので、赤ちゃんやお母さんの安全を考え、破水後2日以内には陣痛促進剤などを用いて分娩が誘発されることが多いです。
初産婦と経産婦の出産においての一般的な違いは、陣痛が始まってから出産までにかかる時間です。
経産婦は初産婦より子宮口や産道の開きが早いため分娩時間は短くなる傾向があり、平均すると初産婦は12~15時間、経産婦は5~8時間かかるといわれています。
しかし、陣痛が始まる兆候は出産ごとに異なるため、必ずしもこのような結果になるとはかぎりません。また、陣痛の感じ方も個人差があり、出産のたびに異なりますので、どちらの方が痛みが強いとはいえません。
出産間近になると、いよいよ陣痛がやってきます。
陣痛は生理痛と同じような下腹部の弱い痛みからはじまります。その後だんだん痛みが強くなり、痛みが現われる感覚が10分おきあるいは1時間に6回以上になります。
最初に発生する不規則な陣痛は「前駆陣痛」、その後の規則的な痛みは「陣痛」または「本陣痛」と呼ぶのが一般的です。
陣痛から出産までは、一般的に以下の4つの段階を経過します。
痛みが1時間に5~6回ほどの周期でやってきたら、いよいよ出産が本格的にはじまる合図です。
本陣痛がやってきたら、分娩室へ移動して分娩へと移ります。
ただし、「陣痛→破水→分娩へ」というのはあくまで一般的な流れであり、陣痛がはじまる前に破水することもあります。
陣痛がくる前に破水した場合は、細菌感染を防ぐためにお風呂には入らず、夜用の生理ナプキンをあてて対処しましょう。その後は慌てずにかかりつけの病院へ連絡して指示を仰ぎ、病院に向かいます。
破水した後はできるだけ安静にする必要があるので、病院への移動は車やタクシーを使いましょう。
分娩第1期は陣痛が10分ほどの間隔で規則的にくるようになってから、子宮口が全開大になるまでを指します。このときの痛みの時間は1回につき20~30秒ほどで、力まずに痛みを逃すことで体力をできるだけ温存しておきましょう。
分娩第2期に子宮口が開いたタイミングで破水が起こることが多いです。
分娩期2期に入ると、痛みと休みが1分ほど交互に訪れます。診察で子宮口が完全に開いていたら(10cm)、赤ちゃんが産まれるのももうすぐです。助産師の指示に従って力をいれて“いきみ”ましょう。
いきみに合わせて赤ちゃんがじょじょに子宮の出口に近づき頭が見えるようになります。
この段階を拝臨(はいりん)と言い、さらに子宮の収縮に合わせていきみ続けると赤ちゃんの頭が膣から出たままになる発露(はつろ)と呼ばれる状態に進みます。
ここまで来たら、会陰にかかる負担を減らすためにいきむのをやめ、「ハッ、ハッ、ハッ」という短い呼吸に切り替えて赤ちゃんの体が出てくるのを待ちましょう。
分娩第3期は後産期とも呼ばれ、赤ちゃんが産まれてから胎盤が外に出てくるまでを指します。このときには力をいれる必要はなく、胎盤が自然に排出されるのを待つような感覚です。
会陰切開したときの傷や出産時に子宮口付近に傷ができた場合は、胎盤がでてきた後に処置をします。
日本は海外と比べて出産後、病院に入院する期間が長く、出産直後は分娩時の疲れやダメージを癒すため、基本的には2時間程度ベッド上で安静にすることが求められます。また、その間出血が続いたり、気分が悪くなったりする場合は迅速な処置が行われます。
出産後の体調に問題がない場合は、お母さんの疲れ具合などを見ながら徐々に赤ちゃんのお世話を開始していきます。近年では、母乳育児に力を入れる産院も多く、出産後から赤ちゃんと同じ部屋で過ごす「母児同室」を行うのが一般的になっています。
産院によって入院期間は異なりますが、自然分娩の場合は産後5~7日、帝王切開の場合は7~10日ほどで退院となります。
産後の入院はお母さんの体調を回復させる以外に、赤ちゃんのお世話に慣れるための期間でもあります。分からないことや悩むことがあれば、医師や助産師に相談するようにしましょう。
陣痛がはじまってから赤ちゃんが誕生するまでは、長丁場になる可能性があります。
出産が近くなるとお腹の大きさで動きにくくなるので体を動かすことを避けがちですが、分娩を乗り切るには体力をつけておくことがとても大切です。しっかり食べて、適度に身体を動かして体力維持に努めましょう。
そして、出産の流れには個人差があります。初産のときと陣痛の感じ方が違ったり、聞いていた話と違っていても必要以上に慌てないようにしましょう。
担当医にアドバイスをもらいながら、落ち着いた心で出産の日を迎えてください。