子どもの急性中耳炎の特徴と治療について

2025/3/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

子どもがよくなる疾患に、急性中耳炎があります。大人も急性中耳炎になる可能性はありますが、子どもはとくになりやすく、治療に関しても注意する点があります。この記事では、子どもの急性中耳炎の特徴と治療内容、治療を受けるうえで心がけることについて解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

子どもの急性中耳炎の特徴

急性中耳炎は、0~5歳くらいまでの子どもに多くみられ、発熱や耳の痛みが風邪・鼻炎の後に続いて起こる傾向にあります。どのような人にもリスクはありますが、一般的には6か月から15か月の子どもは急性中耳炎にとくになりやすく、10歳になるまでに4分の1程度の子どもが中耳炎になるといわれています。

子どもが急性中耳炎になりやすいのは、耳管が水平で太く短いため、 風邪や鼻炎で増えた細菌が耳の外からではなく、鼻の奥から入りやすいことが関係していると考えられています。なお、乳児では、ミルクが耳に入ることが中耳炎の原因になる可能性があります。

症状と発症時の注意点

急性中耳炎のおもな症状として、以下が挙げられます。

  • 耳の痛み
  • 39度から40度の発熱
  • 吐き気 など

子どもは、自分自身の症状や体調の変化を他人にうまく伝えられないことも多いです。元気がなかったり不機嫌であったり、耳を触られることを過度に嫌がったりする場合は、気をつけるようにしてください。

急性中耳炎の治療について

急性中耳炎は数日で自然治癒することもありますが、軽症に見える場合でも症状が進行している場合があり、気づいたときには重症化していたということもあります。急性中耳炎と思われる症状があるときは、まず耳鼻科のある医療機関を受診しましょう。2日〜3日経過しても回復の兆候がみられない場合や激しい痛みがある場合、膿・体液などが耳から流れ出ている場合には、早急に医療機関を受診してください。

一般的に、子どもの急性中耳炎の治療では、薬物療法から行われます。原因菌に適した抗菌薬が処方され、症状・状態にあわせて消炎鎮痛剤・去痰薬・咳止めなどが使用されることもあります。また、症状が悪化し、中耳内に膿が溜まるようになった場合は、鼓膜を切開する・鼓膜にチューブを留置するなどの治療が行われる可能性があります。

急性中耳炎の治療は、きちんと完治するまで継続することが大切になってきます。完治する前に治療を中断すると、炎症が慢性化して急性中耳炎を繰り返したり、滲出性中耳炎に進行したりする恐れがあります。

おわりに:早期発見と最後まで治療を継続することが大切

急性中耳炎は子どもに多い疾患であり、耳の痛みなどの症状が現れます。子どもは自分自身の症状を伝えることができない場合があり、発見・治療が遅れてしまうと、治療期間が長引く可能性があります。気になる変化に気づいたときは、早めに医療機関を受診するようにしてください。また、急性中耳炎を完治しないまま放置すると慢性化・重症化する恐れがあるため、必ず医師の指示通り完治するまで治療を続けるようにしてください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

中耳炎(26) 対処法(193) 急性中耳炎(12) 家庭でのケア(1) 中耳炎の治療(2)