記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2025/5/22
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
ドライアイは比較的新しい眼疾患ですが、近年のIT機器・コンタクトレンズの発展・普及はすさまじく、増加傾向にあるといわれています。この記事では、近年増えているドライアイの特徴について、原因・対処法・セルフチェックなどもあわせて詳しく解説していきます。
ドライアイとは、通常は涙で覆われて守られている目の表面が、乾燥してむき出しになることで起こる外傷・障害を指します。涙の分泌量が低下したり、涙液の質が変化したりすることで蒸発しやすくなることが、目が乾燥するおもな原因と考えられています。なお、ドライアイは以下が原因で起こることがあり、このようなドライアイは近年増加傾向にあるといわれています。
IT眼症とは、コンピューターに代表されるIT技術の進歩に関連した機器を用いることで発症する目の障害・不調のことです。かつてはVDT(visual or video display terminals)眼症と呼ばれていましたが、テレビゲーム・スマートフォンなど、原因となる操作機器の幅が広がったため、IT眼症と呼ばれるようになりました。
IT眼症によるドライアイのおもな原因は「まばたきの回数の減少」と考えられています。一般的には、通常1分間に平均約20回のまばたきをするといわれていますが、IT機器の操作時には1分間に6回程度と3分の1近くまで減少するといわれています。まばたきの回数が減少すると、目の表面が乾燥しやすくなり、ドライアイのリスクも高まります。
コンタクトレンズを着用した目の表面は、涙の層のバランスを保ちにくくなるので、「目の乾燥」をはじめとするドライアイの症状が起こりやすくなります。また、洗浄を怠り、タンパク質などの汚れがコンタクトレンズに付着した状態になると、コンタクトレンズの表面に涙・水分がとどまりにくくなり、ドライアイのリスクが高まります。
エアコンの影響で湿度や温度が低下すると、ドライアイのリスクが高まる可能性があります。なお、エアコンの直風が当たる場所で長時間パソコン作業をすると、目がさらに乾燥しやすくなり、ドライアイのリスクもさらに高まります。
ドライアイが疑われる場合、眼科では以下の検査が行われる場合があります。
眼科で行われる一般的な治療方法は、以下の通りです。
以下の項目に関して該当するものが多い場合は、ドライアイの可能性があります。早めに眼科を受診することをおすすめします。
ドライアイと思われる症状を自覚したときは、まず眼科を受診しましょう。市販の点眼薬・洗眼液を使用することで症状が緩和することもありますが、基本的には眼科で原因・症状にあう薬を処方してもらい、自分の症状・ライフスタイルにあうアドバイスをしてもらうことをおすすめします。なお、一般的なドライアイの対策・目の疲労回復の対策として、以下が挙げられます。
IT機器の使用時間の増加やカラーコンタクト・サークルレンズの常用化などにより、近年はドライアイが増加傾向にあるといわれています。ドライアイが原因で深刻な疾患に陥ることはあまりありませんが、症状により生活の質が低下したり、感染症・角膜炎・結膜炎などの眼疾患を引き起こしたりする可能性があります。気になる症状に気づいたときは早めに医療機関を受診し、目に負担をかけない生活を心がけるようにしましょう。