記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/9/26 記事改定日: 2018/4/4
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
デリケートゾーンのかゆみやおりものの異変などを引き起こすカンジダ。再発しやすい症状としても知られていますが、近年では、食べ物による予防というアプローチが注目を集めています。繰り返すカンジダでお悩みの方はぜひ参考にしてください。
カンジダの原因菌であるカンジダ菌は、私たち人間の皮膚や粘膜の常在菌の一種で、健康で免疫力が正常に働いていれば何も症状は出ません。しかし、ストレスや疲れがたまっているなど免疫力の低下が起こったり、抗生物質の服用によって腸の善玉菌が減少した場合は、カンジダ菌が異常に繁殖してしまい、さまざまな不快症状を引き起こします。また、カンジダ菌は腸内の悪玉菌を優位にし、腸内環境を荒らして、アレルギー物質などが腸の粘膜を通過しやすくする恐れもあります。
このカンジダ菌の繁殖を防ぐには、免疫力が低下しないよう健康的な食生活を心がけることが重要ですが、近年の研究によって、カンジダ菌を減らす効果のある食べ物や、逆にカンジダ菌の病原性を高めてしまう食べ物がわかってきています。
カンジダ菌を減らす効果のある食べ物としては、以下のものが挙げられます。
野菜に含まれるテルぺノイドという成分には、カンジダ菌を減らす作用があるといわれています。ただし、煮たり焼いたりすると活性が失われるので、なるべく生野菜での摂取がおすすめです。
なお、特にオススメなのはゴボウなどの食物繊維が豊富な野菜です。食物繊維は、カゼイン菌と闘ってくれる腸の善玉菌を増やす効果があります。
抗菌作用のあるスパイスやハーブ類で、カンジダ菌を殺菌することも有効です。ニンニクやショウガ、胡椒、唐辛子、シナモン、ターメリック、ローズマリーなどを日々の味付けに取り入れましょう。
カンジダ菌から生じる毒素を解毒するには、肝機能を高めることが大切です。牡蠣やホタテなどの貝類やイカ、タコは肝機能にいい食材といわれています。
ココナッツオイルに含まれるラウリン酸やカプリル酸には抗菌作用があるため、カンジダの再発予防に効果的と考えられています。
カンジダ菌の病原性を高める恐れのある食べ物としては、以下のものがあります。
砂糖がたくさん含まれるお菓子やハチミツなどの甘味料、パンや麺類などの糖質は、カンジダ菌の餌になるといわれています。
きのこ類は菌類なので控えましょう。ナッツ類、コーヒー豆も物によってはカビが付着している可能性があるため、避けるのが無難です。
先述の通り、肝機能の向上はカンジダ菌の抑制のために欠かせないことです。お酒は肝臓に負担をかけるので、控えることをおすすめします。
健康な女性の腟内には、デーデルライン菌という乳酸菌が存在し、この菌は腟を感染から守ってくれています。カンジダ菌は酸に弱いという特徴があるのですが、デーデルライン菌は乳酸を作ることで、腟内を弱酸性状態に保つようにしてくれています。このことから、海外では乳酸菌製品の内服によって、腟炎治療に役立てている医療機関も存在します。
乳酸菌を含む食べ物としてはヨーグルトがありますが、ヨーグルトを食べるとカンジダが予防できるかといわれると、そうとも言えません。ヨーグルトなどの発酵食品に含まれる乳酸菌は、悪玉菌が優位な状態で摂取してしまうと、悪い方向に発酵を促す恐れがあるからです。また、ヨーグルトなどの乳製品に含まれるカゼインには、腸内環境を悪化させる側面があるとも言われています。
以下のようなことも、カンジダの予防効果があると言われています。
・可能であれば、抗生物質の服用を避ける(必ず医師に相談してください)
・肥満なら減量する
・糖尿病の場合は、血糖値をできるかぎり正常値に保ち、血糖コントロールする
・外陰や肛門の皮膚の清潔を保ち、入浴後はきちんと乾燥させる
・他の人が使ったタオルなどは使わない
・バブルバスや衛生用スプレー、刺激性の石鹸、香水などの化学製品の使用は最小限にとどめる
・通気性がいい下着を選ぶ(カンジダ菌は温度と湿度の高いところを好みます。ぴったりとした下着や服は避けましょう)
・過剰な腟洗浄は控える(過剰に洗浄をすることで有益な細菌の数が減ってしまい、カンジダ菌が増殖してしまう可能性があります)
・性行為の際にはコンドームを使用する
・おりものシートはこまめに交換する
症状に気づいたら産婦人科か婦人科を受診してください。もし、腟カンジダ症であると診断された場合、薬剤で治療していくことになります。
治療では抗真菌薬の腟錠が使われ、外陰部にかゆみなどの症状があるときは、軟膏やクリームが処方されることもあります。また、腟カンジダ症を何度も再発させている難治性の場合は、抗真菌薬の内服薬が用いられることもあります。
カンジダ菌自体は、常に体に住んでいる常在菌です。しかし免疫力が低下してしまったりすると、異常に繁殖してしまい不快な症状を引き起こします。カンジダを予防するには、規則正しい生活で疲れをためないようにする、下着やタオルなどをこまめに変えるといったこと以外に、食べ物を見直すことも有効と考えられています。日々の食事をぜひ見直してみてください。