記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/9/29 記事改定日: 2019/6/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
昔話の浦島太郎は、原田病だったのではないかといわれているように、原田病は眼の見え方の異常や白髪になるといった症状がみられる病気です。原田病について症状や治療法を解説します。
原田病とは、ぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜で構成されている)炎の一種で、日本では、ベーチェット病、サルコイドーシスとともに頻度が高い病気とされています。
眼だけでなく、色素細胞がある脳、皮膚、毛髪、内耳などの組織も侵されるため、ぶどう膜・髄膜炎症候群とも呼ばれています。
原田病は、全身のメラニン細胞(メラニン色素を有する細胞)の免疫反応が高まることによって起こると考えられています。
メラニン色素細胞は眼以外にも、耳、皮膚、毛髪、髄膜などにあるため、これらの部分にも炎症が起こることがあります。
原田病は発症する前に前駆症状として、微熱、頭皮のピリピリ感、頭痛、めまい、全身倦怠感などがみられます。その後、初期症状として以下の症状があらわれます。
発症後期の症状としては以下の症状があらわれます。
原田病は治療の開始が遅れると、ぶどう膜や虹彩の炎症が慢性化して再発を繰り返し、徐々に視力が低下していくことがあります。このため、原田病は初期の段階から治療を行うことが重要であり、次のような初期症状が見られる際には放置せずに早めに眼科を受診するようにしましょう。
原田病になっても、初期のうちであれば治療しなくても症状が治まることがありますが、その後何度も再発すると視力が低下していく可能性があります。
そのため、初期症状のうちに間違った免疫反応を取り除き、治癒の長期化や再発を防ぐ必要があります。そのためには、できるだけ早い段階で強い治療を開始することが重要です。
初期の治療は、抗炎症作用や免疫抑制作用に優れているとされる副腎皮質ステロイドの全身大量投与が行われます。副腎皮質ステロイドの治療には、患者によっては血栓の形成、高血圧、血糖上昇などの副作用がおこる可能性もあるため、一般的には入院治療となります。
また、ステロイドパルス療法が行われることもあります。この場合、前部ぶどう膜炎を併発することも多く、局所的な治療のため、散瞳薬や、ステロイド薬の点眼を行う場合もあります。
副腎皮質ステロイド治療は、炎症が再発しなければ半年ほど、炎症が再発する場合は、1年以上治療を続ける必要があります。
しかし、現在のところ蔓延を予防するための確実な治療法がないため、治療を行ったとしても20~30%の確率で蔓延や再発がみられるといわれています。
また、原田病は眼だけではなく皮膚や毛髪などの全身のメラニン色素細胞に症状があらわれるため、全身治療が必要となります。
通常、発症後2ヶ月ほどで回復期に入るとされており、だんだん視力も回復してくるといわれていますが、眼の炎症がある場合、再発する可能性もあるため注意が必要です。
原田病は早期治療が重要です。治療が遅れると炎症が慢性化しやすいので、気になる症状がみられた場合は早めに病院を受診するようにしてください。