記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/10/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「上咽頭炎」という病気をご存知ですか?鼻と喉の間で違和感を感じたり、咳が出たりする症状が特徴で、風邪と間違えられることが多い病気の一種でもあります。今回は、そんな上咽頭炎の全般的な情報について解説していきます。
鼻の奥の部分は喉の奥とつながっています。その奥の部分全ては、「咽頭」と呼ばれています。咽頭は上から順に「上咽頭」「中咽頭」「下咽頭」に分けられ、上咽頭とは咽頭の上の部分―鼻と喉の繋がっている部分の鼻に近い側です。
上咽頭は目で見ることのできない部位ですが、感覚としては「鼻の奥のほう」です。水を鼻から吸ってしまった時にツーンと鼻の奥が痛くなると思いますが、そのあたりのことです。
上咽頭には、「アデノイド(咽頭扁桃)」という器官があります。ここは、子どもの頃に炎症を起こすことが多い場所ですが、大人になるにつれて小さくなっていきます。
上咽頭炎とは、その名のとおり上咽頭の部位に炎症が起こることで、症状としては、鼻と喉の間に違和感がある(重たい感じ)、鼻の奥で痰がからみついて痰が出せない、鼻水が喉に降りてくる、ときに咳がでる、といったものがあります。また、鼻の奥の部位でありながら、頭が重い、肩こり、耳閉感、耳鳴り、めまいといった症状まで出ることがあります。風邪に似たような症状も多いので、風邪だと思っているうちに上咽頭炎が悪化してしまうということがよくあります。
上咽頭は目には見えない場所のため、治療が遅れることも多いのですが、治療が遅れると慢性上咽頭炎へと進行してしまうことがあります。症状が1~2週間ほどで治まる場合を急性上咽頭炎と言い、それ以上に続く場合を慢性上咽頭炎と言います。
上咽頭炎の原因は、上咽頭に細菌やウイルスが感染することです。具体的には、疲れが溜まっていたり、ストレスが溜まっている時など免疫力が下がっている時に感染しやすくなります。また、喉の奥が乾燥していると、細菌やウイルスが入り込みやすくなってしまうので要注意です。
なお、感染以外の原因として、蓄膿症になった時に出る膿を含む鼻水が、喉の奥に流れた時に起きることがあります。特に寝ている時は鼻水が喉の奥に溜まりやすいので、その時に鼻水が細菌やウイルスを持っていると上咽頭炎になることがあります。
上咽頭炎になった場合には、消炎剤、抗生物質の内服を行います。また、痰が出にくい場合には、痰を出しやすくする薬が処方されます。さらに症状によっては、ネブライザーを使って喉を潤わせたり、上咽頭に薬剤を含ませた麺棒などを入れて薬剤を塗布したりといった治療が行われる場合もあります。
ほかに、薬剤を入れた溶液や塩水での鼻うがいも症状緩和に効果があります。鼻うがいは原始的な対処法ではありますが、直接上咽頭部を洗浄でき、痰も除去できるという効果の高い方法です。副鼻腔炎を起こしている時には、同時に副鼻腔炎の治療も行います。また、口呼吸をすることで喉の奥の乾燥がひどくなり、上咽頭炎を悪化させてしまうので、できるだけ鼻呼吸をするように心がけることも重要です。
鼻づまりや咳、頭がぼーっとするなど風邪と似たような症状が現れる上咽頭炎ですが、治療が遅れると慢性のものへ進行してしまう恐れもあります。ご紹介したような症状でお悩みであれば、早めに病院を受診することをおすすめします。