記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/9/21 記事改定日: 2020/5/29
記事改定回数:3回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
皮膚や爪、唇が青紫色になるチアノーゼは、赤ちゃんや子供だけでなく、大人や高齢者などにもあらわられることがあります。チアノーゼの原因や対処法、注意点、貧血との関係などについて、この記事で詳しく見ていきましょう。
チアノーゼは顔や体全体、粘膜などの色が青紫色になっている状態を指し、なかでも指先や唇に色の変化が強く見られるのが特徴です。
寒いところや冷たい水に入ったときに顔色が悪くなったり唇が紫色になります。このようなチアノーゼのことを「末梢性チアノーゼ」と呼びます。
末梢性チアノーゼの多くは、顔や唇、手指などからだの末梢部分に血流を送る血管が過度に収縮することによって血行が悪くなることがおもな原因です。寒いところや冷たい水に入ったりすると血管の収縮が起こりやすくなるため、末梢性チアノーゼがとくに起こりやすくなります。
中枢性チアノーゼは、心臓や肺の異常によって引き起こされるチアノーゼのことです。
私たちは、身体に必要な酸素を呼吸によって体内に取り入れ、酸素が使用された作り出された二酸化炭素を呼吸によって吐き出す仕組みがあります。その「呼吸」による酸素と二酸化炭素の受け渡しが行うのは肺です。
肺の機能が低下すると体内に十分な酸素を取り入れることができずにチアノーゼが引き起こされます。また、先天性心疾患などで心臓の壁に穴が開くなどして血流異常が生じることもチアノーゼの原因となります。
チアノーゼがあらわれる範囲や症状の程度は幅広いですが、そのままにしておくとさらに重篤な症状を招き、手術を行っても元に戻らない可能性があります。
チアノーゼの長期化に伴ってあらわれる代表的な症状は以下の通りです。
チアノーゼは全身の酸素不足によって起こります。
先天性心疾患の患者さんの場合、酸素の少ない血流(静脈)が酸素を運ぶ血流(動脈)に混ざってしまい酸素不足に陥ります。
通常は動脈と静脈は一方通行で混ざることはありませんが、先天性心疾患の場合は動脈と静脈をつなぐ血管がある、動脈と静脈が交差しているなど、心臓や血管(動脈・静脈)に異常があるために動脈に酸素の少ない血液が混入します。
これによって動脈の血液が黒っぽく変色するため、顔色や全身、粘膜、唇、指先が紫色になるのです。
呼吸器に異常があることによって、体が酸素不足を起こしていることがあります。
呼吸がスムーズにできないと酸素不足になります。赤ちゃんがチアノーゼになったときに長時間泣くと、顔色がさらに悪くなります。
また、ミルクを飲むのにも時間がかかり1回に飲める量も少ないため、体重があまり増えず、標準体重を下回ることが多いです。
チアノーゼの症状があらわれたらできるだけ早く対処することが大切です。
下記で代表的な対処方法を紹介します。
呼吸困難や痙攣(けいれん)など他の症状を伴わない場合には、さする・マッサージするなど、患部を温める方法が行われます。症状が唇や指先などの末端に現われている場合には、布団を増やすなどして全身を温めて血流を良くすることも効果的です。
病院で酸素を投与して血液中の酸素濃度を上げることで、チアノーゼの症状を軽減することができます。
心不全や膠原病などが原因で引き起こされるチアノーゼであれば、それらの病気の治療が必要になるので、原因となる病気に対しての薬物療法が行われます。
一方で、冷えによる末梢血管の収縮や肺の機能低下によるチアノーゼは薬で改善することができないケースが多く、基本的には酸素投与や保温などの治療が必要となります。
チアノーゼは、毛細血管を流れる血液中のデオキシヘモグロビン値が5g/dL以上になると出現する症状です。
デオキシヘモグロビンとは、酸素と結合していないヘモグロビンのことです。ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で、酸素と結合して全身に酸素を運ぶ役割があります。
体内に酸素が不足したり赤血球などに異常があることで、酸素と結合したヘモグロビンが減少した状態がチアノーゼなのです。
貧血の人はヘモグロビンの量が減少しているため、デオキシヘモグロビン量が5g/dL以上になりにくく、体に酸素が不足した状態でもチアノーゼがあらわれにくくなります。
チアノーゼは、体の酸素不足や循環不全を示す重要な身体所見です。貧血の人はこれらの状態であってもチアノーゼのサインが見られないこともあるので、気づかないうちに陥っている酸素不足に注意しましょう。
チアノーゼは高齢者にもよく見られる症状の一つです。
高齢者は体温調節機能が低下している傾向があり、冷えによる手先や足先のみのチアノーゼが発生する可能性があります。
毛布やカイロなどで温めて改善するようであればとくに問題ありませんので、室温や服装の調節を行い様子を見ましょう。
心不全などによる循環器の異常や、肺炎などによる呼吸機能の低下がチアノーゼを引き起こすことがあります。温めてもチアノーゼが改善しない場合は、できるだけ早く治療を行ってください。
心不全や肺炎を発症していても目立った症状があわれないことが多く、チアノーゼが唯一のサインとなることがあります。全身状態に変化がなくても早めの受診を心がけましょう。
チアノーゼは赤ちゃんや高齢者など幅広い年代の人に起こり得ます。長期的にチアノーゼの症状が出ている場合は、呼吸器系や心臓などに関連する他の病気が潜んでいる可能性が考えられます。チアノーゼを放っておくと血管や腎臓に悪影響を及ぼす場合があります。症状が軽くても、できるだけ早く病院を受診しましょう。
この記事の続きはこちら